二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.178 )
日時: 2011/01/21 17:57
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: 9oy0/Hp9)

 翌日。ベクセリア町長の家にて。
「あ・・・お客様ですか?」
 使用人のような風体の若い女性が一人、恭しく頭を下げた。
「私、リアンダート家執事の代理、ハイリー・ミンテルと申します。本日はどのようなご用件で?」
 こういった堅苦しい雰囲気が苦手なマルヴィナ&セリアス、引き下がる。
シェナまで知らん顔なので、受け答えはキルガがする羽目に合う。
「・・・この家のご主人はお見えですか。会わせていただきたい」
「・・・分かりました。少々お待ちください」
 ハイリーと名乗る女性は、二階へ上がってゆく。・・・足音がほとんどしなかった。
「・・・あの人」
「ん? ・・・ああ、身のこなしのこと?」
 マルヴィナの呟きに、シェナが答える。
 だが。
「・・・執事の代理って、その執事も病気なのかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、・・・そっち?」
 脱力。
「冗談。・・・あぁ、割と隙がなかったね」
「・・・あぁ、マルヴィナって、つくづく旅芸人よねぇ・・・」
「・・・どういう意味だそれは・・・」
「そりゃエラフィタで川にドボン落ちしたからねぇ」
「言うなそれをっっ」
「・・・あの、二人とも。話がどんどんそれてるけど」
 キルガがそこそこのところで止めたおかげで、話は戻る。
「・・・えと。うん。・・・確かに、なんつーか鍛えてる感があったよね。
もしかしてあの人、正体女用心棒なんじゃないの?」
「・・・それは本気? 冗談?」
「本気」
「・・・・・・・・・・どんなよ、女用心棒って・・・あ、来た」
 話が長引いていたのか、それとも町長を探すのに時間がかかったのか、
あるいは町長の部屋まで長かったのか。二分経過していた。
「お待たせいたしました。こちらへどうぞ」
 そしてもう一度、階段へ向かった。

 ベクセリア町長、ラオン・リアンダートは、机に分厚い本を積んだ状態の部屋で待っていた。
「おお、あなた方が旅人の方、・・・ですか?」
 語尾の音が上がる。つまり疑問詞。
 マルヴィナは一瞬眉をひそめる。ラオンの、“こんな若造が”という声が聞こえたような気がした。
「えぇ。少々お伺いしたいことがあります。よろしいでしょうか」
 ・・・だが、ここでもキルガが活躍する。あっさりと、大人びた口調で用件を言う。
その様子にラオンは明らかに唖然とし、そして、「ど、どうぞ」と気を許してしまった。

 ・・・そんなわけで。
「はぁ、流行病、ですね。・・・実は、原因は分かっておらんのです。それでルーフィンの奴に・・・
おっと、失礼。私の娘の夫の学者に、昔の治療法を調べさせておるのですが・・・そろそろ結果が分かってもよい頃。
・・・しかしこっちから聞きに行くのも、・・・シャクじゃな・・・むぅ、どうしたものか」
 いきなり悩み始めたラオンを、冷めた目で見るキルガ以外。サンディ含み。
「・・・それなら、僕が行きます」
 あっさりと言ってのけるキルガ。マルヴィナは“僕が”に反応、
「ちょ、わたしも行くぞっ」
「だー、俺も行くって」
 セリアスも続き、
「どーしよーかなぁ」
 シェナがおどけて、
「アンタも来る!」
 マルヴィナツッコミ。
「やっぱ旅芸人」
 シェナが頷き、
「関係ないっ」
 マルヴィナが再ツッコミ、
「・・・それでは、行って来まーす」
 セリアスがそれをBGMに、ラオンにそう言っておいた。


 ちなみに、
「あ、名前聞くの忘れた」
 というラオンの呟きを聞いたのは、黙って廊下を掃除していたハイリーだけであったという余談もある。