二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.281 )
- 日時: 2011/03/15 20:28
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
3.
日付が変わり、日が昇る少し前の時間帯となった。
マルヴィナたち四人は、珍しく全員がぐっすりと眠った。
大抵、マルヴィナやキルガあたりが寝れない、とか言ってずっと起きていたりする。
野宿する場合、明らかにこの二人が不寝番をすることが多かった。
多分その原因は、オリガとの夜遅くまでの会話と、耳に届く優しい波の音と、
シェナがこっそり紅茶にいれた睡眠薬が原因だろうが——当然、一番最後の事実は本人以外知らないのだが。
が、当然村娘であるオリガは、この明朝にしっかりと目を覚ましている(姫騎士の蒼い娘とは大違いである)。
オリガは、隣で規則正しい寝息を立てるマルヴィナとシェナ(残る二人は別の部屋であった)を見て、考え込む。
自分が海のヌシを呼ぶことについて。
マルヴィナは、海のヌシに頼るのはよくないと言っていた。
が、シェナは、それもそうだが、村が滅びるのを防ぐために、時には何かに頼ることも必要だと言っていた。
二人の意見はどっちも正しい。が、それでもオリガは、どうしても今の生活が間違っているようにしか思えなかった。
オリガは、これ以上ヌシを呼ぶのが嫌なのである。昨日の夜、村長に呼ばれた時、そのことを言ってみたりもした。
が、当然の如く、彼はそれを許してはくれなかった。
確かに、貧しくなったわけじゃない。不幸になったわけじゃない。
むしろ、周りの人々の笑顔は増え、豊かにもなった。けれど、納得いかない。間違ってる、そう思った。
あの海の、巨大なぬしさまに頼って、漁をやめる。漁が滅びていく。それだけは、耐えられない。
そうよ。こんなの、間違ってる。あたしのお父さんは、村一番の漁師だった。あたしも、女で、幼いけど、
絶対父さんの仕事を受け継いでみせるって、決めたんだ。なのに・・・今は、こんな状態。
絶対に、こんなの、よくない。・・・なのに、どうして村長様は聞いてくれないんだろう。
確かに、村長のロネスはいい人物である(とオリガは思っている)。
評判は良くはないが、村人の心配はしてくれるし、
一人暮らしのオリガを村長宅に来ないかとまで誘ってくれた。しかし、と見に目がくらみすぎる、あの性格は、
どうしても好きになれなかった。それがなければいい人なのになぁ、と思う。
オリガは急に、ばっ、と顔を上げ、立ち上がった。
ようし。もう一度、言おう。これ以上、お祈りはできないと。
少女は、くすんだ顔と対象の、きらきらと強く光を話す瞳を瞬かせた。
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.282 )
- 日時: 2011/03/15 21:04
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
オリガのいなくなった部屋に、マルヴィナの呻き声が聞こえる。
何か夢にうなされているのか、いやそもそも天使って夢なんか見んのかな? とかなんとか考えつつ、サンディは
パタパタとメイクし、髪をセットしていた。
が、彼女にとって、マルヴィナがどんな夢を見ているのかは気にする対象にあたっていない。思うことは、
(うるさい)
の四文字であった。
(あ〜も〜、寝てるときくらい静かにしなさいっての!)
しかしマルヴィナがそこではい分かりましたと言って寝言をなくすわけでもなく。
サンディは呆れたが、その後、にやっ、と笑う。
「起こしてやりマスか」
サンディ、後ろに下がり——ひとつ息を吐き——
「せ—————————のっ!!」
激突!
ど か っ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ぃぃぃぃいいいたぁぁぁぁあああっ!?」
「んはっ?」
マルヴィナ、サンディの悲鳴(?)で起床。次いでシェナも。
「んあー? なにー?」
と呟いたシェナは、長いぼっさぼさの銀髪を振り乱し、左目を隠し一方の右目を半眼にしていた。凄く怖い。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
サンディは、後頭部をおさえ、マルヴィナを睨む。もはや自業自得であったことは関係ない。
「あ———〜・・・おはよ、サンディ。今日も派手だね」
サンディが口をパクパクさせる。恨めしげな視線に、マルヴィナ無視、というか気づいていない。
「あぁ・・・よく寝たな・・・あれ、オリガは?」
「知らん」
外だと素直に答えてやる気にもなれず、返答する。
「んー、お祈りのぉ時間なんじゃなぁい?」
シェナが寝ぼけ眼で言う。起きたての彼女はいつもこんな感じである。
戦闘中や物事を考えるときの凛々しさとはどう見ても程遠い。
「いや、それにしては早いん・・・シェナ、怖い怖い怖い!!」
シェナの辛うじてさらしてあった右目までもが銀髪に隠れる。どよーん、と無造作に垂らした髪が
頼りなげにふらふらしていた。というか暗闇で見たら間違いなくシェナを知らない一般民は気絶するだろう。
「そぉ? ・・・ふぁぁぁあ」
祈りの時間云々の返答か、怖い×3の答えか、いずれにせよそう答え、あくびをし、
ようやく、起きるか、と布団から這い出てきた。ほぼ虫の動作である。
と、その時。
ドンドンドン!
ドアが激しく乱打される。
「ん?」
マルヴィナが、ややはっきりした目でドアに向く。
「おいっ! いるんだろ旅人! お前らオリガに何を吹き込んだ! 出て来い!」
「着替え中よ。変態」
シェナが寝ぼけ眼にしては正当な意見を述べる。少々不機嫌だ—寝起きだから仕方ないが—。
「あぁ? 何だって? 出てこないなら、ぶち破るぞっ」
「えぇ? ちょっ、今はちょっと・・・」
ば ん。
ドアが開く。声の主と思しき男が部屋の中を睨んで、しばらくして呆然と動きを止めた旅人の女二人と目が合い、
内一人が下着姿ということに気付き。
「っ変態———————————っ!!」
シェナに叫ばれ、マルヴィナに剣の柄で尻をブッ叩かれたという、散々な目にあった。