二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: FINAL FANTASYⅦ—序章—   コメント下さい!! ( No.45 )
日時: 2010/11/22 19:42
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: cVA1W6Ik)

   Capter Ⅵ —回し手紙—         

                            *Cloud Side*

クラウドは珍しく授業に出ていた。
・・・というのも、彼の心境に変化が会ったわけではない。
変化は無いが、学校の中の雰囲気はかなり変わったと言える。
あの古代種——エアリスの、力なのか。それとも彼女が生まれつき持っている、オーラのようなものだろうか。
花のように笑う、明るい女性。歳は俺より一つか二つ上のようだ。
この学校は年齢は関係が無い。
個人個人の基礎能力でクラスわけされる。
ここは最上級の能力を持つ——つまり、将来神羅のために活躍してくれるであろう有望な——ものだけが集まったクラスだ。


———初めて彼女が入ってきた昨日。

ここに来るくらいだから、彼女には神羅にとって有利な能力があるのだと思った。
たとえば将来科学者としての能力が高いとか——宝条のように実験や科学に取り付かれたもの——や、タークスのように、戦いなれていて戦闘能力が高いとかそう思っていた。
しかし実際に彼女を見て、彼女と視線をぶつけてちがうと思った。
そんな、血とか殺しが平気なやつじゃない。
彼女は、完全なる穢れなき心を持っていた。それは瞳を見て、瞳を通してわかった。
見ず知らずの命のために涙を流し、道端に咲く一輪の花にさえも微笑みかける優しい女性だと。
これは完全に、被害者の例だと思った。
リーブが細かく書いた黒板を眺めやる。
別に勉強なんてわかっているし、受ける必要も無いのだが・・・。
横のエアリスをちらりと見やると、彼女は懸命にノートに書き写していた。
出来上がったノートを読み返し、「ふむふむ」とつぶやいている。

「では問題を解いてもらいましょう。誰がいいですか?・・・ああ、ではエアリスさん」

「あ、はい。えっとウータイはここから最も西にある里であり、忍びの里とも言われることがあります。建造物も古く、ダチャオ像が有名です」

「ありがとうございました。そうです。今エアリスさんが言われたとおり・・・」

リーブが喋りだしてから、エアリスはほっとため息ついた。
亜麻色の髪から花の香りがする。
ティファが手紙を回してきた。簡潔で、明確な内容だった。

“クラウド。エアリスのことだけど・・・。どう思う?わたしはいい子だと思うんだけど。”
“・・・どういう意味だ?”
“友達としてどうなのかなぁ〜って。あ、クラウド、ふ〜ん・・・。そうなんだあ・・・。”
“なんだよ”
“え?だって、普通単刀直入に聞かないでしょう?友達以上としての意識なんて。それをわざわざ聞き返すなんてアヤシイじゃない?”
“別に”
“じゃあそういうことにしてあげるけど・・・。さっきから彼女、ちらちらあなたのことみてるわよ”

・・・・・!?
手紙の置いてある机から顔を上げる。
目の前のティファの背中は少しよそよそしく、わざとらしく背筋もこれ異常ないほどのびていた。
そのまま右を向くと、驚いた顔をしたエアリスがいた。

チャイムが鳴る。
あはは、と彼女が困った風に笑った。
クラウドはやっと気づいた。
この教室の中に足りなかった無邪気さを彼女が運んできたのだ、と。
だから、守りたいとも思った。