ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

　第四十五話　音無と切先にとって一番恐ろしいホラー

　＊
　世界一恐ろしいホラー。
　＊

　鏡の中の自分を見てみた。
　黒いヒモで髪を結い、顔はしっかり洗う。
　グレーのＴシャツにジーンズ、うん、ばっちり。
　バッグの中を覗き込む。
　お財布、中には音無さんにいくらでも奢れるように、お年玉を全部入れといた。
　あと、映画のチケット。これは欠かせない。
　あとカメラに望遠鏡。望遠鏡はどこに鬼道さんがいるかわかるように。
　あ、そうそう、変装するの忘れてた。
　眼鏡をかけて、ハサミも用意する。
　よし、出発だ。

「あ、刃くん！」

　音無さんも俺とおんなじことを考えていたのだろうか。
　紺色の髪をツインテールにし、服装はいつもはあまり着そうになくて地味な服。
　でも、似合ってる。

「音無さん」

　それから音無さんは俺を暫し見つめ、刃くんも変装してるんだ、といって微笑んだ。
　
　今日見るのはホラー。
　音無さんはホラーが好きらしい。意外だな。
　で、きゃあきゃあはしゃぐ音無さんを見ておりホラーを集中してみていないと、音無さんが急に凍り付いて俺にしがみついた。
　え、と顔を真っ赤にする俺。俺はちらっとホラーを見て、うわっと思わず叫びそうになった。
　このホラーの題名は「バンパイアの宴」というのだが、吸血鬼がたくさんでてくるのだ。
　俺は今アップでうつっているバンパイアを見て気絶しそうになった。
　そこにうつっているのは、髪を下ろしゴーグルを取った鬼道のようなバンパイア。マントは無論赤で、小さい牙がちらりと覗く。
　おい、怖いぞ。　
　俺がみた、一番怖いホラーだこれは！！

　＊
　後でしったんだがそのバンパイアの名前はユトだった。名前まで似ているのかよ。
　＊