二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人   ( No.34 )
日時: 2010/11/12 18:09
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: FtPJcOXY)

・・・天使界、頂上。
リタイア(?)したテルファを置いてきたセリアスだけがこっそり階を上る。
正式な守護天使二人はもちろん堂々とそこへ向かった。

金と、銀と、蒼と、白。
美しく、神々しい光が、今までに例のない輝きを見せていた。
ギックリいったのにもかかわらずやはり驚異的なスピードで昇りきったオムイと、
既に世界中の傍らにいたイザヤールは、若い守護天使二人に命ずる。

星のオーラを捧げよ、と。

共鳴するかのように輝く結晶は、
浮かび、煌き、
樹に吸い込まれ——光輝。
星の輝く夜空は、それより遥かに強い光に包まれる。
それだけではない。
光は止まない。
葉と、葉の、間。
膨らみ、輝き、実を結ぶ——女神の、果実!
黄金の煌き、神の国への搭乗券。
見守っていた上級天使たちは、喜び、手を叩き、喝采の声をあげる。
マルヴィナは、隣のキルガへガッツポーズをして見せた。キルガも同じように返す。
遠い夜空の向こうから、次第に大きくなる一等星が見える——否。
汽笛の音と共に、光の煙を伴いやってくる、あれは。

「天の・・・箱舟じゃ!!」

それは、神の国へ戻るための——名の通り、箱舟。
つまり、神の国へ行けると・・・そう、証明している。
「女神の果実を神の国へお届けせねば。——そうじゃキルガ、下にいる者たちを呼んできてくれ」
「はっ」
キルガは敬礼。そしてその必要もないかもと、セリアスの顔を思い出して考えた。

——そんな中、一人だけ。
ラフェットだけは、表情が曇っていた。

“行って来る”

そう言ったきり、帰ってこなかった、天使エルギオス——イザヤールの、師匠。
彼は——

「————————っ!?」

だが、その刹那。

「 うっ・・・ああああっ!? 」

・・・地が、揺れる——地上から、凄まじい爆発音が轟いた。
いきなり。
何の前触れもなしに。
邪悪としか言いようのない、黒と、紫の雷_いかずち_、波動・・・
それが、

————天使界を襲っている。

果実は飛び散る。
天の箱舟は砕けた。
地上へと吸い込まれていく。
誰一人立てない。
・・・いや、それどころか。

「                 」

だれかが、叫んだ。——キルガだ。
「——っキルガ!!」
ラフェットが叫んだのとほぼ同じだった。
彼もまた、箱舟や果実と共に地上へ、落ちる。ラフェットの顔がさらに引きつった。
そしてまた、マルヴィナも。
風が、揺れが、邪_よこしま_の力が強すぎた。
左手一本で、辛うじて何かを掴んでいた。だが、もう腕は痺れている。絶えられそうに、
「——マルヴィナ!!」
・・・イザヤールの声が、届く。マルヴィナの薄れかけた意識が戻る。
「つかまれっ!」
風が反発する。右手を必死に前に出してゆく。

だが。


その瞬間、左手の痺れは、消えた。

感じるのは、強い風のみ。

風に、飲み込まれた。

わたしは、落ちていた。


誰かが、私の名を呼ぶ。


だが、その声も、聞こえなくなり——






辺りは、闇になる。







              【 Ⅰ 】 ——終結。