二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: bio hazard Episode ( No.4 )
日時: 2010/09/05 20:59
名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G. (ID: S8wpdLDK)

  3 市街

 小学卒業まで育った傘谷市は変わり果てていた。

 道路に転がる死体や、それに食らい付くゾンビ、黒こげの車。

 影璃自身は悉皆町(しっかいちょう)に住んでいたが、入夢商店街にはよく行ったのを覚えている。

「普通に行ってたら何て言われてたかな……」

 影璃はそんなことを思いながらも、商店街を歩いた。

 商店街を抜けると、入夢警察署が見えてくる。

 分署ながら割と立派な建物だ。

 影璃はふと横を見た。

 駐車場に不自然に潰れた警察車両がある。

 まるで何か重い者が屋根の上に飛び乗ったようだった。

「まだ居るのかね」

 影璃が呟く。

 フェンスに人一人が通れるくらいの穴が空いている。其処から誰か入ったのだろう。

 そのフェンスの向こう側は急な斜面で、下の方に川が見える。巫川(かんなぎがわ)だ。

 その時、銃声と悲鳴が聞こえてきた。

「W.S.Sの連中か、或いは……」

 銃声が止み、暫くすると、ゆっくりとガトリングガンを片手で担いだ大男が出てきた。

 身長184cmの結構な長身の影璃より遥に大きな体。

「“ネメシス”」

 影璃が呟く。

 大男、ネメシスは少しの間、影璃を見下ろしていたが、またゆっくりとした動作で商店街へと歩いていった。

 影璃はネメシスの背中を見送ると、入夢署の中に入った。

 ロビーは酷い状態だった。

 何故か受付の机や警官を潰して、車が突っ込んでいる。

 壊れていない受付の机の向こう側を覗き込むと、警官の死体に婦警のゾンビが食らい付いていた。

「……………」

 影璃はゆっくりと受付を後にした。