二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: テガミバチ +*ヒカリの少女*+ ( No.3 )
日時: 2010/10/05 23:06
名前: 唖柚李 (ID: 8hgpVngW)

「ザージー。」
「んー?あー、シオンかよ。なに?審査監視員って二人なの?」
「僕はロイドさんに駆り出されただけだよー。好きで来た訳じゃないんだよー。」
「ふーん・・・。」
「あ、来たよ。」
「・・・めんどくせー・・・・・・!」

マッケイ・ジーはラズベリー色の土を踏みしめて鎧虫ポイントに差し掛かる。

「おっと・・・こっちも早ぇおでましだ!」
「・・・相変わらず大きいねぇ。」

ムカデみたいな容姿の鎧虫、グレン・キースが姿を現した。

「鎧虫グレン・キース!・・・のケツ。」
「ちょ・・・最後のは付けなくてもいいじゃん。」
「ちぇっ・・・審査監視員なんてほんとめんどくせえ・・・
 死なせないようにちゃんと見張ってろよ!シオン!ヴァシュカ!」

・・・僕の言葉は軽く無視された訳で。
しかも、ヴァシュカと同じ扱いだし。
・・・相棒連れて来れば良かったかな?
マッケイ・ジーって弱ッ・・・。心弾撃てないって致命的だと思う。
相棒の名前を叫んで、心弾銃をどうにかして撃とうとして。

「ディンゴならとっくに逃げちまったよ。
 これだから下位受験者はみていられねぇや・・・・・・・・・。」
「・・・ばっかみたい・・・・・・。」

その時、一筋の赤い光が夜空に駆け巡る。
赤い光は見事に鎧虫の身体に命中した。

「しっ・・・心弾!?これは・・・・・・」
「多分・・・もう一人の受験者のラグ・シーイングだよ。
 いや、しかし筋がいいもんだよね。」
「もっと鎧虫のそばで撃たなくちゃ!!
 いこう!!ニッチ!!」
「!?」

上から声が聞こえて空を見上げると、ラグ・シーイングとマカの少女とマカの生餌らしき生き物が上から落ちてきていた。
これ・・・・・・着地できるのかな?

「すみません!!どいて・・・下さ——い!!!」
「な・・・・・・なんだあっ!?」
「だから、もう一人の受験者のラグ・シーイングだって。」

金色の髪を使い、地面に着地する。マカは飛んでくる攻撃を防ぎながら鎧虫の近くへと進んでいく。
ラグ・シーイングは心弾を鎧虫目掛けて撃っていく。
その時、ラグ・シーイングの心弾から、記憶のカケラが出てきた。
そこに写っていたのは幼い頃であろうラグ・シーイングと、スエードの姿があった。

『鎧虫の弱点である間接のスキマを狙うコンビネーションです。』
『あんなやつ?』
『そうアレアレ!!ガイチュー!・・・』
『集中に欠けると弾の威力が下がります・・・』

懐かしい、スエードの声。
あの時帰ってきて、話した少年は、あの子だったんだ。
・・・スエード・・・君は・・・。

「ステーキ!!」
「ヌニニニ———!!ヌニヌニ!!」
「むむ!」

どうやら、ステーキがスキマを発見したみたいだ。
しっぽをピコピコさせて示している。

「のわっ」

マカの少女—ニッチと呼ばれる子が金色の剣でラグを掴む。

「うえだ ラグ!」
「ニッチ?え・・・・・・」

ニッチが投げたその先には、鎧虫グレン・キースのスキマがあった。

「!! そこか・・・・・・!!」
「ヌ」

ステーキはヌ、と言って頷く。
ラグ・シーイングは心弾銃を構え、撃つ。

「心弾・・・装填・・・響け!!!!赤針!!!!!」

辺りが赤色の光に包まれて、グレン・キースはラズベリー色の土の中に戻る。
私達は、配達先のモリスさんの家に先回りする事にした。

***

「どういうことだい!?
 大事な孫の『テガミ』を泥だらけにして!!
 冗談じゃないよ!!」
「本当にすみません!!」

夜の街に怒鳴り声が響く。
近所迷惑でしょうが、やめなさい。・・・とは言えず。

「あんたよりとっくに先に到着して『テガミ』もこんなに綺麗なまま届けてくれたマッケイ・ジーさんとは大違いだよ!」
「いやー
 いいお湯でしたヨ!!」

・・・完っ全にこのモリスさんの趣味も混じってると思うんだけどな・・・。
でも、あれだけ激しい・・・かは分からないけど戦いを間近で見て汚れない筈は無いと思うんだけどな。
・・・ま、僕とザジは上で傍観してたから別に何とも無いけど。

「まあまあ・・・モリスさん
 こちらお礼金とおわびの切手セットです。換金も出来ますよ。
 申し訳ありませんでした。ご協力感謝致します。」
「おわび?」

・・・よくもまあ・・・そんなにご丁寧なキャラに出来るよなあ、ザジ・・・。

「あ、ちょ、ザジ待って。モリスさん、そっちの綺麗な方の『テガミ』・・・いいですか。」

確かこの少年には・・・

「えっとね、僕は『BEE』審査監視員でシオンって言うの。
 でね・・・この『テガミ』撃ってみて。」
「え・・・!?」
「さっきね、ファイル読んだの。ラグ・シーイング
 君の心弾・・・『もの』にこもった『こころ』を感知するんだってね?
 館長メモにあったんだよ。
 あ・・・でも、凄く加減してね。」
「えーと・・・はいっ・・・」

小さく撃った赤い光が辺りに漏れる。

   ・
   ・
   :
『なんだこりゃ きったねぇ・・・!』
『このままじゃマズいな・・・』
『こんなこともあろうかと持ってたのさ』
『ヘタな字・・・こりゃマネしやすいぜ』
   :
   ・
   ・
「うそだ!!そいつはヨダカの人間だぞ!!そいつはうそをついて・・・」
「はい、審査終了だよ。その心弾銃は今ここで返却してから帰ってね。」
「『こころ』を鍛えて出なおしてきな!!」

マッケイ・ジーが走り去るのを、ヴァシュカはただただ見ていた。

「帰り道・・・大丈夫かな・・・・・・?」
「鎧虫もしばらくはおとなしくしてるだろ。
 てか・・・ラグ!!お前やるな!!もうちょっとで記録更新だったぜ!?」
「記録・・・?」
「あのジギー・ペッパーですら二日・・・・・・
 オレだってグレン・キースを引っ込ませるのに一週間かかったんだ。
 コナーなんてひと月もモタモタモタ・・・
 決定は上の人間だし保証はしないけど、この水準なら本採用でいけるぜ」
「ほ・・・ほんと!?」

・・・僕が空気化してるよね、完全に。
おーい、見えてますかー。

「最速クリアも更新したようなもんだからな。
 記録保持者のゴーシュ・スエードも今はBEEじゃないし・・・・・・
 実質お前がトップ・・・・・・」
「ちょ・・・ザジ、それは禁句・・・」
「・・・ス・・・・・・エー・・・ド・・・・・・?」

・・・遅かった。
どうしよう。この子の事だからきっと突っかかってきそう・・・。
そりゃ、そうだよね。
自分がBEEを目指そうとしたキッカケの人&恩人である人が、もうBEEじゃなくて・・・

「・・・ゴー・・・・・・シュ・・・・・・?・・・・・・
 ゴーシュが・・・・・・・・・もう・・・『BEE』じゃ・・・ない・・・!?」

何処にいるかも分からないなんて。