二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.172 )
- 日時: 2011/01/19 17:14
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: r1mGYZkZ)
【 Ⅳ 】 封印
その数日後——
「マルヴィナっ」
宴は終わり、少々だらけた雰囲気の漂うセントシュタインの城で、フィオーネはマルヴィナを呼ぶ。
「何?」
「もう旅立つんでしょう? 東のほうに関所があるのは知っている?」
「関所?」
フィオーネは頷く。どうやら、黒騎士騒ぎで、別の領域に逃げ出さぬようにと封鎖していたらしい。
だが、その騒ぎは終わり、問題もなくなったので、開放したという。向こうには、町があるとのことだ。
・・・というのを、マルヴィナは三人に話す。
どうかな、と言って話を終わらせたマルヴィナに、答えたのはセリアス。
「うーん・・・行きたいといえば行きたいんだがな。ほら、こんだけ星のオーラ集まったんだから、
今度こそ天使界へ行ける——ってあのハデハデ妖精が言ってたぞ」
「む。そっか。・・・本来ならそうするべきだよな」
「あぁ。・・・ま、とにかく、案内してくれよ。その、天の箱舟にさ」
・・・その二日後、四人が訪れたのは天の箱舟の元ではなく例の関所である。
その理由は、簡単である。天の箱舟が動かなかったから、だった。
名残惜しげに城をフヨフヨ飛び回るサンディを無理矢理つまんで峠の道へ向かったはいいが、
箱舟の様子は光る様子も動く様子も無く、ただしらーっとそこに突っ立っている(?)だけだったのである。
それなのに何故四人がここにいるかと言われれば、これがまた複雑で。
箱舟の様子は変わっていなかった、だが、マルヴィナたちが何気なく中に入った時、
がこん、と一瞬動いたのである。マルヴィナがバランスを崩して尻もちをついていたから間違いない。
その様子を見て、サンディはこう言った。
「やっぱ星のオーラでアンタの天使の力が少し認められたのヨ! 天使乗せりゃ箱舟ちゃん動くてアタシの想像
間違ってなかったんですケド! だからさマルヴィナ、関所てトコ目指すよ! で、その町でガッポリ——」
落ち着け、とマルヴィナが制裁したところで、サンディの興奮はおさまった。
・・・という長ったらしい理由の元、今関所に立っているこの状況が出来たのであった。
「はー・・・ったく、ほんとにいつになったら帰れるんだろなー・・・マジで」
セリアスが橋にもたれかかり、
「サンディ信じるのはこれが最後だっ」
妙にマルヴィナが怒りマークを浮かび上がらせそうな勢いで言い、
「で、次の町って、何てトコなのかしら」
シェナが弓の矢をもてあそびながら呟く。
ちなみに、その町の名と行き方を尋ねに関所の兵士詰め所に行っているのがキルガであった。
・・・と、川の中の魚が低く跳ねたとき、
「な・・・何だって!?」
キルガの叫ぶ声がした。魚が一斉に逃げる。
何事かと思い、三人は詰め所の中をのぞく。キルガが机に手をのせて、兵士をビビらせていた。
「ベクセリア・・・本当に、この先にベクセリアの町が・・・!?」
「あ、ああ。・・・兄ちゃん、まずは落ち着いたらどうだ?」
「あ・・・すみません。取り乱してしまって」
珍しいなキルガが、どんな会話をしたらあんな反応になるんだろう、と幼なじみ二人は会話。
「・・・で、ベクセリアって」
「キルガの担当地。守護天使の」
「やっぱそうか! へぇ、この先に」
そんなセリアスに、マルヴィナは一言。
「・・・セリアス。ベクセリアと聞くとその語尾に“ス”を付けたくなるのは・・・
わたしが冷めた天使だからだろうか」
ベクセリアス。
「・・・俺の名前か?」
「そうだ。——どうしても頭の中でぐるぐる回ってる・・・ちっ」
かなり落胆して言われ、しかも悪態までつかれ、反応できないセリアスであった。