二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 人類混濁の白黒—モノクロ— 【REBORN×戯言】 ( No.7 )
- 日時: 2010/09/06 14:24
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
大丈夫・・・終夜は俺の娘なのだから。
クスリと笑った男は、俺に背を向けた。
—Data,03— 鋭利な刃物
「なぁ、ツナ」
「何?」
あれから俺は沢田君をツナと呼ぶようになった。
何故呼び捨てにしたのかは、覚えていない。
だけど何故かそう呼んだ。
ツナも、それでいいと言ってくれた。
「幼少期時代の俺、一体どうしてた?」
「え、ど、どうって・・・」
「俺、あんまし昔の事良く覚えてないんだよな・・・何か、本当に最近あった事でも忘れるし」
俺はそういって、道を歩き続けた。
空はもう橙色に染まり始めていた。
「直ぐに・・・?」
「うん。病気かと思ったけど違うらしいんだ。精神医科にいわせればショックが大きかった所為・・・とか」
(多分違うんだろうけど)
何故そう思うのかは判らなかった。
だけど俺は歩き続ける。
「ツナ、俺いく場所あるから。じゃあな」
「あ、うん」
俺はそういってとにかくツナと分かれた。
◆
あれから。
あれから終夜君におかしなことは起こらない。
過去で何を見てきたのか。
終夜君は忘れたといっていた。
嘘は着いていないと思う。
俺はそんな事を考えていると、1人のオーバーオールでスーツ姿の男の人とすれ違う。
俺はその時、何かを感じて振り向いたが、ソコには誰もいなかった。
◆
「ハァー」
俺はブランコに乗りながら溜息を吐いた。
「・・・記憶障害、か」
そんな訳無いと思うけども。
俺はギィッとブランコをこぎながら、暗くなってきた空を見上げる。
「・・・」
——コツンッ
「全く、一体何が起こったんだよ・・・」
——コツッコツッ
「俺さえ覚えてない・・・の、に?」
「・・・悪いけど、こうさせて貰うしか無いんだよ」
俺は、腹部を触った。
手を見て、目を見開く。
「・・・血?」
気が付けば。
腹部に、鋭利な刃物が貫通していた。
冷たくて、熱くて。
死にそうだった。
死の感覚を味わった。
「・・・ゴホッ」
口から血が溢れ出す。
一瞬にして口に鉄の味が広がった。
「キミは本当に疫病神だ」
(・・・)
「キミはその、生まれ持つ、天災の才能によって周りの人々は死んでいく。君はある意味殺人鬼だよ」
(殺人鬼・・・)
「キミは、死ぬべきだ」
ズッと、一気に刃物が抜かれた。
俺は掠れる視界を去ろうとする男に向けた。
(殺人鬼、)
ある意味、そうかもしれない。
俺は意識が闇に沈む感覚を味わいながら、目を閉じていった。
最後に見えたのは、男の持っていた大きな黒鎌だった。
- Re: 人類混濁の白黒—モノクロ— 【REBORN×戯言】 ( No.8 )
- 日時: 2010/09/06 14:50
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
「あ、起きたかい?」
「・・・お兄さん、誰?」
俺は目を開けて目の前にいる男に尋ねた。
男はフフッと紳士的に笑うと俺の腹部を指差した。
「キミが公園で倒れてたから助けたまでだよ。それよりキミ、あんなところで何をしてたんだい?」
「・・・判らない」
「え?・・・でも数時間前のことだよ?」
「ッ判らない・・・覚えて、無いッ・・・」
俺は頭を抱えて、俯いた。
どうしても思い出せなかった。
公園で何をしていたのか——。
俺は、何故血まみれで倒れてたのか。
「とにかく家まで送るよ。ホラ、キミの名前は?」
「・・・終崎、終夜」
「うん、いい名前だ」
そういうとヒョイッと俺を担いだ男の人。
俺は少し慌てながらも、大人しく連れて行かれた。
◆
「ただいまー・・・」
「お、帰ってきたか・・・って何だその怪我・・・」
潤さんが俺の腹部を見ながら呆気に取られていた。
俺はアハハ、と苦笑しながら言う。
「いえ、少し変な人に襲われて・・・」
「ソレ、少しじゃねぇだろ。って言うかその怪我の治療、誰がやったんだ?」
「そういえば名前、聞いてませんでした。お礼を言うのも・・・」
俺は俯いて、重い溜息を吐いた。
潤さんは俺の腹部に手を当てながら、首をかしげた。
「もう塞がってるな・・・お前、治癒能力でもあるのかよ」
「え!?本当だ・・・」
俺は腹部に手を当てながら呆然とした。
「そういや昔から傷の治りは早いんですよね」
「いや、コレは傷の直りが早いとかどうとかってレベルじゃねぇだろ・・・」
珍しい、あの潤さんが突っ込み役だ。
俺は苦笑しながら、腹部を触っていた。
「だけど一応包帯は学校でも付けて行けよ」
「判りました」
俺はそういうととにかく睡魔が襲って、目を閉じた。
◆
終夜の治癒速度は異常だった。
本人は全く気にしていないが、あたしを超える治癒速度は、異常。
そう、異色で異常で異彩で異端だった。
(そういや玖渚ちんが言ってたな・・・正体不明の零崎の事・・・)
携帯を取り出し、玖渚友のメールアドレスを選んだ。
◆
「いーちゃんいーちゃん」
「何だよ友」
「今潤ちゃんから連絡があってねー。零崎夜識の事尋ねられちゃった」
「どうすんだよ」
「大丈夫だよ。それくらいなら」
玖渚友は、軽く笑って見せた。
その笑顔に含まれる意味は、誰も知らなかった。
知っていたのは、その場にいた戯言遣いだけ。
(鋭利な刃物は、ナイフと曲弦糸と———)(私は手に入れたいと思うものは手に入れるだけだよ。ね?)