二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: bio hazard Episode ( No.6 )
日時: 2010/09/06 20:35
名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G. (ID: S8wpdLDK)

 事情聴取部屋はとても血生臭かった。

 当たり前だ。頭が潰れた警官が二つ、バールが頭に刺さっている警官が一つ、部屋の隅に転がっている。

 更に、周囲の床には、血の着いた包丁が数本落ちている。

 そして、中央の机には、黒いショートヘアに返り血に彩られた真っ白なワンピースを着た少女が突っ伏していた。

 少女は、ただ、肩で微弱に息をしている。

 生きているのか、もしくは待ち伏せゾンビか。

 影璃が“アリス”の銃口で頭をつついてみると、小さな声をあげて、少女が少し動いた。

「…おい」

 影璃はゾンビでないことを信じて、肩を揺する。

 すると、少女はゆっくりと顔を上げた。

 影璃の顔をじーっと見つめ、少女は一言呟いた。

「…お兄ちゃん?」

「確かに妹は居るが、お前ではないことは確かだ」

 影璃は早口にそれだけ言うと、少女の顔を見つめた。

 少々無造作に分けられた前髪、少し虚ろな目。顔立ちは割と整っている。

 手足や元は白かったであろうワンピースは返り血に彩られている。

「…此処の奴等を殺ったのはお前か?」

「うん。もう、私も殺されても良いけど」

 頭の潰れた死体の横腹に蹴りを入れながら影璃は少女の方を見た。

「なんでそう思う?」

 影璃の問いかけに少女は無言で首を横に振り、立ち上がった。

「私、永倉 神紅(えいくら みく)って言うの。お兄ちゃんは?」

「…黒咲 影璃。そして、俺はお前の兄じゃない」

「ふぅん…よろしくね、お兄ちゃん」

「お前の中で俺は兄で固定なのか」

 神紅は警官の死体の頭からバールを引き抜くと、床の数本の包丁を全て拾い集め、近くの肩掛け鞄に投げ込む。

 そして、その肩掛け鞄を肩に掛け、バールを右手に握りしめた。

「…お前、まさかそのバール一本と包丁だけでやったのか?」

「ん? そーだよ?」

 可愛い顔した化け物だな、と影璃は呟き、近くの警官の死体のホルスターからニューナンブN60を抜き取ると、神紅に投げ渡した。

 神紅がそれを受け取った直後、再び悲鳴が聞こえた。

「またか」

 影璃が聴取室を出ると、神紅もそれについていく。

 そして、先程のオフィスに入ったとき、影璃は違和感に気付いた。