二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.110 )
- 日時: 2010/12/15 17:20
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: mTJrvItN)
マルヴィナは目を閉じた。
黒騎士の話をまとめると、こうだ。
黒騎士の名はレオコーン。
ルディアノという名の国の騎士だった男だ。
ずっと眠りについていたような感覚・・・記憶は無かった。
自分が誰で、何が自分に起こったのかは、何も分からなかった。
その記憶が戻ったきっかけが、セントシュタイン城、いや、その国姫君の姿を見たときであった。
自分はルディアノの騎士。
あの姫君が、メリア姫、自分と婚礼の約束を交わした方だと。
だが、それは違った。国はルディアノではなく、セントシュタイン。
そして、名はメリアではなく、フィオーネ。
全くの別人だった——
「んじゃアンタ、あの姫と元カノ間違えちゃったてワケ? ドンだけ似てんのよその二人ー」
「も、元カノて」
軽すぎだろサンディ、とか胸中で思いつつ、マルヴィナは黒騎士レオコーンをもう一度見た。
「・・・いずれにせよ、私はこの過ちについて詫びないといけないだろう。
あの城にもう一度向かわねばなるまい」
「・・・やめたほうがいーと思うぞ」
セリアスがぼそり、と言う。
「確かに・・・ややこしくなるだろう」
キルガも頷いた。
「次は本気で殺されちゃうかもしれないしねぇ」
シェナがのんびりと恐ろしいことを言う。
「・・・わたしらから伝えておこうか? あなたの伝言を」
マルヴィナが問う。なんだか上手くまとまったような。
「・・・そうだな。そうしていただきたい。もう城には近づかない。そう伝えてくれ」
「・・・分かった」
レオコーンは頷き、くる、と背を向けた。
「ルディアノでは本当のメリア姫が私の帰りを待ちわびているはず・・・私はルディアノを探すとしよう」
ひらりと、黒い馬に跨る。そして、そのままゆっくりと行ってしまった。
傷を負っていた割にちゃっかりしているような気もする。
(・・・なんか、変だな・・・)
「・・・あ」
湖に四人残された状態、セリアスが一言。
「・・・馬取り返すの忘れてた」
「馬?」
「・・・あ」
キルガまで。
「・・・あの黒い馬。武器屋のおっちゃんの。・・・どうか取り返してくれって涙流して言われてたんだ
・・・ああやばいなぁ・・・どうしようか」
返答は風の音。