二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.376 )
- 日時: 2011/04/28 20:30
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
デグマやクルトを残して、四人はさらに奥へと足を進めた。
一行を待ち受けていたのは、魔物の大群である。
侵入者発見用の機械メタルハンターや、水中の殺し屋オーシャンクロー、
闇の呪文使いメーダロードに、その師、邪に祈る祈祷師。感想は。
「多すぎだろっ」
・・・当然これである。
「あ〜、うっとうしい。そこを退きな・・・さそうね。これは」
人間相手ならともかくさすがに魔物相手にシェナの脅しが効くはずもなく。皆散って、戦闘開始。
魔法戦士となって、敵の弱点を見極められるようになったマルヴィナは、
ざっと見積もって光に弱い敵が多いことに気付く。
(光・・・ライトフォースか、・・・・・・って)
一番難しい奴じゃないか!! とマルヴィナは心の叫びを漏らす。ダーマ神官と戦った時は
たまたま発動したものの、常時で使うのはかなり厳しい。こう考えると、あのとき涼しい顔をして
ライトフォースを発動させた嫌味男(腹が立つので名前は出さない)が
少し、微妙に、ほんのちょっと、凄い奴なのかもしれないと思ってしまう。
(・・・ま、それはいいとして)
変人男(やはり名前は出さない)の浮かびかけた顔を頭の黒板消しでさっさと消して、
マルヴィナは脳裏に複雑な文様を描いてゆく。魔法文字を完成させ、意識を
オーシャンクローを相手に闘うキルガに向けた。ダークフォースが宿る。
ダークフォースはある程度経験を積んだ魔法戦士しか[使ってはいけない]と言われている。
だが、ライトフォースのように難しいからと言うわけではない。ダークフォースの持つ力は、土と闇。
使い方を間違えれば、宿った者はその闇の力にむしばまれる。宿す者の力量を判断する力がないと
扱えない——それが、経験豊富な魔法戦士しか扱えない理由である。
もっともマルヴィナは仲間の力量を信頼しているし、闇に食われるわけがないと知っているので、
初めから使えるようになっていたのだが。
(さて、と・・・次は、シェナだな)
先ほどとは違う、今度は比べればやや簡単な模様を思い浮かべる。魔力を温存するべく弓を使うシェナは、
同じ弓使いメタルハンターと戦っている。そんな彼女に、マルヴィナはストームフォースを送った。
(・・・よし、次はセリ——)
「っうっ、わっ、わっ、わわわわわぁがっ!?」
セリアスには援護ができなかった。しようとはしたのだが、その前にメーダロードに見つかったのである。
(や、や、やっば、見つかった、ゴメンセリアス頑張れ!)
文様の代わりにかなり無責任なことを思い、マルヴィナは大股で三歩跳び、魔物と距離をとった。
「む・・・」
そして、リッカからもらった剣——この前の石の番人戦で刃こぼれの目立ち始めた 白金剣_プラチナソード_を
油断なく構え、一気に踏み込んだ。
「せぇぇぇぇえいっ!!」
が、相手は浮遊体、ふぅわりとやけに優雅にかわされる。・・・優雅のくだりで少し腹が立った。
「このぉっ・・・」
悪態をついて、もう一度踏み込もうとした時、
「気をつけろ、マルヴィナ!」
セリアスからの叱責がかかる。
「攻撃は捨身と同じだ! 相手に近付けば、逆に相手からの攻撃も受けやすくなることを忘れるな!」
「おっと・・・了解!」
叫び返しながら、さすがセリアス、と思う。戦いの猛者の名は伊達ではなかった。
・・・が、マルヴィナはその後、メーダロードによってその言葉すら意識できない状況に陥るのである・・・。
Chess)ここで「後半に続く」とか言ってやろうか・・・
シェナ)作者いくらここが二次小説だからと言って「ちび●るこちゃん」のパクリはやめなさい。
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.377 )
- 日時: 2011/04/28 21:01
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
「ひいいいいいいいっ!!」
「マルヴィナ——っ!?」
「大丈夫か———!?」
「無理! 無理! 無理!」
・・・現在、こんな感じである。
マルヴィナは珍しく、否、初めて敵から脱兎の勢いで逃げていた。
その理由は相手がメーダロードということと、朝の起こされ方にある。
セリアスからの助言を受けた後、マルヴィナが相手を観察していると、メーダロードの触手が
怪しげな動きを見せたのである。む、と注意深く次の行動を待つと、その視線の前に闇の魔法、
闇固呪文_ドルマ_ が現れたのである。
「うわ、わわ、わっわわわわっ」
朝シェナにその呪文で起こされたマルヴィナは不幸にも闇呪文系恐怖症となっていたのである。
きゃーきゃー逃げ回る(実際にきゃーきゃーと言っていたかは定かではない)マルヴィナに対し、さらに
追いかけながら 闇力呪文_ドルクマ_ まで唱えてくるのだからもうたまったものじゃない。
原因者の一人であるシェナは、
(ごめん、マルヴィナ! 一応ははんせーしてるから、頑張れー!)
・・・というこれまた何とも無責任な思いをマルヴィナに向けていた。
が、
(いや、あれは頑張れはしないだろう・・・)
シェナの思いを読み取ったわけではないのだが、キルガは偶然にもそう思っていた。
マルヴィナが苦手とするものは無に等しいが、ないわけではない。以前天使界で[そいつ]を見た時の
マルヴィナの反応は雪と雨と槍と弓とトカゲがいっぺんに降ってくるほどの異常ものであった。
あの時よりはずっとましなものの、放っておいて良い状態でもなさそうである。
(・・・ダメだ、こっちはこっちで手が離せない。となると・・・)
「・・・・・・っマルヴィナ、 呪封呪文_マホトーン_ だっ!」
キルガは間一髪、オーシャンクローの攻撃をかわすと、そう叫んだ。
マルヴィナは若干の涙目でキルガの方向を見る。
「な、何ーっ!?」
「マ・ホ・ト・ォ・ン!!」
「まほと・・・? あっ!」
かなり区切れ区切れに叫ばれ、ようやく気付く。マルヴィナは一度速度を速めると、
踵で急ブレーキをかけ、もう片方の微妙に震える足をダン、と無理矢理地につける。
素早く空中で魔法文字を描き、人差し指と中指をくっつけて立たせ、びしとメーダロードに突きつける。
「マホトーン!!」
高らかに、その呪文を唱える。魔法封じである。再び 闇力呪文_ドルクマ_ を唱えようとした
メーダロードの触手からは何も生じない。ぴきーん、と緊張していたマルヴィナはだぁっと肩の力を抜き、
「これがわたしの 呪封呪文_マホトーン_ だ! ありがとキルガ!」
「え、何っ!?」
いきなり呼ばれて話の内容も知らずキルガは思わず反応。ごめん、後でいい、とマルヴィナは慌てて頭を下げる。
呆気にとられたメーダロードは、やがて、ふぃぃぃぃん! と情けなく鳴くと、
持ち前の素早さでさっさと逃げてしまった。
「うん。わたしはあんたと違って、追いかけはしないよ」
来る者拒まず、去る者追わず、である。
最初は単にイザヤールを真似ただけなのだが、今ではマルヴィナはそれを誇りとしている。
(・・・さて。それじゃ、シェナを手伝ってやるか)
別に恐怖症が増えたのはシェナのせいじゃないよ、多分、きっと、おそらく、うん、・・・、と、
いまいちはっきりと断言できないマルヴィナではあったのだが。