二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.107 )
日時: 2010/12/14 17:24
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: yMcOisx5)

——2——         ノート三冊目〜♪
 

 ——シュタイン湖。
 セントシュタインの領域、その国の北に位置する湖。

 黒騎士は、現れた。

 マルヴィナ、キルガ、セリアス、シェナの四人は容赦も遠慮もせず、いきなり攻撃を仕掛けてくる黒騎士に相対した。
「・・・っヒャド!!」
 マルヴィナが叫ぶ。氷固呪文_ヒャド_、小さな氷の刃を生み出す魔法だ。
 黒騎士はそれを、自分に降りかかる前に槍でいとも簡単に払いのける。マルヴィナは舌打ちした。
 キルガは聖騎士として、常に他の三人の様子に注目した。
一番注意したのは魔法に集中し守りの疎かになったシェナへ降りかかる黒騎士の攻撃だった。
 セリアスは剣を構える。剣術でマルヴィナに勝った事は一度も無かった。
だが、腕としては、並みの旅人より遥かに上だった。余計なことは考えず、ただ攻撃に集中する。
 シェナはキルガの体調に応じて応急呪文_ホイミ_を唱える。
余裕があるときは、闇固呪文_ドルマ_というらしい、賢者のみ使いこなす魔法を黒騎士に投げかけた。

 そして、黒騎士の足が、がくりと崩折れた。

「っ!」
 四人が、同時に息をつく。初めての連携にしては、なかなかいいチームワークだった。と思う。
「・・・な、ぜだ・・・?」
「・・・・む」
 膝を屈した黒騎士が、一言声を発する。マルヴィナは眉を持ち上げた。
「何故、メリア姫は、お前たちのような者を、ここに向かわせた・・・? あの時の約束は、偽りなのか・・・?」
「メリア姫?」
 戦いの終わった気配を感じ取ったサンディが、マルヴィナの頭巾_フード_から顔を出す。
「・・・ねぇマルヴィナ、この黒騎士おかしくない?
あの城にいたのは確かフィオーネ・・・メリアじゃなかったはず」
 うん、と頷こうとした時、
「それは誠かっ!?」
 と、間髪入れずに黒騎士の問い返しが来る。ビクッ、と身を引いてから、サンディは叫んだ。
「ッキャー!! ななっ、何でアタシが見えんのよぉっ!? マジびびったんですケドっ!」
 そして、サッサとフードに潜る。髪の毛が微妙に引っ張られて、マルヴィナは小さく悪態をついた。
「・・・な、あれは、メリア姫ではなかったのか・・・?」
「・・・あんたは一体、何者なの? それから話してくれないか」
「・・・」
 黒騎士は立ち上がる。
「——私は、深い眠りについていた」
 そして、語りだした。