二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.361 )
- 日時: 2011/04/22 20:22
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
四人はからくり屋のおじさんを加えて再びマキナ宅へ。行ったり来たり忙しい。
シェナがマルヴィナの後ろにつきながら、あたりを見わたし——ふっと、視線を止めた。
町の民の中に、見覚えのある人物がいたような気がしたのだ。
背中を見せ、何かが入っているらしい大きな袋を担いで歩いていく、あらくれの男。
「・・・あいつ・・・」
「ん? どしたのシェナ?」
マルヴィナがその呟きに反応して、問うた。シェナは、何でもない、と応え、マルヴィナの後ろを追った。
すっかり人気のなくなった屋敷に入り、彼らは遠慮がちにマキナの部屋へと足を踏み入れる。
手を付けていないままのケーキがぽつんと、妙に悲しく置き去りにされていた。
さらに奥の扉の前にからくり屋のおじさんが立ち、ノックをする。反応はなかった。
「・・・・・?」
ドアノブに手をかける。かちゃっ、と小気味いい音がして、若干部屋の中が見える。
「・・・ちょっ、まさか今度こそ中でうわぁぁぁなんて——あでっ」
すかさずセリアスにシェナチョップが決まる。
「寝ておられるのだろうか」
ふうむ、と唸るからくり職人。キルガが「そういえば」と急に声を出す。
「・・・さっき、怪しげな男がいませんでしたか? やけに大きな袋を持った・・・なんとなく、引っかかる」
「あぁ、いたな。あらくれみたいな——」マルヴィナの言葉が途切れる。急いで、その場で叫ぶ。
「・・・・・開けてくれ、嫌な予感がするんだ!」
さっと青くなった表情と、切羽詰まった声に、セリアスが「・・・やめてくれぇ」と情けない声をあげる。
「マルヴィナの悪い予感、外れたことないんだからよ・・・」
言われるがままに扉を開け、ざっと部屋を見渡す。マキナの姿はなかった。出かけたのだろうか。
いや・・・それならいいが、何故、こんなにも不安なんだろう・・・。
「何か、消えたものはありますか?」キルガだ。「何でもいい。あなたの方が詳しいはずだ」
キルガはマルヴィナの“嫌な予感”を信じ、からくり職人に尋ねる。もう一度部屋を見わたし——
「・・・人形が・・・」
そう、呟いた。
「人形」マルヴィナとキルガの声が重なる。
「あぁ。マキナさまの等身大の、本当にそっくりに仕上げた人形だ。
マキナさまは病弱で、外には出られなかったからな。少しでも友達として思ってくれるようにと考えて」
ふぅむ、と三人が唸った時。
「・・・・・・・おい。これ・・・・・・・・」
セリアスの、三人を呼ぶ声がした。隣にいたシェナが、一枚の羊皮紙を突きつける。
羊皮紙には、こう書いてあった。
【 娘は預かった
カネを持って北の洞窟まで来い 】
「・・・・こ・・・これって」
マルヴィナの考えたことは、他の四人と同じであった。
「た・・・大変だ・・・っっ」
からくり職人は、急いで屋敷を飛び出すと・・・町の住民たちに向かって、叫んだ。
「マキナさまが・・・マキナさまが、さらわれた!」