二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.65 )
日時: 2010/12/01 16:52
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: 0aWCrLC6)

「・・・いないなぁ、ルイーダさん」
 マルヴィナは、リッカからもらったプラチナソードを右手に持ったまま歩く。 
                    ↑ 注)ゲームではこの時点では手に入りませんあしからず。
 ズッキーがその左に、スラピは右にいたため、剣が何度も刺さりそうになっては珍妙な悲鳴を上げている。
スラらんは先回りして、誰かいないかを確認していた。
「マルヴィナぁ。あそこに誰かいるー」
「本当! ルイーダさんか!?」
「男」
「・・・て、ちょっと待て。遭難者か?」
 何だ、と言いそうになり、慌ててマルヴィナはそう言った。
だが、スラらんのうーんとうなる声に首をかしげる。
「死んじゃってるみたいだよ、このおじさん」
「・・・・・・・・・え」
 まさか、と思った。さっきも見たあの人か? と。
 マルヴィナは駆け寄り、やっぱりそうだ、と思い、声をかけ、ようとしたその時に遮られた。

「・・・この、扉の向こうに・・・」

「——は?」
 それは幽霊のおじさんの声(だと思う)。もう一度聞き返そうとしたが、おじさんはすぐに消える。
(言いたいこと言って、すぐサヨナラて・・・)
 マルヴィナが第一に思ったのは、
(あんたはイザヤール様かっ!!)
 ・・・ということであったが、それはこの際関係のない話。
「マルヴィナ、なんと言っていた?」
 ズッキーが槍をズブッとさして問う。スラピがサッと切っ先をよけた。
「“扉の向こう”」
「なんじゃそりゃ」
「とにかく行ってみよう。・・・開けるの手伝ってくれ」
 マルヴィナと三匹の魔物たちがせーので扉を開ける。
 見た目に反し軽かった。勢い余って思わず前のめりに倒れる。
「なんちゅーややこしい扉だべ!?」
 スラピが悪態をつき、
「・・・マルヴィナ、あれ見てみろ!」
 ズッキーが大声を出した。
「しーしーっ! 大声出しちゃだめだよっ! [あいつ]が来るっ!!」
 スラらんが妙に説得力のない注意をする。
「あれって」
 最後にマルヴィナが顔をあげ、そして目を見張った。

 誰かいる。

「・・・あの人・・・が、・・・ルイーダさん?」
 黒交じりの青の艶やかな髪が見えた。そのまま寝ているのか、あるいは死んでいるように倒れていた。
足元には、大きな岩。
「助けなきゃ」
 マルヴィナが走る。が、

「危ないマルヴィナ、走っちゃ駄目!」

 スラらんの声も、遅かった。

     ずうううううん・・・

 天井の岩が少し崩れた。地響きが起こる。
 そして、マルヴィナの目の前に、何かが立ちはだかった。



 魔獣ブルドーガ。キサゴナ遺跡に住む、巨大な魔物である。