二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: FINAL FANTASYⅦ—序章—   コメント下さい!! ( No.97 )
日時: 2010/12/29 22:31
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)

   Capter ⅩⅨ —動き出した歯車—

                           *Tifa Side*

                       時を同じくして、ここは神羅ビル正面———。

「こちら、No.53。こちら、No.53。聞こえる?聞こえたら返事をお願い———。どうぞ」

『こちら、No.1215。こちら、No.1215。聞こえるぞ。あんのムカつくヤローはそこにいるのか?・・・どうぞ?』

強風の中、ティファは隣の黒髪の少年を見やる。
黒髪の少年———ザックスは、風のせいで額を打つ前髪を払いのけると肩をすくめた。
ティファは強い風に目を細めながら、前方のビルを見上げる。
 . . . .
「この計画知ってさっき、ビルの中に走ってったわ。めずらしいけど、ちょっと慌ててたような・・・?どうぞ」

『はぁ!?何考えてんだ、アイツは!?・・・とにかく、始めるぞ。アイツなら死にゃーしねーだろ』

「ええ!?殺す気!?」

しかしティファがそういったときには、もうPHSは切れていた。
はぁ、とため息をついて隣を見るが———。

「!!??」

そこには、ティファ以外いなかった。
PHSで話しているうち、夢中になりすぎてザックスもいなくなっていたのだ。

「んもー!!なんで二人ともいなくなるのよッ!!?」

                           *Zack Side*

PHSに向かって怒鳴るティファの声をよそに、ザックスはビルの脇にある階段を駆け上がっていた。
あいつがビルの中に入っていったのには、きっと深い意味がある。
何より、あのときの顔は硬直していて何かを失ってしまいそうな恐怖と戦っているような表情でもあった。

「くっそぉ・・・!!」

長い長い階段。3段飛ばしで全力疾走していたが、やはり長いものは長い。
カンカンと彼の力強く踏み込む階段が鳴る。
自分の呼吸が大きく感じる。
ダム、とザックスは最後の一歩を踏む。
蛍光灯の光が彼の顔を照らし、浮かび上がらせる。

「ふぅ・・・っ!」

ザックスはふと気づく。
何も考えないでここまできたけど・・・。
あいつ、どこに向かってたんだ?

それがわかるまで、進めないじゃないか。
しかし、深く考えるのは俺の主義に反する。

ザックスはとりあえずやっとたどり着いた59階でエレベーターへ飛び乗りる。
60階で降り、警備員に見えないように黄色い像の陰に隠れると、静かに背中の剣を磁石から外し、額に当てる。
ごめん、とつぶやいて近くの警備員二人を峯打ちする。
その二人は、まるでテレビの消音ボタンを押したかのように静かに気絶し、倒れる。

そのときふと、彼女の顔が浮かんだ。

なぜ?

そう思った瞬間、気づいた。
あいつが守ろうとしたもの。
喪失への恐怖を抱いたもの。

そうか。



わかったぞ。









お前の、守りたいもの—————。