二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 爆想サザエさん ( No.2 )
日時: 2010/09/11 17:19
名前: ACT (ID: HQL6T6.Y)

第1話

 またやってしまった。止めようとしても止められない。フグ田サザエはため息をついた。
 ここは磯野家、サザエの部屋。隅にあるタンスの引き出しが無造作に開けられている。その隣、畳の床に座り込んだサザエがいた。体中の力が全て抜けてしまったような風貌だ。目には深いくま。だらりとした手の中には注射がある。
 サザエは快楽に体を震わせた。自然と口が不気味に微笑む。そこから唾液が垂れているのにも気づいていないようだ。
 彼女が覚せい剤を始めたのは約1年前。もう手に付けられない状態だ。禁断症状で止めたくても止められない。
 ああなんでこんなことになんったんだろう。
 ゆっくりと過去を思い出す。朦朧とした意識の中でゆっくりと過去を遡った。
 サザエはある記憶にたどり着いた。2年前の忌々しい事件に。



 ここ、磯野家は絵にかいたような平和な家庭だった。その頃は家に笑いがあふれており、近所でも有名なほどだった。
 あの事件が起こるまでは。
 事の始まりはサザエの母、磯野フネだった。
 事件の前、フネはおかしいところがあった。夕食を作っていると突然泣き出したり、奇声を発していたのだ。
 そんなある日、サザエはフグ田家で旅行に出かけた。カツオはナカジマと野球に、波平はどこかに出かけていた。というわけで磯野邸にはフネと磯野家の長女ワカメしかいない。二人で留守番をしていた。家を出る前はいつもとなんら変わりなかったのに。
 サザエ達が家に戻ると、血生臭い臭いが家中にただよっていた。何かおかしいと思い、奇声のする子供部屋に駆け寄った。
 中を見るとそこには目を背きたくなるような恐ろしい光景があった。
 フネがワカメの上に馬乗りになって座っている。そして手にはナイフが握られており、それをワカメの腹に何度も何度も振りかざしては刺していた。床1面に血だまりが。すでにワカメは絶命しているようだった。フネは恐ろしい形相で甲高い奇声を発している。
 サザエは体が氷ついたように動けなけくなった。