二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.162 )
- 日時: 2011/01/13 17:21
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: zr5xYoWQ)
イシュダルが強く念じた。一瞬。黒い波動。中から現れたのは、魔物。レオコーンが言った、魔物、真の姿。
「・・・邪魔立てするものは許さない・・・まとめてここで死ぬがいい!」
「断る! その言葉、後半だけそっくり返す!」
最初に動いたのはセリアスだ。手にしたセントシュタインの剣で斬りこんでいく。
「ヒャド!」
イシュダルとて無反応ではない。すぐさま唱えたその呪文が、セリアスを弾き飛ばした。
「いってぇ・・・!」
だが、セリアスもセリアスで、四人の中で一番丈夫だ(聖騎士のキルガを超えている)。
身を襲った冷気と刃に少量の血を滴らせながらも、様子はさほど変わっていない。
シェナが 応急呪文_ホイミ_ を唱えた。彼女は回復に専念するらしい。
その彼女に狙いを定めたイシュダルの横様から、キルガは疾風突きを繰り出した。魔物と化したことを
証明するかのように、イシュダルの腕から黒い液体が流れる。血であることが、しばらくして分かった。
「・・・いきなり実戦、か・・・」
セリアスは呟き、腕の痛みにもだえ隙を見せたイシュダルに再び斬りかかる。
剣が届く。そのまま、もう一本の腕を裂く。キルガもそうだったが、まだ攻撃にためらいの色があった。
この手で、魔物といえど、何かを殺める。そんな覚悟は、ついていない。
それは、まだ一度も動いていないマルヴィナも同じだった。
「面倒な人間だこと・・・」
イシュダルが低く唸ったように聞こえた。まだ黒い液体を滴らせたまま、 邪笑_わら_ う。
「侮りすぎたようねぇ・・・だったら、これで・・・どう!?」
はっと身構えた四人はその瞬間、赤く光ったイシュダルの瞳を真正面から見た。そして、衝撃が走る。
「うぁっ!?」
胸を強打されたようなその感触に、気が遠くなる。だが、それだけでは終わらない。体が、動かない。
「な・・・何・・・ぐぅっ・・・!」
体が麻痺する。痛い。動けない。
「・・・さぁ、て・・・動けない? 動けないのって、苦しいわよねぇ・・・」
回復呪文を使うシェナが一番厄介だと思ったのだろうか、イシュダルはシェナに向かって刃を走らせる。
シェナは悲鳴をあげない。小さく、呻いただけだった。だが、同時、何かが抜け落ちるような嫌な感触がした。
「なっ・・・何よ、今のっ・・・!?」
「へぇ・・・喋る余裕が、まだあるなんてねぇ。・・・あんたの命、少しもらったよ」
気付けば傷つけたはずのイシュダルの左腕の傷が浅くなっていた。
こちらは動けない、それなのに相手は回復していく傾向。
不利だ。——[三人]はそう思った。
「・・・これも、呪い、・・・なのか?」
・・・不利の状況に似つかわしくない、マルヴィナの声がした。
「だったら・・・これも、解けるのかな・・・———っ!!」
無音の、気合。大きく払った腕と共に——再び、その呪いが払いのけられる!
そのままの姿勢で小さく吐息をもらし、マルヴィナは不敵に笑って見せる。
「・・・形勢逆転、ならず」
すっく、と立ち上がり、イシュダルの呆気にとられたその時間を利用してマルヴィナは薬草の一つ、
まんげつ草を取り出す。
「任せるよ!」
自分で飲め、という意味でそう言って、マルヴィナはレオコーンを呼ぶ。
(・・・躊躇っちゃいけない)
マルヴィナは目を閉じる。
(今は、必要な時だ・・・必要な時は、躊躇わない。それが、わたしだ——)
状況は、振り出しに戻る。
否、レオコーンが、戦いに加わる。
マルヴィナはそっと、決心した。
Chess)あれ? 何か文章がおかしいような・・・わたしもまだまだだなぁ・・・