二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: REBORN!短編小説【コメよろしくお願いします!!】 ( No.44 )
日時: 2010/10/07 19:26
名前: ひろ ◆j6drxNgx9M (ID: floOW.c4)

「ただいま」など、言う暇があるはずも無い。
骸はすぐにリビングへ向かった。
骸がドアノブに手をかけたその時、
「・・・?」
ぬめり、とした感覚が骸の手のひらを伝う。
まだそれは生暖かかった。
恐る恐る骸はドアノブから手を離し、自分のてのひらを見てみる。

———真っ赤な母の瞳のような、“血”。

「———ひ!」
骸は思わず手を引っ込めた。
骸の手に付いた血はまだ乾いていなかったらしく、つぅ、と骸の手首を伝っては床に落ちていく。
ぽたぽたと床には赤い斑点模様が幾つも、幾つも出来上がっていく。
骸の体の震えは止まってはくれなかった。
ガチガチと歯が鳴り、このままでは舌を咬んでもおかしくない。
細い足は今にも崩れ落ちそうだった。
恐怖、絶望感、苦しみ、悲しみ、悲愴感———。
全ての負の感情が、幼い骸の体と心をも満たす。
このまま逃げても良いのではないだろうか?
どうせ父と母は死んでいるだろう。
でも、まだ生きていたら??

———逃げてしまえば、それは裏切り行為と同じではないのだろうか?

自分は何しにここへ戻ってきた?
父と母を裏切るため??
———違う。
自分は、父と母を助けにきたのだ。
ここで逃げては、ならない。
そう考えると、骸の体の震えは収まっていた。
もう一度ドアノブに手をかける。
べちょりと血が再び付いたが、何故か不快には感じなかった。
勇気を出して、振り絞って、骸は震える手でドアを開けた。
そこには———、

悲しみなど、存在しなかった。

(・・・サヨウナラ、ウツクシイセカイ)