二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.394 )
- 日時: 2011/05/14 09:15
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
「グビアナ城に行ってみたいんだ」
日は巡る。
その日の夜、宿屋の夕食に舌鼓を打っていた一同に、キルガはそう言った。
船乗りの修行を圧倒的なというか異常なというか、とにかくありえないスピードで終えてしまったセリアスは、
今やすっかり船を乗りまわせるようにとなっていた。
これにはさすがのジャーマスも引き、
「おまえ・・・本当は船、乗ったことあるだろう」
もちろんありません、とセリアスは即答したらしいが。
ともかく、そんなわけで船は正式に一向に譲り渡された。大切に使えよ、と言われ、
何故か契約書みたいなものを書かされた。ちなみにマルヴィナが書いたので、サンマロウの民からは
[マルヴィナ一人が]船を受け取ったものと勘違いされていたりする。
「グビアナ城?」
マルヴィナは問い返す。
「セリアスには話したんだけれど。僕は天使界から、グビアナという名の国に落ちたんだ。
セントシュタインで戦士になれるように、グビアナでは聖騎士になることができてね」
「あぁ・・・もしかしてそこで、聖騎士に?」
「話が早いな」キルガは笑うと、頷いた。「まぁ・・・事情があって、修道院は追われたんだけれどね」
「あぁ、そうなんだ・・・そうだよね、キルガが自分からそんな短期間で何かをやめるなんて言い出すわけないからな、
セリアスみたいに」
最後に呟かれたマルヴィナの一言に、
スープをすすっていたセリアスが「ぶほっ」と言ってむせた。少量が飛び散る。
「マルヴィナっ、なんつーことをっ」
「こぼれたのはわたしのせいじゃないぞ! さっさと拭け!」
「そーじゃねぇっ。明日船に乗せてやんねーぞっ」
「契約書を書いて正式に受け取ったのはわたしだ! あんたは運転手だ!」
「んじゃその船から突き落としてやる!」
「その言葉、そっくり返すぞド変態!」
「・・・・・・・・・あの」とりあえず、シェナが一言。
「今、食事中なんだからさ。とりあえず手を動かしましょうよ。ついでにマルヴィナ、“運転手”は違うと思う」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
のーんびりと言われ、二人は乾いた表情で黙り込む。ついでに脱力。シェナは無視した。
「・・・どこにあるのか分かってんのか、そこは」
セリアスは繕うように、話題を戻す。キルガは苦笑して、「分かっている」と答えた。
「北東だ。記憶に残っているし、訊いても見た。間違いない」
「北東か」マルヴィナはパンを千切り、口に放り込む。
「新天地だな。この辺りでちょっと、気を引き締めるとするか」
「あれ、行くこと決定?」セリアスが問い返す。
マルヴィナは肩をすくめ、「じゃあどこに行くと?」と抜け抜けと言ってみせる。
「まさか思い出つくりの旅に出るとか言わないわよね?」シェナまで便乗する。
当然返す言葉のないセリアスは、
「・・・なぁキルガ」
話し相手をキルガに変え、
「何?」
「・・・女って怖いな」
「そうだね」
その後素早く目を合わせた女二人に男たち二人がボカスカ殴られる羽目にあったのは言うまでもない。
翌日、四人は旅立つ。
今回は、様々なことがありすぎた。女神の果実と船の入手、謎の帝国と——その記憶。
・・・その記憶を巡り、彼らの旅に新章が訪れることを——四人が、知るはずもなかった。
【 Ⅷ 友達 】——完結。