二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 犬夜叉-刹那主義- ( No.34 )
日時: 2011/01/02 00:50
名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)

   
               
11 唐突
              
                  

深深と降る雨。音なんて無い。
感覚と視界の中でのみ降る、それは幻の様だと思った。 
                  
         
       
「で、どーするんだよ。お前は。」
      
「どうするったって・・・何を?」
 
「本当物分りわりぃな。これから、だよ。凛って帰れなかったんだろ?骨食いの井戸から。」
           
         
これから、か。私はどうするんだろう?否、どうなるんだろう?
本当は来る筈じゃなかった。物語の中に、私という存在は元から無いものだ。時代という枠で、日暮かごめはイレギュラーな存在。けれど私は物語という枠を超えている。
後ろを振り返らず前だけを見ろというのは無理な話だ。其処まで私は、強く無い。
    
 
「じゃあ、私も一つ、聞くけど。」
 
「何だよ。」
       
         
            
「犬夜叉達はこれからどうするの?」
        
刹那の沈黙。一瞬のようで、長い。言葉が形を成さない空間。
その時何を考えたのだろう?私には知る由も無い。
雨どいを伝って雫が流れ落ちる。小さな煌きは、地面に吸い込まれていった。
 
           
           
「・・・四魂の欠片を集める。つっても、知ってるんだろ?」
     
「うん。ねえ、かごめちゃんや、犬夜叉、そんで楓さんが私にこんなに親身になってくれるのは何で?ううん、質問を変える。何でだと思う?」
      
「俺が思った事でいいなら。上手く纏めらんねえけどな。お前の言ってる事は意味分かんねえし馬鹿だし見たところ妖力の欠片も無いし、すんっごく怪しい。」
       
「う、まあ事実ですけども。」
         
「だからだよ。」
      
「は?ちょっと待って、ええ?フツーあれでしょ、けどなんか気に入った的な事言うんじゃ無いの!?」
          
      
無言で後ろを向く。朱色の布と白。やっぱり、漫画で見るよりアニメで見るより、何倍も綺麗だと本心から思った。
本当は少しだけ理解していた。
意味が分かる一言は言ってくれなかった。けれど十分、優しいと思う。
            
 
「提案。私も、付いて行っていいかな?」
 
少しふざけた様子で言う。その割には真剣な表情だった。
どんな言葉が返ってくるかは分からない。けれど確かな物が欲しかった。゛在る゛という確証が。
         
           
「・・・・・・いいんじゃねえの。」
             
      
歩き出した背中が。とても、嬉しかった。