二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.53 )
日時: 2010/11/29 17:46
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: gPFHbtSu)

—— 2 ——

 翌朝。
 マルヴィナは再び村を出て、キサゴナ遺跡へと向かった。
(行くのは初めてだな・・・えっと、南東、峠の道方向じゃない方)
 かなりいい加減である。
 森の中へと入り、方位磁針と睨めっこしつつ、進むこと数分。
 ——十メートルほど後ろを、何かがつけていることにマルヴィナは気付いた。
 魔物か。直感して、走ろうかと考えたのとほぼ同時、次はそこが騒がしくなる。
 魔物の集団か!? ・・・と思ったのは見当違いで。
振り向けば魔物。・・・いや想像はしていたが。・・・ああ何か混乱してきた。
(えっと。・・・四匹だな)
 リリパットと、ズッキーニャと、スライムとスライム。
 だが、よくよく見てみれば・・・ズッキーニャとスライム×2は、
リリパットの持つ弓矢をグイグイと引っ張っているようにも見えなくはない。まるで、討たせまいとでもするように。
 その三匹に、マルヴィナは見覚えがあった。

(・・・あの時の)

「・・・ゴッ!」
 弓矢を取られたリリパットは、かなり怒って逃げ出す。
「ふぅーいっ。危なかったぜ。これであの子も・・・むっ!?」
 ズッキーニャは、今自分が助けた少女が自分をじーっと見ていたことに気付いて身を引く。
「や、やっべ・・・」
「ちょ、まってズッキー、あの人、もしかして!」
 マルヴィナは小さく開いていた口を閉じて、微笑んだ。
「久しぶりだな。・・・かな? あの時あんたの腹に突きつけた剣はないが」
「や・・・やっぱり天使だっ! 羽も輪っかもないけど、あの時の!」
「さっきはありがと。助かった」
 と言ったものの、マルヴィナは自分が狙われていることが分かっていた。あえて言わなかったが。
「あん時から、おいらたち、色んな旅人さ守ってるだあよ。
だども、気付かれったら、おいらたちまで被害が来るった」
「前はひどかったよねー、剣持った男が『待て待てーっ』て追いかけて来るんだもん」
「ああ、生きた心地がしなかったぜ」
 そのやり取りをしばらく呆然と聞いていたマルヴィナは、急にはっと気付き、尋ねる。
「・・・あんたたち、キサゴナ遺跡について知らないか?」
「キサゴナ? 知ってるよ。案内しよっか」
 そのスライムは、スラらんと名乗った。
 田舎風の喋り方のスライムがスラピ。
 ズッキーニャはズッキーだった。
「全部あだ名だけどね。もともとの真名からとっているんだし」
 道中、スラらんはそう言った。