二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.39 )
- 日時: 2010/12/10 21:58
- 名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)
ごめんなさいごめんなさい!!!
土下座して謝ります!!!ごめんなさい!!!
毎日書こうとはして居るんだけど、どうもPCが言うこと聞いてくれん日が続いて・・・・。
けど、今日は調子がいいみたいです。毎日来てくださって、本当に感謝感激です。頑張ります。
第十二話 —決定事項—
空は晴れ渡り、心地のいい風が横を通り過ぎる。
絶好のスポーツ日よりの中、中等部A組メンバーは各々これから行うドッチボールのため入念な準備体操に勤しんでいた。
棗達三人はその光景を少し外れたところで眺めている。
「久しぶりねドッチボールなんて。初等部の頃はよくみんなでやってたけど、まさか中等部になってまでやるとは思わなかったわ。しかもこんな時に・・・。」
「ナルにも何か考えがあると思うけど・・・。」
皮肉を飛ばす蛍に、流架は説得力の抜けたフォローをする。そうかしら と蛍はどことなく諦めの交ざった声と呆れた目を生徒達と楽しそうに話している鳴海に向けた。
「ともかくあの零那って子達の目的を明らかにしないと・・・・」
「目的って?」
蛍の背後から響いた零那の声に、三人の顔は驚きの色へと変わる。振り向いた三人に零那はいつもの笑顔を作り、無邪気な少女を装った。
「私達の事を話していたの?えっと・・・・」
「・・・今井蛍よ。こっちは乃木流架、それと日向棗。」
「そう。今井さん。アリスを持つ子供はここに入る事になって居るんでしょう?私達も同じよ。学園に入学するよう命令されたの。」
「・・・・信用できないわ。」
「勘ぐり深いのね。そうゆう人は好きよ。でもそれが真実なの。私は平穏無事に過ごしたいと思っているのよ。」
尚も疑いを向ける蛍に零那は笑顔を崩さない。
「棗君達ー始めるよー。」
鳴海の声で二人の間に張られていた緊迫した空気は一気に緩み、零那は頭の端に感じた痺れに顔を顰めた。
「行きましょう。」
「ごめんなさい。呼び出しが掛かったみたい。」
困り顔で零那が謝ると、三人は訝しげな表情を浮かべながらも、鳴海達の元へと戻っていった。
「お呼びって、日下?」
「そうみたい。一瞬のテレパスだったから詳しい場所までは分からなかったけど・・・・。」
「・・・・あれ・・・。」
李麻の指の先に、人と仲良く話しながら向かってくる日下の姿があった。それはまるで、親しい友人同士の語り合いに見える。
「何やってんの?あの馬鹿は。」
「さぁ。でも楽しそうね。」
「楽しむために来たんじゃないでしょ。」
くすくすと笑う零那に彼方が不機嫌そうに反論する。その声で気づいたのか、日下が手を挙げ足の速度を少し速めた。
「よう、我が弟よ。」
「ようじゃない、馬鹿兄。何してんのさ。」
「何って探索だよ。クラスメイトと。なぁ翼。」
「なぁ、じゃねぇよ。いきなり走るな。」
「悪い悪い。」
後から追いついてきた安藤翼は、予定外の日下の行動に疲れた様子で答えた。詫びる気のない日下に翼は頭を押さえる。
「たく、朝から付き合わされる身にも慣れっての。」
「こんな馬鹿によく付き合うよね。」
「まぁ、一応仲間だからな・・って、こいつら誰?」
今零那達に気付いたというように翼は、紹介を日下に求めた。
「あぁ、俺の弟とその彼女と彼女の姉。」
「その説明はないんじゃないの?馬鹿兄。」
「事実だろ?」
火花を散らす二人をよそに翼は零那と握手を交わした。
「俺は安藤翼。高等部のA組で、日下の世話係。君が日下の弟の彼女?」
「いえ。私はその姉の木城零那です。彼方の彼女は妹の方ですよ。」
翼が目を零那から李麻へと向け、軽く笑う。
「・・・・・李麻・・・・・。」
「李麻ちゃんって言うのか。よろしくな。」
差し出された翼の手から李麻は逃げるように零那に隠れた。
「・・・嫌われたか。」
「気になさらないでください。人見知りなんです。」
「そっか。仕方ないな。・・・おい日下。」
零那の言葉に苦笑を見せる翼は、彼方と睨み合っている日下に声を掛けた。睨み合いを中断し、日下は翼に顔を向ける。
「ん?」
「お前弟に用事があったんだろ?俺高等部に戻るから用事終わったらお前も戻って来いよ。道分かるだろ。」
「心配すんな。」
豪語する日下に心配そうな目を向けるが、何も言わず翼は戻っていった。
「で何?」
「何ってことはないだろ。愚弟を心配して様子を見に来てやったのによ。」
「その設定うざいから止めてくんない?」
「ひでーなぁー・・・。」
「彼方。苛めるのはその辺で。本題に入りましょう日下。」
切り出した彼方の毒舌に傷ついていく日下を見かね、零那が話を切り替えた。
「・・・・昨日、玲生から連絡があった。二日後予定を切り上げて決行するだと。」
促された日下は未だ涙目になりつつも、玲生から言い渡された任務を告げる。
「二日後・・・・それは決定事項?早過ぎませんか?」
「組織内でも混乱してるみたいだな。この作戦自体も玲生とボス、それに一部幹部にしか話してなかったみたいだ。」
「ボスが許可したんだよね?」
「あぁ。」
「なら迷う必要ないじゃん。俺は命令に従うよ。」
彼方は質問に日下が頷くと、当たり前だと賛同した。
「仕方がありませんか。」
李麻も頷き、零那も渋々納得する。
「じゃ、準備しといてくれ。」
日下は、満足顔で元来た道を帰っていき、零那達もグランドへと足を向けた。
零那達が抜けたグランドの影に翼と棗達三人が隠れるように集まっている。
「確かに怪しいな。日下と彼方って奴。兄弟って感じじゃなかったぞ。」
翼は苦々しく告げる。
昨晩三人に呼び出され棗の部屋で聞かされた時は、考えすぎだと笑っていたものの、実際に彼方の雰囲気を間近で感じてみると、棗達の予想が笑えなくなってきた。彼方や日下の纏っているのは、間違いなく自分たちと同種のものであった。
「その日下ってのは会って見なきゃ分かんないけど、注意しといた方がいいわね。」
蛍の重々しい声に棗達は頷いた。
つづく