二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.101 )
日時: 2010/12/13 17:43
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: yMcOisx5)

「よ、やっと朝か。寝れなくて大変だった」
「わたしも同感だ。いつもなら起きていられる」
「天使の影響だね。・・・僕も暇だった」
「——おはよう」
 翌日。シェナだけがまともな言葉を言った。
「飯は?」
「いらないけど・・・ま、食べておこう。黒騎士に備えて」
 と言ったマルヴィナ自身が誰よりも一番食べた。

 四人はその後、場内へ足を進める。
「アリーシュ、通してくれ」
 セリアスが城門に立つ若い兵士に声をかけた。
「ん? セリアス、お前、サボり?」
「違ーよ、今は戦士じゃなくて旅人。
・・・ほら、戦士にはなるけど、あくまで旅人のままで——って言ったろ?」
「はいはい、おめでたい奴」
「・・・なんか違わないか?」
 と言う会話の中で、あっさり入城許可は下りた。
「広いな・・・」マルヴィナが目を丸くし、
「城だからねぇ」シェナがほのぼのと言い、
「・・・分かってるって」マルヴィナ脱力。
 セリアスの案内で、王座の間の手前までたどり着く。意外に短かった。
 しかじかの王宮作法の後、そのまま四人は王座の前まで行くことになる。
「・・・客人か? すまぬが、今は——」
 発しかけた言葉を、その目にセリアスを写すことで止めたのがセントシュタイン国王。
 そして隣にいるのが、セントシュタイン姫君、名をフィオーネといった。
「王様。決めました。黒騎士退治に、向かいます」
 気取った風でもなく、ごく平凡な言葉でセリアスが声をかけた。
 セリアスが一国の主と話してるーっ! とか思ったマルヴィナはそのまま唖然とした。
 うむ、と満足げに頷いた国王は、次いでマルヴィナとシェナに目を留める。キルガはともかく、
昨日会ったばかりの二人を王が知るはずも無かった。
「・・・とりあえず、私たちにも話して欲しいんですけど・・・事の経緯_いきさつ_を」
 シェナが首をすくめ、意見する。尤もな話だった。
王はおそらくセリアスやキルガにしたものと同じ説明を始める。

「黒騎士というものが、このセントシュタインを狙っていることは知っておるな? 
あれの目的は、我が一人娘フィオーネ。そしてかの黒騎士は、今宵、フィオーネをここより北、
シュタイン湖に向かわせよと言うておる! だが、それを私は罠だと思っているのだ」
「・・・お父様!」
 フィオーネの声を無視して、国王は続ける。
「普通、その場合は城の兵士を向かわせるのが妥当と言うもの。
だが、そんなことをすれば、この城の守りは薄くなる! おそらく黒騎士はそれを狙い、城に攻め込むつもりじゃろう。
故に、そなたらのような自由に動ける人材が欲しかったのじゃ」
「そんな、お父様! 見ず知らずの旅のお方を巻き込んではなりませぬ!」
「黙っていなさい、断じてあやつの好きにはさせん」
「・・・あんまりですわ・・・わたくしの気持ちを知りもせずに」
 フィオーネはフイと顔を背ける。
(・・・ふうん・・・なるほど。・・・なんか、隠してるんだな)
 マルヴィナは表情にも声にも出さず、そっと思った。
「とにかく。そなたらにはこれからシュタイン湖に赴き、黒騎士を退治してもらいたい。
うまくいけば、褒美を取らせよう」
 国王は、玉座に座りなおした。