二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.586 )
日時: 2012/09/01 23:11
名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: bkovp2sD)

 いきなり攻撃を始めたルィシアにマルヴィナは驚愕し、隼の剣を抜きなおす。
押され気味に一瞬、剣と剣が激突し、マルヴィナはそれを上にはじきルィシアは舌打ちした。
マルヴィナはルィシアの連続攻撃を何とかかわしながら、叫ぶ——
「何故この位置が分かった、ルィシア!」
「聞くこと!? 目をつけられているあんたたちの居場所なんか、すぐに分かること!」
「どうだか!」
 マルヴィナは最後の攻撃も躱し切り、反撃を開始する。相手の懐に入り、薙ぐ。
「そう——そういえば、あんたが拾ったもの、返してもらいましょうか!?」
「何のことだ!」
 ルィシアは余裕をもってそれを躱す、が、すぐさま繰り出されたもう一撃に、顔をしかめて飛びのいた。
マルヴィナはお返しとばかりに剣を振りかぶり、ルィシアを狙う。
「とぼける気、エルシオンで拾ったはずよ——あたしのピアスをね!」
 ぴたり。静止の音をあらわすなら、この言葉だろうか。
それほどいきなり、マルヴィナはその手を止めた。
ルィシアはそれに少し驚愕し、だがそのまま斬りかかろうとして——・・・。





「発信機?」





 マルヴィナの言葉に、思わず動きを止めた。
マルヴィナはその隙を見逃さない、風に乗る、そして、一気にルィシアの眼先へ、そのまま——

「!?」

 背後を、とった。

 腕に一閃、怯むルィシア、その腕をマルヴィナはそのままねじ伏せる!
「ここまでだっ!!」
 マルヴィナの叫び声が響いた。ルィシアは腕の痛みに呻く間もなく、自分を怯ませたマルヴィナの言葉を復唱した。
「発信機——何故お前がその名を知っている!?」
 発信機——取り付けた者の行方を知るその小型機械は、ガナン帝国のみが厳密に開発し続けたものである。
それ故に、そんなものがあることは、誰も知らない——そう、キルガでさえ。
 なのに、彼女は。

「知らないが、知っている! そうか、あのピアスには発信機がついていたんだな? だからわたしの場所が分かったんだ」
 ルィシアは答えない、だがねじ伏せられながらも変わらないその屈辱に燃えたような眸を見て、
その仮説が間違っていないことを確信した。
「そして、それをいまさら返せと言うことは——もうわたしたちの行動パターンは、帝国には筒抜けってことか。
・・・ならば、遠慮はしない」

 マルヴィナはつかむ腕に力を加え、緊張と気の昂りを募らせて、抑えるように鋭く言った。

「わたしらを帝国へ連れていけ。その皇帝とやらに、直々に合わせてもらう!」

 本当は、『霊を蘇らせるもの』に会わせてもらいたかった、だが今は、
ハイリーの命を終わらせたその者に会いたかった。
・・・彼女は既に、冷静ではなかった。
ルィシアはそれが分かっていたのだろうか。緊迫した表情の三人を一瞥、そして——笑った。
「・・・悪いわね。——断るわ!!」
「なっ!?」
 掴んでいた右腕を、逆に掴まれた。マルヴィナは驚き、その後その意味を察したのか、顔をさっと蒼白にさせた。
ルィシアは強引にその腕をいきなり前に引き、マルヴィナを横に引き寄せ、その手を空いた左手でつかむと、
そのまま一気に前へ払った。少女らしからぬ怪力、その反撃。マルヴィナを地面に叩きつける。
「がっ!!」
「マルヴィナっ!」
 二人の勢いに圧倒されて動けなかった仲間たちが、ようやく駆け寄る。
完璧な早業だった。ルィシアは腕を抑え、息を吐きながら、後退する。
「は・・・っ、面白い。“天性の剣姫”、次はお互いもっとましな技術で闘おうか。
——この借りは、返すわよ」
 一つ咳をして、ルィシアは一つの羽を放り投げた。
キルガとセリアスが逃がすまいと追おうとしたときは、既にルィシアの姿は消えていた・・・。















       漆千音))ノートに書いていた話があまりにも妙だったので、この場で変更。
            小説書くのって楽しいけれど難しい。