二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ __永遠の記憶を、空に捧ぐ。 ( No.691 )
- 日時: 2012/12/07 22:35
- 名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: 7K.EniuH)
——遠く離れて。
ドミールの里、夜。
「・・・・・・」
もうどれくらい、放心していたかわからない。
はっと気づけば、思い出してしまう。なぞってしまう。あの言葉を。
——シェナが——・・・
あの言葉に自分が、どう思っているのか、何を考えているのか、わからなかった。
怒っているわけじゃない。悲しいわけじゃない。悔しいわけじゃない。許せないわけじゃ——
——わけ、じゃ。
「・・・・・・・・・っ、くそっ・・・!」
セリアスは、頭を振った。抱える。・・・何度目だろう。この行動も、この言葉も。
ゲルニックの言葉は嘘ではないだろう。シェナのあの反応、あの動揺。真実だと、事実だと語った、あの姿。
考えると、わけがわからなくなる。無理矢理考えを放棄して——結局は、同じことの繰り返し。
辺りが夜になっていることも、空腹を訴える音も、何も気づかないほど。
———アス。
何も聞こえないほど、放心状態にあった。
——セリアス。
——はずだった。
「——え」
『セリアス。聞こえるな』
しばらく壁時計のあたりを無意味に眺めたまま、硬直した。と、弾かれたように辺りを見渡す。今、確かに。
「な・・・あ・・・?」
『聞こえたようだな。——突然だが、アタシが誰だかわかるな? 分からんとか言ったらシメる』
「マラミア」セリアスは少し上ずった声で言った。「・・・なのか?」
・
『アンタもいきなり呼び捨てかよ・・・まいーや。せーかい、んで、一応初めまして』
「・・・は。はじめ、まして——な、何で」
そこにいないのにセリアスには、見えた。炎髪と紫の眸の、その人が。——ところで『も』ってなんだ?
『何でって——まぁ、ようやく気付かれたから、かね。遅かったねー。
あの色男くんはかなり早く気づいてたぜ。ま、アタシじゃなく、アイにだけどさ』
「む? ぬ? ・・・キルガ?」
『そ。ちなみにアタシは色男くんには見えないし、対称的にアンタはアイのことは見えない。
まぁこれはどうでもいいんだが——』
マラミアは本当にどうでもいいように軽く流すように言ったのち、少しだけ真剣な顔になった。
『・・・時はきた、ってやつさ。教えに来たんだわ。帝国に殴り込みに行く前に
知っておかなきゃなんないこと——マルヴィナと、アンタらの、“本当の正体”ってやつをね』
「っ!」セリアスは大きく反応した。
『ただ、時間がない。チェスに——チェルスに呼ばれたらアタシらはすぐ行かなきゃなんない』
「チェルス——あっ、チェルス、無事な」
最後まで言う前にマラミアは制した。片目を半分開けて笑うという不思議な表情でマラミアは言った。
『あいつがそう簡単に敵の手中に入ると思うか? 無事も大無事さ。
大体、あいつが捕まること自体が、作戦だったんだし』
セリアスは三回まばたきした。
『まぁ、その話は本人に直接聞いてくれや。とにかく本題に入る。
まず、アンタと色男くん——キルガの正体について』
「ん」セリアスは姿勢を正して集中した。何故正座? とマラミアは思ったが、指摘する時間がもったいない。
どうせすぐ足が痺れるだろうと勝手に思い、マラミアはいきなり事実から言った。
『アンタはアタシの“記憶の継嗣”だ』
さっそく混乱した。
「・・・へ? ・・・は?」 ・・ ・・
『念のために——マルヴィナはチェスの“記憶の子孫”。アンタはアタシの“記憶の継嗣”。
キルガもそうだ。ただしアイツは、アイのね。——傾いてるぞ、セリアス』
既に正座は崩れかけている。集中力切れるの早っ。
「——えと、」
『その違いだな。まず——』
同じ時、キルガもまた、セリアスと同じ現象を目の当たりにしていた。ただし、彼の前にいるのは、
言うまでもなくアイリスである。ただ彼はセリアスほど混乱はしなかった。
同じタイミングで、同じ話をするアイリスの前で、静かに気持ちと話の内容を整理する。
——初めて見るのに、懐かしい、自分はこれをどこかで見たことがあると感じることが人間にはある。
“未世界”ではそれを、デジャヴ、と呼んでいる。
それは、“不人間”が係わっている証。
自分の記憶を人間に与える——それは“不人間”の一種の仕事でもあった。
そして、記憶を与えた者を“記憶の渡者”、与えられた者を“記憶の継嗣”と呼んでいる。
『何故そんな仕組みができたのかは答えられない。これは昔から続くもの、儀式。理由などない』
人間にはそれぞれ得意不得意がある。それも渡者の影響である。渡者の力が強ければ継嗣の力も強くなり、
頭が良ければ継嗣も優秀になる。足が速ければ継嗣も俊足になる。いうなれば、人間になれなかった者たちが
人間に能力を託す——自分のなりかわり。
説明をするのは難いが、生まれ出でなかった自分の存在を、生まれ出でた人間に渡すことで
自分の存在を見せつける、と考える者もいる。
『けれどそれは人間の話。天使には通用しない。——けれど貴方たちは、我らの継嗣』
『決して存在するはずのない、天使にして“記憶の継嗣”なる者』
壁越しに、同時にキルガとセリアスは考え込んだ。
もちろん——ならば何故、自分たちは“継嗣”とやらになったのか。
理由は単純だった。
——先に創られたマルヴィナが、天使だったから。
彼女の仲間として、或いは彼女を守る騎士として。記憶を継いだのが、即ち——
『アンタら二人、ってことだ』
漆千音))ふぎゃあもう説明回ヤダ
書いている本人ですら何言ってんのか分かんねぇ←
多分近いうちにこの話編集すると思う。多分。