二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.511 )
日時: 2012/08/02 23:01
名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: bkovp2sD)

 キルガは敵を睨み付けた。指を口に当て、高らかに口笛を吹く。挑発。
バラモスの巨体が、ゆっくりとキルガの方を向く。その隙に、マルヴィナとセリアスが突撃。シェナが援護する。
これだけ体格に差があったら、もう足元から攻めて、傷を負わせ、動きを鈍くし、
欲を言えばうずくまるか倒れるかしてくれなければ確実に急所を狙えなかった。
 安直すぎ、単純すぎる、だが今の彼らにはそれしかない作戦であった。

 ——持久戦。
果たして、どこまでもつだろうか。

 重装備を気にせず俊敏に動き回るキルガに苛立ちを覚えたのか、
バラモスは先ほどと同じように腕を振り上げ、叩きつける。
キルガは辛くもそれを避ける、だが、状況は先ほどとほぼ同じとなった。
 すなわち——再び、マルヴィナとシェナは吹き飛ばされたのである。
しかし今度は、その位置がまずい。殆ど敵の眼先である。
「しまっ——」マルヴィナの声は、最後まで紡ぎだせない。



 バラモスの雄叫び、威嚇、そして、息を吸う。四人、身をすくませる——


 火炎が、巻き起こる。


 マルヴィナは咄嗟に身構え、キルガは盾を振りかざし、セリアスは後ろに跳び、シェナは逃げ遅れる。
「————————————ッ!!!」
「う————っ!!?」
「シェナっ」
「マルヴィナ!?」
 セリアス、キルガが叫ぶ。吹き飛ばされて体勢の崩れていたマルヴィナもその行動に意味はなく、
シェナと同じく大火傷を負う——しまった、と両者は思った。
回復役が一気に、二人動けなくなった。この場で回復呪文を使えるのは、もうキルガしかいない。
だが——シェナはすでに動かない。マルヴィナも、小刻みに震えるのみである。
 それでも、二人を回復させねばならない。キルガは集中する、が、敵の動きは迅速だった——
させまいとするように、再び、腕を振り上げる——

(・・・—————————間に合わ—————!!)












 ____________________ざっ!!























「ちょっと、何でこんなところにいるんだよ!?」
「不思議はないわ。どうせ、ここは並行世界——私たちにとっても、彼らにとってもね」





 ・・・回復は、間に合った。
敵の攻撃をさえぎった者たちのおかげである、そしてそれは———















 顔は見えない、だが、灼熱の長髪と、金色の結え髪の女性二人は——・・・










「ま、やばそうだし、さっさと斃すか」
「そうね。そのあとに、『現世』に送り返せばいいわね」
 灼熱の長髪が、跳躍。その手にしていたツメが翻る。紅い波動、雷音。
 金色の結え髪が、詠唱。掌から、冷気がほとばしる。蒼い巨氷、割音。

 回復したマルヴィナが、キルガが、セリアスが—シェナは依然として目を覚まさないが、どうやら息はあるようだ—、
呆気にとられたまま、その光景を眺める、目の前で起こる激戦が、信じられないとでもいうように。

 あれだけ苦戦していた敵が、反撃すらできないまま、一方的に押されてゆく。
「やりぃ! 奴さん、足痛めてんじゃないか!」
「大分楽に進められるわね。彼らに感謝する節もあるみたいだわ」
 余裕そのものの声を聞いているうちに、——いつの間にか、敵はゆっくりと後ろに倒れていた。
その身体が、ゆっくりと消えてゆく。

 ・・・早い。三人は、同時に思った。
こんなに早く、しかもたった二人で斃せるほどの実力者——



 その二人の名は—————・・・








「はい、そこまでだ」
 灼熱の長髪が言う。
「今回何でこの世界に来れたかは知んないが、ここはまだあんたらが来るところじゃない」
「まだ足りない」金色の結え髪も言う。
「実力をつけること。できるなら、二度と来てはいけない」


 あまりにもいろんなことが起こりすぎて、何も言えない三人は、その状況を崩すことのないまま、
窮地を脱させた二人の女傑の放った白い光に包まれる——













 意識があったのは、そこまでだった。










漆千音))
 何が1〜2週間だめっちゃ過ぎてんじゃないか——なんてマルヴィナの言葉は聞こえません。えぇ聞こえませんとも。
 そして話が急展開過ぎるだろう——なんて声も聞こえません。
 どうせネタが尽きたんだろう? ちょっと誰だ今の声。
 『聖騎士』の時みたいなシンプルな話じゃなかったから厳しいっぽかった。番外編次で終わります。本編戻ります。