二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 人類混濁の白黒—モノクロ— 【REBORN×戯言】 ( No.7 )
日時: 2010/09/06 14:24
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

大丈夫・・・終夜は俺の娘なのだから。
クスリと笑った男は、俺に背を向けた。



—Data,03— 鋭利な刃物


「なぁ、ツナ」
「何?」

あれから俺は沢田君をツナと呼ぶようになった。
何故呼び捨てにしたのかは、覚えていない。
だけど何故かそう呼んだ。
ツナも、それでいいと言ってくれた。

「幼少期時代の俺、一体どうしてた?」
「え、ど、どうって・・・」
「俺、あんまし昔の事良く覚えてないんだよな・・・何か、本当に最近あった事でも忘れるし」

俺はそういって、道を歩き続けた。
空はもう橙色に染まり始めていた。

「直ぐに・・・?」
「うん。病気かと思ったけど違うらしいんだ。精神医科にいわせればショックが大きかった所為・・・とか」


(多分違うんだろうけど)


何故そう思うのかは判らなかった。
だけど俺は歩き続ける。

「ツナ、俺いく場所あるから。じゃあな」
「あ、うん」

俺はそういってとにかくツナと分かれた。





あれから。

あれから終夜君におかしなことは起こらない。

過去で何を見てきたのか。
終夜君は忘れたといっていた。
嘘は着いていないと思う。
俺はそんな事を考えていると、1人のオーバーオールでスーツ姿の男の人とすれ違う。
俺はその時、何かを感じて振り向いたが、ソコには誰もいなかった。





「ハァー」

俺はブランコに乗りながら溜息を吐いた。

「・・・記憶障害、か」

そんな訳無いと思うけども。
俺はギィッとブランコをこぎながら、暗くなってきた空を見上げる。

「・・・」


——コツンッ


「全く、一体何が起こったんだよ・・・」


——コツッコツッ


「俺さえ覚えてない・・・の、に?」
「・・・悪いけど、こうさせて貰うしか無いんだよ」

俺は、腹部を触った。
手を見て、目を見開く。

「・・・血?」

気が付けば。
腹部に、鋭利な刃物が貫通していた。
冷たくて、熱くて。
死にそうだった。
死の感覚を味わった。

「・・・ゴホッ」

口から血が溢れ出す。
一瞬にして口に鉄の味が広がった。

「キミは本当に疫病神だ」


(・・・)


「キミはその、生まれ持つ、天災の才能によって周りの人々は死んでいく。君はある意味殺人鬼だよ」


(殺人鬼・・・)


「キミは、死ぬべきだ」

ズッと、一気に刃物が抜かれた。
俺は掠れる視界を去ろうとする男に向けた。


(殺人鬼、)


ある意味、そうかもしれない。

俺は意識が闇に沈む感覚を味わいながら、目を閉じていった。
最後に見えたのは、男の持っていた大きな黒鎌だった。

Re: 人類混濁の白黒—モノクロ— 【REBORN×戯言】 ( No.8 )
日時: 2010/09/06 14:50
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

「あ、起きたかい?」
「・・・お兄さん、誰?」

俺は目を開けて目の前にいる男に尋ねた。
男はフフッと紳士的に笑うと俺の腹部を指差した。

「キミが公園で倒れてたから助けたまでだよ。それよりキミ、あんなところで何をしてたんだい?」
「・・・判らない」
「え?・・・でも数時間前のことだよ?」
「ッ判らない・・・覚えて、無いッ・・・」

俺は頭を抱えて、俯いた。
どうしても思い出せなかった。
公園で何をしていたのか——。
俺は、何故血まみれで倒れてたのか。

「とにかく家まで送るよ。ホラ、キミの名前は?」
「・・・終崎、終夜」
「うん、いい名前だ」

そういうとヒョイッと俺を担いだ男の人。
俺は少し慌てながらも、大人しく連れて行かれた。





「ただいまー・・・」
「お、帰ってきたか・・・って何だその怪我・・・」

潤さんが俺の腹部を見ながら呆気に取られていた。
俺はアハハ、と苦笑しながら言う。

「いえ、少し変な人に襲われて・・・」
「ソレ、少しじゃねぇだろ。って言うかその怪我の治療、誰がやったんだ?」
「そういえば名前、聞いてませんでした。お礼を言うのも・・・」

俺は俯いて、重い溜息を吐いた。
潤さんは俺の腹部に手を当てながら、首をかしげた。

「もう塞がってるな・・・お前、治癒能力でもあるのかよ」
「え!?本当だ・・・」

俺は腹部に手を当てながら呆然とした。

「そういや昔から傷の治りは早いんですよね」
「いや、コレは傷の直りが早いとかどうとかってレベルじゃねぇだろ・・・」

珍しい、あの潤さんが突っ込み役だ。
俺は苦笑しながら、腹部を触っていた。

「だけど一応包帯は学校でも付けて行けよ」
「判りました」

俺はそういうととにかく睡魔が襲って、目を閉じた。





終夜の治癒速度は異常だった。
本人は全く気にしていないが、あたしを超える治癒速度は、異常。
そう、異色で異常で異彩で異端だった。


(そういや玖渚ちんが言ってたな・・・正体不明の零崎の事・・・)


携帯を取り出し、玖渚友のメールアドレスを選んだ。





「いーちゃんいーちゃん」
「何だよ友」
「今潤ちゃんから連絡があってねー。零崎夜識の事尋ねられちゃった」
「どうすんだよ」
「大丈夫だよ。それくらいなら」

玖渚友は、軽く笑って見せた。
その笑顔に含まれる意味は、誰も知らなかった。
知っていたのは、その場にいた戯言遣いだけ。






(鋭利な刃物は、ナイフと曲弦糸と———)(私は手に入れたいと思うものは手に入れるだけだよ。ね?)