二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》小サナ世界デ大キナ嘘ヲ ( No.25 )
日時: 2010/11/21 17:07
名前: 月兎 (ID: kDmOxrMt)

第壱訓「人助けをした後は気持ちがいいよね」


日が落ち、風が優しく吹いている。

「いやいや、全くどうしましょうかねぇ」
呑気に一人の男が呟いた。
白いマフラーが風になびき、片手で開いた地図を見ながら微笑む。

「今宵はそろそろ宿でも捜しますか」
その男、藤原 白蓮は地図を丸めて懐に入れると手を片方の着物へと両腕組み、また歩き出した。



その時、遠くから声が聞こえてくる。



『止まれェェェェェ!!!』


怒声と、多くの足音が近づいてくる。
その手前を全速力で走っているのは黒い服に身を包んだ男だった。

大して追う者も黒い服に身を包み、刀を振りかざしていたのでそれは真選組しかありえないのだが。
「賑やかですね」

呑気に言っているうちに、その大群は迫ってきていて何か叫んでいた。
『誰かそいつを捕まえろ!』

黒服に身を包んだ、そいつ。

白蓮はその言葉に組んでいた腕を解くと微笑みを崩さないまま、その場所に立ちつくした。
「いやはや、助けを求められたら手を貸すのが侍道ってもんですよ」


黒服のそいつが白蓮の横を通り過ぎようとする…



が。
警戒している筈もないその男は何の対策もしていなかったためか、着物の端を掴まれたのに気付かなかった。

『なっ…!』

気付いた時に、そいつは大袈裟にその場で転んだ。
もちろん、袖を掴んだのは白蓮であり転んだそいつを見ながら一言。

「周辺注意力が足りないな、悪事を働くなら少しは知識を覚えましょうか」



追いかけていた真選組がその場に着いた。
「そいつを捕まえろ!」
命令をしたのは、戦闘で声を上げていた男、土方 十四朗であった。

男は真選組に捕えられ、手錠をかけられる。
それを確認すると白蓮は袖から手を離した。


「そこのお兄さん」
すると、声をかけられる。
「何か?」

「何かって、協力感謝しまさァ」
白蓮を引きとめたのは栗色の髪をした男、沖田 総悟であった。

「いえいえ、人として当たり前ですよ」
白蓮はその言葉に笑顔で答えると会釈をする。


捕まえられた男が車に連行され、先陣を切っていた土方も近寄ってくる。


「見慣れねェ顔だな?」

「はい、人に会いに来たんです」
地図を見せて、旅人をアピールして見せる。
その地図は歌舞伎町全体が描かれたもので、細かい為読みとるのが難しいものだった。

「歌舞伎町にいるのか?」
「はい、そうだ。お聞きしてもいいですか?」

白蓮は地図を閉まって、とれかけたマフラーを直すと問う。
だが、沖田は土方に言う。
「土方さん、行かないとですぜ?」


その言葉に土方が車を確認して、白蓮に目を向ける。
「ああ、だがこっちもな」

「手前、何で帯刀してやがる?」


白蓮の腰には刀が刺さっていたのだ。
土方のその言葉に、白蓮は一言。

「…それじゃあ」

呑気に両腕を差し出した。