二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.175 )
日時: 2011/01/20 17:58
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: I2AL/1Kk)

 一同は、関所から北にあるそのベクセリアの町まで歩き続けた。
関所を発って二日目の朝方、ようやく見覚えのある土地まで来たとキルガが言っていた。
だが、それから約一日歩くことになるだろうと言われ、三人は一気に脱力した。
「遠すぎ」
 というのが[ベク]セリアスの感想。
「ベクセリアス言うな」
「だって面白いし。・・・それにしても、疲れたわね・・・」
 後半はセリアスの抗議を思いっきり無視して、シェナが溜め息。「マルヴィナは?」
「わたし? 別に平気」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 会話が続かない。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、えーっと。ほら、紅葉が綺麗だ。ひらひら落ちてきて、エラフィタの桜みたい——」

          どさっ。

「・・・・・・・・・・・。今、やけに大きな紅葉が落ちてこなかったか?」
「・・・ああ。——魔物じゃないかっ」
 半分キレた状態のマルヴィナが、足をドガンと踏み鳴らし、紅葉型の魔物を睨みつけてやる。
それだけで魔物は怯え、退散していった。
「おー怖」


 何だかんだ言って、その日のうちにベクセリアの町についてしまった。
 ——だが。
「・・・本当に、ここ・・・?」
「・・・間違いない」
 キルガは、重苦しく言った。
 やけに寂れた感のある町並み。夜だから、というわけではない。
おそらく、朝も昼も、この町は『眠った』ような状況なのだろうと、推測できる。
「・・・今は——通称“流行病の町”ベクセリア」
「は・・・流行病・・・!?」
 マルヴィナは呟く。人間は、それで死んでしまう。天使は、そうではない。
 これが、人間の、儚さ——
「どーだろー。ビョーキ治す薬でももってきたら、感謝されんじゃね?」
「・・・どうかな」
 サンディの意見に、キルガが即答で否定する。サンディがその行為に愚痴る前に続ける。
「この町には、ルーフィンという名の学者がいる。そしてその妻エリザは町長の一人娘なんだ。
彼もはやり病のことは彼女を通して知っているはずだ。だから」
「薬で治るなら、とっくに見つけ出して病も亡くなってるはず・・・ていう感じ?」
「・・・仮定はね」
 キルガは肩をすくめた。