二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.75 )
- 日時: 2010/12/08 16:54
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: yMcOisx5)
いきなり、何者かの声が、二人の耳に飛び込む、そして——
「ぎゃ」
マルヴィナに突進!
「はだっ!? いったァ・・・い。ちょっとどこ見てんのよ、ちゃんとかわしなさいよぉ!」
「って、だったらぶつからなきゃ——あれ?」
振り返って、そこには誰もいなかった。思わず探し、だが居場所は声が教えてくれた。
「ここよ、ここ!」
その方向に視線を従わせる。と。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
かける言葉を失った。何故なら。
「・・・妖精?」
「は? アタシが? 何言ってー。・・・ってのはどーでもよくてー・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
再び黙るマルヴィナ。とりあえずこのいきなりの乱入者(?)を観察した。
大きさは子供の手のひらの1,5倍ほど、肌は黒く、髪は茶と金の間ほど、ウェーブがかかっている。
そこにピンク色の花が収まっており(コサージュ、とか言うらしい)、
また妖精のような背の羽も同じような色だった。オレンジのワンピを着ているが、露出が多く、
マルヴィナが抱いた第一印象は——『派手』である。
その観察を終えた頃、その妖精らしきものはずびしとリベルトを指し、開口一番、
「オッサン!」
・・・目まいがするかと思った。
「はいっ」
急に珍妙な妖精らしきものに呼ばれ、オッサン・リベルトは直立不動した。
「アンタ今、天使って言ったよネ? アタシもそー思ったんだケド、なーんかイマイチ自信ないのよネ。
だってこの人羽もワっかもないのよ! これってヘンじゃね?」
「・・・・・・・・・・」
アンタの喋り方のほうがヘンじゃね? と言いたくなるのをどうにか我慢するマルヴィナ。
「・・・・・はあ」
オッサン・リベルト、空返事。
「・・・いやいや、変と言えば貴女もいったい何者で?」
すると待ってましたと言わんばかりの表情。
「フフン・・・それを聞いちゃいマス? 聞かれちゃあ答えるしかないわネ」
「自分から名乗れって言わないんだ」
「メンドいしカット」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
マルヴィナが本当に目まいを感じた時には既に、さっさと自己紹介を始める妖精らしきもの。
体を横に反り、左手でピースを作り——
「聞いて驚けっ! アタシは“謎の乙女”サンディ! あの天の箱舟の運転手よっ」
「マルヴィナさん、天の箱舟って?」軽くスルー。
「私たち天使の特別な乗り物」マルヴィナもスルー。
「はぁ・・・なるほど」
「——って、ガン無視ですかっ! ——ちょっとアンタ、今自分で天使って言ったよネ?
ンじゃ何であんたどー見ても人間になってんのよっ!」
マルヴィナは自分の身に起こったことを、とりあえず長々と説明した。
話し終え、マルヴィナが息をついたところでサンディぽつり。
「何か信じらんないんですケド」
「は?」
「だって羽もワッかもないってのにユーレーや箱舟だけ見えるって、何そのハンパな状態?
どーしても天使って言うんなら、・・・そーね、そのオッサン。そのオッサン昇天させてみなさいよ」
「・・・・えっ!? わ、私ですか!」
急に話を振られたリベルト、再び直立不動。
「はい決まり! どーせオッサン、この世になんか未練残してっから、こんなトコうろついてんでしょ?
聞ーたげるから言いなさい」
「え、と。未練、ですか・・・? 何だろう? ・・・宿屋の後ろに埋めた、あれ・・・かな?」
「アレって何よ。——ちょっと自称天使。ボーっとしてないでさっさと行きなさいヨ!」
(わたしはパシリか!!)
マルヴィナはカチン、と頭の中のスイッチがONになる音を聞いたが、黙って探しに行った。
風が冷たい。