二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》 小サナ世界デ大キナ嘘ヲ ( No.62 )
日時: 2011/05/15 21:30
名前: 月兎 (ID: luklZ16E)

第参訓「心配はいらないと思いたくても思えなくなる時もある」

「銀時!本当ですか?」
名前を聞いた途端に白蓮は驚いたように声をあげて聞く。
懐かしそうに、そしてとても嬉しそうな顔をしていた。

「万事屋で間違いないみたいだな!トシか総悟、案内してやってくれ」
白蓮の反応を見て、言うまでも無いと言葉を続けて近藤は土方と総悟に言う。
その間も白蓮は、よかった。と何度も呟いていた。

「分かりやした、俺が行ってくるんで土方さんは来なくていいですぜ」
総悟は立ち上がると、邪魔だと言わんばかりの態度で言う。
「いや、俺が行く。テメーは待ってろ」

対抗するかのように土方はそう言ったのだが、総悟は
「近藤さん、それじゃあ行ってきまさァ」
白蓮をすでに立たせ扉に向かい、完全に無視だった。

「総悟、頼んだぞ!」
近藤も完全に総悟が行くと決定しているのか豪快に笑って、言う。
「お騒がせしました、失礼します」
白蓮も別に気に留める様子も無く、総悟に促されるまま扉をくぐる。

「おいィィ!!ちょっと待てェェい!無視してんじゃねェ、近藤さんも何で?!」

土方の叫びも虚しく、結局総悟が連れていくことになり、屯所を白蓮は後にした。


「すいません、わざわざ案内だなんて…」
白蓮は総悟と横並びに歩き、頭を下げてお礼を言った。
「当たり前でさァ、それより気になる事があるんだ」

「気になること、ですか?」
肌寒い風が通り抜ける中、暗闇を歩く二人。

「旦那とはどういう関係なんですかィ?旦那に知り合いだなんて、桂位しかいないんだ」
昔の知り合い、そう付け足して総悟は聞く。

「桂…ここには小太郎もいるんですね」
小さくつぶやいてから、もう一度返答の為に白蓮は口を開いた。
息が白い。

「昔の知り合いです、ある日を境にバラバラになってしまってそれ以来会ってはいないんですがね…」
攘夷戦争の事は口にはしなかった。
それは、白蓮が銀時がそれを言わずに暮らしてきたからこそ、この街で平和に今を生きているのだと、そう考えたからだった。

「そうなんですかィ、旦那おぼえてますかねェ」

「覚えてなかったら一発殴ってみますよ」
冗談で笑いながら、そんな事を言っていると総悟が立ち止った。

「着きやしたぜ」

立ち止ったそこにあったのは[スナックお登勢]の明るいネオンの文字とその上の大きな[万事屋銀ちゃん]の看板だった。

それを見上げてから、白蓮は総悟にもう一度振り返りお辞儀をすると微笑んで言う。
「ありがとうございました、ここで十分です。またお礼をしに行きますので、よろしくお伝えください」

「了解でィ、それじゃあ」
総悟は白蓮の言葉通り、その場で来た道を戻る為に方向を返る。
そして、律義な男もいるものだなと感心しながら去っていった。


「…」
総悟の姿が遠くなっていくのを確認すると、白蓮はスナックの横の階段を上がっていった。