二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.61 )
- 日時: 2010/11/30 17:18
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: ozMnG.Yl)
そして、元天使と三匹の愉快な(?)魔物たちは、キサゴナ遺跡に到着。
中は、どことなく神聖な雰囲気があった。しかし、今は魔物だらけ。
一番多くいたのは、吸血蝙蝠ドラキーであった。
「どっちだ?」
マルヴィナが尋ね、
「こっちに、ボタンがあるだ。ボタン押さんこたぁ、先には進めんっぺよ」
スラピが答え、
「あ、ボク行く」
スラらんが行動に移そうとし、
「お前身長届かんだろう。ここで待ってろ」
・・・結局ズッキーが向かった。
リズミカルにステップを踏むかのように、てってってっ・・・と走るズッキーを見ていたマルヴィナは、
その手前に人影を見た。・・・だが、それは。
(あれは・・・死者?)
目が合う。人——四、五十代のその男性は驚きの表情を見せた。そして、スッと消える。
(・・・なんでこんな所)「にっ!?」
その瞬間、
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・
「なっ。地震かっ!?」
「ちちががううよぉぉ。とととびびららががが開くううぅんだぁぁよぉぉおお」
かなり揺れて、揺れに揺れて、しばらくして止まった。
壁だと思っていたところにぽっかりと穴が開いていた。奥への扉だった。
余談:
最初の“キサゴナ遺跡”を“きさがおないせき”とか書いていて
“吉舎が緒ない席”になっていたことについさっきまで気付かなかった・・・
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.62 )
- 日時: 2012/10/30 23:36
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: 7K.EniuH)
ウォルロ村から西の方角、セントシュタインの国。
一人の少年、もしくは青年が、城下町の看板を見ていた。
『セントシュタインに謎の黒騎士現る。
奴を討たんとする勇気ある者は申し出よ。素性は問わぬ
セントシュタイン 国王』
「俺ひとりじゃなぁ。——せめてキルガとか、マルヴィナとか、テリガン様がいてくれりゃなぁ・・・」
その少年は、腕を組み、天を仰ぐ。 ・・・・
「——はぁぁぁぁ。・・・何で俺だけが、こんな目に・・・」
・・・びゅう。
強い風が、吹く。
「・・・・・・ん?」
人々のざわめき。
「おっおい、あれ・・・!」
「うっ、うわわ・・・また来たぞ!」
少年ははっとする。
・・・・
「黒騎士だ!!」
馬の声と、蹄の高く軽快な音。
黒い馬に跨った、漆黒の騎士!
「っげ。黒騎士って、あれかよ!」
少年は呆然と突っ立った。
逃げる住民には目もくれず、黒騎士は城を目指す。少年はまさにその目の前にいた。
「・・・しゃあ、ねえ・・・なっ」
横にあった物干し棹をむんずと掴み、それを背に持ち、
「・・・っせえぇぇええい!」少年は馬に足払いをかけた。
ガッ!
「ブヒィィィン!」
見事命中。馬は悲鳴を上げた。振り回された前足をおっと、とよける。
そして、黒騎士の意思とは逆に、町の外へ逃げて行った。
おおっ、と歓声があがる。
少年が棹をブン、と回し、元の位置に収めると、割れんばかりの拍手が起こる。
少年はにかっ、と笑い、何気なく群集を見渡し——
「相変わらずだね。——セリアス」
そう、声をかけられた。
「・・・・・エ?」
少年、セリアスはその瞬間、思考がスコン、と抜け落ちる。
何故なら、声をかけてきたのは。
「・・・・・・・・・・・キル、ガ? ・・・っキルガじゃないか!!」
自分の親友の、[自分と同じ]翼も光輪もない天使だったから。
「まさかこんなところで会えるとは思わなかった。偶然ってのは恐ろしいな」
「だな。・・・・・・・どういう意味だ?」
「ん? そのままだけど」
「・・・・・・・・・嫌がってるわけじゃないな? ・・・だな。ウン」
「・・・・・・・・・? ・・・とりあえず、ここでは話がし辛い。ちょっとついてきてくれ」
二人は教会の横に行く。
「・・・さて。——セリアスも落ちていたんだね。人間界に」
「まーな。翼も光輪もないけど」
「見ての通り、僕もだ。[落ちた]ことが原因だろうか」
「さぁ。見事に俺も落ちました。見に行かなきゃ良かったなぁ・・・」
「それは自業自得だ。責任はとらない」
「ばれた時、じゃなかったっけ」
キルガに無言を通され、スミマセンと引くセリアス。
「でも、見かけこそ人間だけれど・・・天使としての力は、残っているみたいだな。
そう怪我もひどくはないし・・・」
「俺は足に。キルガは顔か・・・また目立つところに」
「実は喋り辛い」
「普段からあんまり喋んねーじゃんか」
話が不意に途切れ、微妙な空気が漂った時。
「おお、貴方ですな? 黒騎士を追い払ったと言うのは!」
城の兵士が一人、二人を見つけて沈黙を破った。
「え」
「是非! 是が非とも! わが国で戦士となってくださいませんか!
貴方のようなお強い人を求めているのです!」
セリアスは呆然。そして、別にいいけど、と答えようとして、
兵士の視線がキルガに注がれていることに気付く。
「って、追っ払ったのは俺だ————っ!!」