二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 爆想サザエさん ( No.125 )
- 日時: 2012/01/18 21:28
- 名前: ACT (ID: E29nKoz/)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
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「なんだって〜!?……今から行くよ!」
海山商事にいるマスオへサザエから連絡があった。なんとタマが死んだらしいのだ。第一発見者はタラオらしい。トラウマにならなければいいのだが。
彼は大急ぎで駅まで行くと丁度発車一分前の電車がったのでそれに乗り込んだ。
電車に揺られながらマスオは最近話題の動物虐待事件のことを思い出した。他人事だったのだがまさかタマが狙われるなんて思いもしなかった。彼がタマとの思い出を頭の中で展開していると、いつの間にか最寄駅に着いたようだ。急いで改札を出て、ターミナルの中に止まっているタクシーを呼ぶと大急ぎで公園まで、と運転手を急がせた。
公園が見えた。その隅にサザエとタラオがいる。
財布の中から3000円を掴み、運転手に渡し、タクシーを飛び出す。
「お客さん!!」
「急いでるんで、お釣りいりませんからッ」
「そうじゃなくて3500円です」
「え…」
「サザエ〜大丈……ッ!!!」
マスオの動きが止まった。視線の先には無残な姿の飼い猫がいた。いや、磯野家にしてはペットと言うよりも家族だったのかもしれない。
タマの内臓からは腹から飛び出しており、地面には水たまりかと思ったが、血だまりができている。目には眼球が無く、眼球はそばに転がっていた。足は不自然な方向を向いている。折られたのだろう。その時のタマの叫び声を想像してしまい全身の力が抜けていく。口からは切り取られた舌が見えた。本来あるはずの尻尾は見当たらない。タマはもはや動物ではない。ぐちゃぐちゃになったボロ雑巾のようだ。ついにマスオは胃液をまき散らしてしまった。
「……け、警察には連絡したのかい?」
口をハンカチで拭きながらマスオが問う。それを聞きサザエは首を振った。
「あなたが来るのを待とうって……」
「そうか……連絡しよう」
「ええ」
マスオは震える手でポケットから携帯を取り出した。ふと横を見るとタラオがうずくまって体を震わせているのが分かった。泣いているのだろう。妻にそっとしておこうとジェスチャーで伝えた。
110のボタンをゆっくり押し、耳にあてた。
プルルルルという警察を待つ電話の音の長さが永遠のように感じられた。