二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.27 )
日時: 2010/11/11 15:57
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: rHtcSzQu)

—— 2 ——

というわけで(何が“というわけで”なのかは分からないが)人間界。ちなみに、ウォルロ村。
新米守護天使マルヴィナは、自分の“仕事”をそつなくこなすべく、
しかしせかせかちょこまか動いていた。

只今の仕事は、指輪探しであった。
教会で毎日祈っているおばあさんの、亡き夫の形見。
どこかで落としたらしく、どうか見つかりますように、というような事を呟いていた。
マルヴィナ曰く、祈ってる暇あったら探せよ、なのだが、
まあこれも仕事のうちとトコトコ歩いているわけなのだが。

「ワン!」
「・・・っふえええええい!?」

・・・いきなり不意打ちかまして何かに吠えつけられたマルヴィナは、
超高速回転、とはいえ180度ではあるが、・・・つまり振り返った。
ちなみに、今回もイザヤールはいない。これから世界を回るつもりだという。
イザヤールといえば、上級天使のまた上位、しかも“世界の守護天使”なんて格好いいじゃないか!
ここでビビッて引き気味になってちゃっかり剣に手を伸ばしかけている
ちょっと間抜けな“新米”守護天使とは大違いである。
「ななななぁ? いっ犬か! ビビった!」
「ワンワン!」
「は? キャビア? ・・・えっと、名前?」
「ワン!」
「ああハイハイ、つまり名前で呼べってことね。
 キャビアなんてぜーたくな名前してんな」
「ワワワン! ワワン!」
「あー分かった分かった。しつれーしました。
 ・・・って、いまさらだけどアンタ、わたしの姿が見えるのか?」
しかも会話までしている。・・・いや、天使の場合、
動物とも放せるのだからおかしくはないのだが、反対となると・・・
「ワン。ワワン」
「う、うるさい。気付くのが遅くて何が悪い!」
「わん!わんわんわん」
「くっ比べるな!! 当たり前だろうイザヤール様は上級天使、わたしは新米! 
 頼りなさそーで悪かったなっ!」
・・・と云々、何故か犬相手にムキになるマルヴィナであった。
「・・・こほん。とにかく。おま、キャビア。アンタ指輪見なかった?教会のおばあさんの」
犬に助けてもらう守護天使。
「ワンワン!」
「おっ! いいぞキャビア。案内してくれ!」
・・・というわけで、犬連れ指輪探しの始まり始まり。のはずが。

「・・・それは輪ゴムだ! んな太い指の奴がいるか!」
「何故に金!? 教会に寄付! ・・・無理か」
極めつけは。
「どっから持ってきたその下着はっ!? 変体かお前はっ」

・・・と、全く役に立たない犬であった。
呆れと疲れに脱力するマルヴィナ、ひらりと手を振り一言。
「・・・まーいい。もーいい。自分でやる。んじゃねキャビ公」
「わん。くぅん」
「・・・・・・・・。なに? 今度は」
心底嫌〜な顔をし振り向くと。その口には。

「・・・・・・・・は?」
・・・指輪登場。

「くぅん」
「見つけたのか!? おっしゃ、よくやっ——」
と、マルヴィナここで停止。
(・・・待てよ? ・・・今見つけたなら、褒めるべきだけど、まさか)
対象的に、コイツまさか本当はずっと持っていたんじゃ、とかなんとか思っていたりする。
マルヴィナは次の行動に本気で困った。