二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.25 )
日時: 2010/11/04 17:44
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: faiurqMg)

マルヴィナは。
「キルガぁー」
武具管理室にて名のとおり武器の点検をしているキルガに声をかけた。
「ああ、おかえり、マルヴィナ」
キルガは右手に持った槍から眼を離し、身体ごと振り返った。
「どうかした?」
「うん。オムイ様に報告してきて、で・・・これ」
右手を出し、そこにあるものを見せる。
「ああ、星のオーラか」
「そ。今から捧げに行くんだけど、オムイ様がキルガに案内してもらえって。
お願いできるかな」
キルガは笑う。断るはずがなかった。
「いいよ。だけど、少し待ってくれないか。あと少しなんだ」
「あ、急かしてないから。頼んでるのはこっちだし」
キルガは頷くと、先ほどより2.3倍ほど作業のスピードを上げる。
「武器の管理か・・・」
「守護天使の仕事だからね。いずれマルヴィナもやることになるだろう」
「ん。その時はまた教えてくれ」
再び、頷く。そして思った。
(マルヴィナも・・・守護天使、か)
なんとなく、嬉しい。理由は分からないけれど・・・心当たりは、
「・・・結構種類あるんだ」
・・・と、その時、マルヴィナの声がすぐ近くで聞こえた気がして、
キルガははっと我に返り、ついでにいつの間にか手が止まっていたことに気付く。
というのはこの際キルガには関係のないことで、それよりも彼には、
いつの間にかマルヴィナが何故気付かなかったのかというくらい
近くにいたということのほうが重要であった。
「なっマルヴィナ!? いつそこに!?」
「いつって、さっきからいるじゃないか。何を今さら」
ズレた事を大真面目に言い返すマルヴィナに若干のめまいを感じつつ、キルガは慌て言い直す。
「そ、そうじゃなくて、“この位置に”いつ・・・!?」
「ああここに? 今さっき。——んな事聞いてどうすんだ?」
いやその、と口の中で呟き、視線をサッと逸らせた。
心臓がバクついている。顔も熱い。
・・・つまりそういうわけなのだが(気付かない人はマルヴィナ並に鈍いのかもしれないが ←失礼)、
マルヴィナはらしくないキルガの慌てように首を傾げるのみだった。
「・・・えっと。終わった。・・・行こうか」
「ん。意外に早かったな」
実はやりかけなのだが。
一応何も言わず、板に槍をかけた。





 Chess)
最後シャレじゃないです。
“やりかけ”と“槍かけた”の。 たまたまですホントですマジで(汗

Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.26 )
日時: 2010/11/05 17:01
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: 8C47jR.4)

・・・つまりそういうわけで。
ただいまマルヴィナは、キルガを案内役に階段を上り続ける。
蔓の伸びた階段、古めかしい石造りの塔、きらりと輝く満天の星。新鮮な空気。

「っ大きいなー! それに、すごい綺麗」

そして、美しい世界樹。
「ずるいなキルガ、わたしらよりずっと前から見られたなんてさ」
「それについては何とも言えません」
「あはは、冗談。・・・ここで、星のオーラを捧げればいいんだよな」
「ああ。やってみなよ」
マルヴィナは頷き、両手を出す。結晶は、ひとりでにすぅと浮き、
世界中に吸い込まれるように——ぱっと、消える。
途端、
世界樹は、神々しく、金と銀の輝きによって、空間を照らし出した。
光が消えるまでそれに見とれること数秒、マルヴィナはようやく声を出す。
「鳥肌たった。すごい綺麗! ずるいなキルガ以下略」
「ははっ、それについては、こちらも以下略」
「・・・普通に言ったほうが字数少なくないか?」
キルガはさりげなく無視。
「・・・とにかく、報告してきなよ。道は覚えた?」
「多分。でも、戻るのは同じだろ?」
「まあね」