二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.513 )
日時: 2012/08/03 13:06
名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: bkovp2sD)

 ——————————「・・・で」


 翌朝、マルヴィナは呟いた。
「結局のところ、何だったんだ?」
 だが、その問いには、う——むと悩むほか三人。

 もちろん、昨日あるいは今日の、『並行世界』という名の夢についてである。


 一番初めに目が覚めたのはキルガで、次いでマルヴィナ、シェナ。
例によってセリアスはシェナがブッ叩いて起こすまでぐーすかぴーすか寝ていたのだが。
 マルヴィナとキルガは不寝番の途中、二人して湿地帯その場で意識が途切れたために服がかなり濡れていた。
だが——『並行世界』で負った傷については、これが何にもないのである。
 夢なのか。本当に別の世界とやらで現実に起こったことなのか。
どちらの結論にしても、同じくらいに疑問が残った。

 さらに疑問の幅を広げているのは、途中で助けに来てくれた[あの]二人である。

 顔は見えなかった、声ははっきり聞こえた。だが、あの二人は、紛れもない。
現在マルヴィナを最も混乱に陥らせている者——“剛腹残照”マラミアと“悠然高雅”アイリス、
この二人に間違いなかった。




「だ——————————、もうだめだ。パンクする」
「ぷしゅー」
 セリアスの降参の声に便乗して、シェナ。あまりにも気の抜けた発言に、マルヴィナは思わず吹き出す。
緊張感漂っていた空気が、少々晴れたような気がした。
「・・・それにしても、強かったな。あの二人は」
 キルガだ。誰に言うわけでもなく、ぽつり呟くように。
 これには皆、頷くほかなかった。圧倒的、なんて言葉では表せない。
「なんというか・・・うん。・・・・・・・・・」
 言葉を見つけようとするが、マルヴィナには無理であった。
その代わりに、言う。
「・・・わたしたちは、まだまだ・・・ってことだよな。まだ強くなれる。多分・・・」
「今回は運が良かったんだな」セリアス。
「でも、次もこう行くとは限らない」キルガも言った。
「“あれば”の話だけどね」シェナが笑った。だが、その眸は、暗かった。
(・・・できるなら、二度と起きてほしくないけど)
 マルヴィナに会うまで彷徨い続けた、何もない、何も見えない、真っ暗な世界。


 あの“夢”を、二度と見たくはなくて———・・・。







「今度さ、攻撃の回避方法、研究してみようかと思うんだ」マルヴィナがいきなり立ち上がり、言った。
「今回の一戦で、割と改善点を見つけたんだ。・・・わたしは、まだまだ強くなってみせる」
 彼女の前向きな姿勢に、キルガは応じ、セリアスは気合を入れる。
「よっしゃあ! 俺ももっと鍛錬を積むか!」
「同じくだ。呪文側も強化したいな。シェナ、また頼むよ」
「あ、わたしもお願い」
 屈託なく笑う三人を見て、シェナは一度まばたきをする。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 真っ暗な世界。自分さえ見えなかった、永久_とこしえ_の闇。

 それを切り裂いた、一縷の光——

 それは、いつか暗闇を大きく照らすだろうか。






「・・・・・・・・・・・・・了解よ」






 その光を、見たかった。
だからシェナは、笑った———











「さて、じゃあまずはエルシオン学院に出発だな」マルヴィナ、
「あぁ。思ったより海が良くなってきてる、そろそろ出られるかもしれないな!」セリアス、
「シチュー、どうするんだ?」キルガ、
「あ、私飲みたいかも」シェナ、
「む———・・・そうか。じゃあ俺も飲む」セリアス再び、
「かなり少ないよ。足りるかな・・・てか昨日より減っていないか?」マルヴィナ、
「セリアスが盗み飲みしたからだろう」キルガ、
「何でバレた!!?」かなり驚いてセリアス、
「適当に言った」悪びれずキルガ、
「キルガ・・・お前実は超能力者だろう」セリアスが大真面目に言い、
「もしそんな力があったらまずセリアスを止めただろうな」キルガも大真面目に言い返し、
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」残る女二人はホクホク顔で温かいシチューにありついていた。








「ちょ、俺の分は!?」
「欲しかったらブラックベジターでも入れて食え」












 四人の旅は、今日も続く。









             サイドストーリー 【 夢 】———完







漆千音))うん。わたし小説書きの腕前さらに落ちたよね?
      まぁもとから下手である自覚はあるが・・・