二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第一話  「無心は人間の為になる唯一のモノ」 ( No.2 )
日時: 2010/11/23 16:16
名前: 無幻 (ID: 8hgpVngW)


゜・*:.。.第一話.。.:*・゜


私が居るのは緑豊かでとても住み心地の良い国、ハードウェル国。

この国には黄杜[ハント]という伝説の生き物が住んでいる。黄杜は国の守り神として国の聖域、ハーナントという洞窟で暮らし始めた。
しかし、黄杜が国に暮らしだした途端、国の長が全ての事を黄杜の為とし、国民から税を奪い取った。

そんな人間の汚れた心に嫌気がさしたのか、何時の日からかこの国では親しい人との記憶が無くなっていく病気が流行りだした。
新しく代わった国の長はこの異常にいち早く気付き対処を始めた。そして彼はこの病の、否、この事件の発端となる者を見つけた。
リアントという十にも満たない少女だった。

長は少女を黄杜に差し出して、国の悪いものを全て吐き出してもらおうと考えた。
そしてそれは直ぐに実行された。


数日経ったある日、リアントは国に戻ってきた。
リアントは生気の抜けた廃人と化していた。

黄杜は、それ以来姿を現す事は無くなった。



十数年後、ハードウェル国は滅びた。
その国の生き残りは唯一人。
その少女は、今も見付かっては居ないという。


***


「もう、此処には無いな」

少女は小さな小屋の中の、血塗れた床を見つめそう呟いた。
そばにあった白いチョークで魔法陣を描き、小さくなったチョークを投げ捨てた。

「行こうかな、極東の魔女のトコへ」

呪文を唱え、白のフードを深く被る。



「ばいばい、ハードウェルの守り神、黄杜——」













































































少女の旅立った後には、白く小さな羽根が残されてあった。