二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.149 )
- 日時: 2011/01/05 14:20
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: EpPczols)
——3——
レオコーンを追い、四人は暴走する馬のスピードに何とか着いていけた。
こういうとき、本当に天使でよかったと思う。
「ったく・・・勝手に一人ボーソーて、集団行動性がないっつーかさぁ」
サンディの愚痴を無視して、マルヴィナは咳払いした。
「凄い霧・・・ 靄_もや_ かな? ・・・なんでこんなに紫なんだ・・・?」
「毒・・・かもね。・・・あったよ」
ルディアノ国が、寂しく残されていた。
「・・・家が」
破壊されている。瓦礫の下や周りには、タールがどろりと流れていた。
「タール・・・確か、石炭とか木を乾留した時に得られる油みたいな奴・・・だったっけ」
「うん。・・・ねばねばした、ね」
辺りは紫の靄に包まれ、先の様子もほとんど見えない。ネチョリ、と嫌な音が、タールの沼から聞こえてきた。
「・・・何?」
セリアスがくるりと振り返る。
「は?」
「今、呼んだろ」
「・・・いや? 呼んでないけど」
ウィヒヒーン。
「そうか? 今も声が聞こえたんだけど」
ウィヒヒヒーン。
「・・・・・・・・・・・・・・」
そこでセリアス、その声の正体を理解し、引き腰気味になる。
当然の如くマルヴィナは、絵に描くとしたら怒りマークを五つほどつけて、つかつかと前に歩を進め、
「・・・セリアス。どーやったら、わたしの声と馬の声が同じに聞こえるんだっ」
そう言って、黒い馬をズビシ、と指差した。
「・・・・・・。おい、これ——」
「聞けよっ」
「分かった分かった。——じゃなくてこれ、・・・レオコーンの乗ってた馬じゃないか?」
え、と呟いて、マルヴィナは怒りを忘れ改めてよく見る。
「・・・・・・ホントだ」
「てことは、レオコーンはこの先?」
シェナが再び辺りを見渡すが、やはりうまく見えない。
「・・・あれ? キルガは?」
「いるよ。・・・あっちに城に入る階段がある。真新しい足跡もあった。おそらくレオコーンだ」
やることが早いことで、とセリアス。
「・・・なんか嫌な予感がするな。・・・急ごう」
マルヴィナの声に、皆が唱和した。