二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: bio hazard Episode ( No.30 )
日時: 2010/11/13 21:09
名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G. (ID: N1u19UeR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

「で、一階はあと此処だけか」

 一年生の教室、図書室、保健室と、調べて回ったが、とうとう鍵は見つからなかった。

 神紅が体育館の戸をそっと開き、影璃が中を警戒する。

 其処にあったのは大量の警官と自衛隊員の死体のみだった。

 一部の死体の装備が無くなっているのは、生存者が持っていった痕だろう。

 見る限り、それだけだ。

 影璃が諦めかけたその時。

「お兄ちゃん! 守衛さん見つけたよ!」

 神紅の声がした方を見ると、神紅が鍵の束を持って駆けてきた。

「ほぅ…でかした」

 影璃はその鍵束を受け取り、神紅の頭を軽く撫でた。

「さて、」

 一通り神紅の頭を撫で、影璃はすっと振り向く。

 神紅も自然と警戒している。

 ゆっくりと、“アリス”を構えると、狙いも付けず、引き金を引いた。

 ぱん、と乾いた音がしたかと思うと、壁に弾が当たり、ちゅいん、という音がした。

 空薬莢が床に落ちる音が静かな体育館に響く。

 そして、“それ”は現れた。

 カメレオンのような姿をしてはいるが、大きさは影璃の二倍はある。

「一度見たとはいえ……でかいな」

 神紅が包丁を構えていたのに気付き、やめるように促すと、影璃は神紅の手を引き、走り出した。

 行き先は出口ではなく、体育館倉庫。

 神紅の様子を見る限り、体育館内にはゾンビはいない。

 それをいち早く察した影璃は神紅を体育館倉庫に放り込んだ。

「暫く其処で待ってろ」

 それだけ言うと、戸を閉め、“それ”に向き直る。