二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.399 )
日時: 2011/05/17 20:06
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)

   断章





『・・・遂に現れたわね。ガナン帝国が・・・四人の、前に』
 封印の祠と、サンマロウ北の洞窟で聞こえたあの声が・・・聞こえる。
『あぁ。それに、薄々気付いてるみたいだぜ? マルヴィナの奴・・・自分の記憶の異常さに』
『そうね』優美な声は、ため息と共にそう言った。
『・・・そろそろ、知るべきなのかもしれないわね。マルヴィナと、セリアスと・・・そしてキルガ、
彼らに眠る真実を』
『だな』口調はがさつではあるが確かに女のものであるかすれ気味の声が、同意した。
『どうするんだ? “キルガの記憶の渡者”、そろそろあいつらはグビアナ城に来るかもしれない』
『ええ。でも、カルバドへ行くかもしれないわよ? “セリアスの記憶の渡者”』
 からかうようなかすれ気味の声に、優美な声が便乗してそう言った。
『ま、そのときはそのとき——ありゃ。どーやら、グビアナ城に行くらしいな、あの四人』
『そう』優美な声は簡潔に呟いた。
『・・・ええ、やはり、知るべきだわ。三人の秘されし真実を・・・翼無き天使の意味を・・・』
『一気に言うと[色々]まずいからな。せめて、[あいつ]が復活するまで、アタシらで時間を稼ごう。
・・・とにかく、まずはマルヴィナが、[あいつ]の“記憶の子孫”であること——それから伝えるのがいいだろな』
『ええ。・・・任されたわ』
『ん』
 かすれた声は満足げに一言発し・・・ふと、考える。
『・・・[あいつ]の称号のことはまだ伏せる?』
『称号?』優美な声は問い返す。



『あぁ——“蒼穹嚆矢”のこと?』



『そ。・・・ま、どっちでもいっか』
『考えておくわ。とにかく、伝えなければならない。・・・記憶の先祖の事とマルヴィナに数千年前の記憶のある理由、
私たち“不人間”のことと・・・そして、ガナン帝国のことをね』
『あぁ。頼んだよ、——“悠然高雅”アイリス——』
『・・・了解したわ。——“剛腹残照”マラミア——』
 台詞めいた言葉の余韻を残し、声は聞こえなくなる——・・・。