二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.153 )
日時: 2011/01/07 17:40
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: KXo8r0Qp)

「変ね」
 シェナが城に入ってから一番最初に話した。
「何が?」
「・・・おかしいと思わない? ここは滅びたのに・・・綺麗すぎるのよ」
「人骨が無いな」キルガも言う。「様子を見に行ったというエラフィタの人々はどこへ行ったのだろうか」
「・・・確かに、全員そろって家出・・・ってことは考えにくいな」
「つーか、色んなところに戦禍が残ってただろ? 何かあったはずなのに、何もないってことか」
「・・・説明の手間が省けたわね・・・物分かりのいいことで」
 シェナがクスリと笑って、視線を前に戻す。「・・・いた」
 レオコーンは近かった。四人は歩くのを止め、近くの倒れた振子時計とタンスの陰に隠れる。
レオコーンの前には、魔物がいた。
「・・・魔物・・・? 違う・・・あれは、死者の魂じゃないか? ・・・骨に、乗り移った」
「ぐ」
 マルヴィナの一言に、三人は顔をしかめる。
「そういうことかよ・・・骨が無かったのは、魂が骨にのり移ったから、ってか」
「人も魔物に化する・・・欲望と、絶望と、憎悪によって・・・って聞いたことがある」
「いやあれはレオコーンと同じ類だと思うけど」
「しっ」
 キルガが唇に指を当てる。「話し始めた」

『よくお戻りになられました。レオコーン様』
 一人目、顔の形も分からぬ有様の骸骨_がいこつ_が言う。
『しかし貴方は、遅すぎました』
『貴方は帰っては来なかった・・・その後、我らは死にました・・・全ての者が・・・』
 何故、というところは言わない。
「・・・では何故、地上に縛り付けられている? 何か思い残しでもあるのか。それとも・・・何者かが」
 何者かが呪縛しているのか。その問いを制し、骸骨は口の端だけでニッと笑った・・・ように見えた。
『・・・ある方の言伝を貴方に。役目を果たせば、無事昇天させてくださると仰っていましてね』
 そんな都合のいい話があるか、とマルヴィナは思う。昇天させる? そんなことが出来るのは、
天使か神官しかいないというのに。神官がこんなところにいるわけがないし・・・
「誰の、言伝だ」
 レオコーンの口調は変わらない。だが、

『・・・イシュダル様です・・・』

 その一言に、レオコーンは大きく反応した。盗み見続ける四人は顔を見合わせる。
「何か、関係——」
「イシュダルだと!? 何処だ・・・一体、奴は何処にいる!?」
『案内しましょう・・・』
 三人の骸骨の後ろにレオコーンが続く。四人は目を配せあい、小さく頷いた。







           次回、イシュダル戦(の一個前!)  ←宣伝する意味無いだろっ byマルヴィナ