二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.94 )
日時: 2010/10/05 17:51
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: KztNadal)


 第四十九話 かわいそうな女の子

 *
 彼女の体がぐらりと傾いだ。
 *

「黒田さん」

 鈴のような音色。
 囁くように小さいけどはっきりした発音。
 振り返る。

「二見……さん?」

 ふっくらした頬、黒い髪を三つ編みにし、白くて細い指や足がとても魅力的だ。
 ただし、可愛らしくて細い黒い目のしたには青黒いくま。
 一体何があったんだろう。

「あのね、あのねわたしあのね、」

 私にすがりついてきた二見さんの目に白い髪のなにかがうつったと思ったら。
 彼女の体がぐらりと傾いだ。


「二見さん、一体どうしたの?」

 保健室のベッドの上で力なく横たわる二見さんは随分老けたように見えた。
 
「あのね、あのね、私、思ったの。一郎太は心の底から黒田さんのことが好きなんだって」

 目を細めて疲れてやつれた顔で、私の手を握りつつ彼女は喋りだす。
 虚ろな目が私を写す。青黒いくまが異様に目立つ。

「いっつも黒田さんのこと見つめてたよ。だから、……諦めた。勝てないって思って諦めた、そしたら」

 そうなんだ。嬉しい、と思う気持ちがこみ上げるとともに、同じ事考えてたんだ、苦笑する。
 「そしたら」? どうなるんだろう? と二見さんの話に耳を傾ける。

「豪炎寺くんに告白されたの。でもね、でもね」

 えぇっ、と叫びそうになったが、なんとかそれを堪える。
 保健室で叫んだら大変だ。
 あれ、でもそれなら幸せな筈じゃない?
 なんでこんなにやつれた顔をしてるの?

「三つ編みしてないと怖い顔で睨まれるの。三つ編みしろって命じられるの。あとお兄ちゃんってよべって命じられるの。なんでだろうね。黒田さん同じクラスでしょ? なんかしらない?」

 私はもう一度二見さんを見た。
 そして気付いた、衝撃の事実に!
 それは、二見さんが三つ編みをすれば、豪炎寺の妹の夕香ちゃんそっくりになるってことだ。
 二見さんに豪炎寺がシスコンであることを教えたほうがいいのだろうか。
 そう迷っていると、再び二見さんの目に豪炎寺の白い髪が映り、

「おにいちゃん」

 夕香ちゃんそっくりの声色で二見さんが囁き、二見さの目の中の豪炎寺がふっと微笑んだかと思うと。
 
 *
 二見さんは再び倒れた。
 *