二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.12 )
日時: 2010/08/31 18:01
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: RRvZltlr)

 第七話 日本へ

 
 *
 are you ok?
 *
 クーラーの風が気持ちいい。
 俺は椅子に座って、飛行機が来るのを待った。
 無駄、無駄。
 俺は今まで無駄な事ばかりしていたのだ。
 脳がそう叫ぶと同時に、手足や口はもう勝手に動こうとはせず、従順に脳の命令にしたがった。
 飛行機が来た。日本行きへの飛行機が。
 俺は立ち上がって、飛行機に乗るため歩き出す。
 すると、俺の腕がつかまれた。
 何も持っていない左手に、細い右腕が絡みつく。
 振り返って、俺は少しだけ相手を見上げた。
 黒くて短い天然パーマはよく跳ねる。それを一つ結びにして纏めている。
 漆黒の目は相変わらずきらきらしている。
 日焼けした肌からは、汗がしたたりおちていた。
 左手は、大きな鞄をもっている。
 白いTシャツ、茶色の短パン。

「くろだ、さん」

 からからになった喉が発した言葉は、それだけだった。
 でも、それだけでも十分だった。
 黒田さんの口元に笑みが広がった。

「エリで、いい」

 それから俺の腕をひっぱりながら進んだ。
 
「どうして——黒田さんには——エリには——好きな人が出来たんじゃ——」
「私が好きな人は、風丸くんだけだよ。若田のやろうから聞いたの。貴方が、探してるって」

 エリは顔を真っ赤に染めてずんずん進んだ。
 
「だから——風丸くんと一緒に日本へ行こうと思って」
「俺も、一郎太でいいよ」

 エリの顔に花が咲いた。夏の日の、眩しい向日葵みたいだった。

 台湾が遠ざかっていく。

 恋はここから。
 俺たちはまだスタート地点にたったばかりなのだ。

 *
 どこからでもかかってきな!
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