二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.202 )
日時: 2011/01/28 20:20
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: FjkXaC4l)


       ——ざっ!

「んなっ!?」

 とびかかったセリアス自身、驚いた。
 全くダメージを与えられなかったはずの病魔が・・・今、確かに、悶えた。
「・・・え? いまの、・・・実体?」
セリアスは手ごたえを感じていた。気付いた。病魔を弱らせる方法を——
 病魔は精神体だ。だがそれは、攻撃を受けない代わりに、こちらを傷つけることもできない。
 攻撃をするために一瞬でも精神体を実体に戻すというのなら——
こちらが攻撃する 機会_チャンス_ は、病魔の攻撃のその一瞬。
「・・・・・・・くそっ、マルヴィナ・・・起きないぞ」
「・・・仕方ない。——奴が攻撃をする・・・実体に戻る機会を作る。攻撃は任せるよ」
 キルガの言葉にセリアスが頷こうとして、その言葉の意味に気付く。
「・・・待て。・・・それ、——囮になるってことか?」
「あぁ」あっさりと言われる。
「冗談じゃねぇ、そんな危険なこと任せられるかよっ」
 ・・・言うと思った。だからあえて、はっきりと“囮になります”と言わなかったのに。
「・・・それ以外の作戦を考えている暇はない。なるべく早く終わらせる必要があるんだ。
・・・それに、僕は」
 キルガは静かに、槍を構える。意識を集中させ、しっかりと両足立って、言う。
「——聖騎士だ」
 聖騎士——すべてを守りにかける、博愛の騎士。
 これ以上被害は出したくない。ここにいる仲間と、ルーフィンを、守ること。それが、今のキルガの使命。
 言い切られたその言葉に、セリアスは言葉に詰まる。その間に、キルガは走った。
シェナがふっとため息をつく。「・・・必死なのよ、キルガだってさ」
「分かってるよ」セリアスは答える。「・・・すぎるほどにな」
「・・・ま、任されたんだし——マルヴィナ心配なのもわかるけど——」
 シェナは複雑な表情をするセリアスを見る。そして、そんな戦士に、一言で気を奮い立たせた。
「——行くわよ」
「——あぁ」
 二人は集中する。



『・・・どう思う? 眠りに就いてしまったけれど』
 何かの、声がした。だが、誰も聞こえない。誰も気付かない。
『どうって・・・どー考えても、まだピンチじゃないっしょ』
『・・・まぁ・・・そうよね。無駄に“チカラ”を使うわけにもいかないし・・・』
 二人分の声だ。だが、やはり誰も聞こえていない。誰も気付かない。
『せめて、ブルドーガ戦の時みたいなヤバさがないと、動けないわな』
『えぇ。・・・でも、油断は禁物だわ。危険になったら、“チカラ”を使うわよ』
『言われなくてもわかってるって。——死なせるわけにはいかないってこともさ』
 ・・・声は、一度途切れた。だが、それでも、誰も気付かない——



「・・・・・・・・・っだぁぁああっ!」
 セリアスが叫ぶ。
「っイオ!!」
シェナが 空爆呪文_イオ_ を唱える。キルガが身を鮮やかにひるがえし、
“実体”に戻っていた病魔は再び悶えた。
「いける! ——ルーフィン、調子はどうっ!?」
「あと少し時間がかかりそうです。思ったより複雑でしてね・・・」
「——冷静に言うなっ」
 こっちは必死なんだっ、——と言おうとしたときに、病魔がのけ反った。
びくっ、として、セリアスは発言の機会を逃したということなのだが。
「・・・心臓に悪いわねっ」
 同じくシェナもびくりとしたらしく、無駄に緊張させてくれたお見舞いに 闇固呪文_ドルマ_ を唱えかけて
すでに“精神体”に戻っていることに気付き舌打ちする。
「割と弱まったわ、あとはほとんどルーフィンを待つだけなのに・・・」
「キルガ、もう囮になる必要はない! あとは奴の攻撃に気を付けるだけでいい。
このままの状態で、あとは封印されるのを待——」

 その時。
 病魔が、思いもよらぬ行動をした。

「?」

 今確かにそこにいたはずの病魔が——いない。
 消えた? いや、そんなはずはない。嫌な気配が、まだずっとしているのに——何処へ——

「あそこっ!」

 シェナが真っ先に気付き、指差した先は、マルヴィナのいる位置だった。
深い眠りについたマルヴィナは、目の前に病魔がいても、全く起きる気配がなかった。
「・・・まずい!」
 病魔の手が振り上がる。残された力を使って、一人でも多く道連れにするために——病魔は、マルヴィナを狙う。

       「っマルヴィナ———っ!!」




 その叫びが、止まった。

 マルヴィナを包み込んだ、青白い光を見て。








      Chess)連続中途半端止めっ しかも何か分かりにくいしっ(シェナ注・じゃあ書き換えなさいよ・・・