二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.9 )
日時: 2010/11/27 14:27
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

あやのん様
本当ですか!!!!!もの凄く嬉しいです!!
おもしろいなんて・・・ありがとうございます!!
タメOKです。これからも宜しくです。


第三話 —偽り—

一番古い記憶は、玲生の言葉だった。

ぼやけて見える視界に不安を覚え、頭をゆっくりと動かす。疲労に似た気怠さを全身に感じながらも、状況把握のため辺りを見回そうとした時、頭の上に暖かさを感じた。それが手の温もりだと分かったのは、横になっているベッドに腰掛けている玲生を見つけたからだった。

「あな・・・・たは?」

玲生は蜜柑が起きた事に気が付くと、優しくほほえみかけ、ゆっくりと口を動かした。

「俺は玲生。お前の名は、零那。俺たちの仲間だ。」

ぼんやりとした蜜柑_零那に玲生は優しく語りかける。まるで、子守歌の様なその声は、零那を引きつけた。

「お前は特別なアリスを保持していたばかりに、学園に軟禁され、虐げられていた。来る日も来る日も、学園の特殊任務に駆り出され、それに抵抗したお前は学園から逃げ出したんだ。逃走中に衰弱していくお前をボスと俺が助け出し、ここまで運んできた。」

全く記憶にない出来事に不思議そうな顔をした蜜柑を見て、玲生は苦笑した。

「覚えてないのも無理ないか・・・。お前はここに来る途中、学園の追撃を受けその攻撃のせいで記憶を失ったんじゃないかってボスが言っていたよ。よっぽど酷い扱いを受けていたんじゃ無かって。お前を見つけた時、酷く怯えていたからな。」

苦しそうに話す玲生に零那は、頭の上に置かれていた玲生の手を自分の頬まで持って行き、優しく微笑んだ。そして、驚いた顔を見せる玲生を見つめながら“ありがとう”と静かに呟く。

「・・・俺たちがもっと早く助けられたてたら、こんな事には成らなかったかもしれない・・・。」

玲生の声が震え、その目からは涙がこぼれ落ちた。零那は静かに首を振ると、握っていた手を離し項垂れた玲生の頭を撫でる。

「あな・・・・・た・・のせいでは、ありま・・・せん。記憶は・・・・無いけど・・・・でも・・自分を・・・・責め・・・ないで・・・・・。」

微笑みながら、少しずつ言葉を声に出す。はっとしたように見つめ返してくる玲生ににっこりと、笑いかけた。

「悪かった・・・・・・。」

まだ、苦しそうに声を出しながらも、微笑みかける玲生に零那は嬉しそうに笑った。


「玲生、いいか?」

突然部屋に響いた聞き慣れない声に、零那は怯えた表情を表すが、玲生が安心しろと微笑む。

「あぁ、大丈夫だ。・・・・零那、紹介する。お前の仲間だ。」
「な・・・・かま?」
「あぁ。」

玲生は体をずらし、後ろに目を向けた。玲生の視線の先には、二人の少年と一人の少女が居る。
一人は、背が高く屈託がない笑顔を浮かべ、もう一人の少年は、退屈そうな顔で少女を護るように立ち、少女は、零那と同じような怯えた表情を見せ、隣の少年の手を握りしめていた。
最初に近づいたのは背が高い少年で、その後から二人とも一緒に付いてきた。枕元まで来ると、先程よりも嬉しそうな顔をし、零那の顔に近づく。

「よ!!俺の名前は、国元日下。皆からは、日下って呼ばれてるけど、気軽に“お兄ちゃん”って呼んでくれよな!!」
「お・・お兄・・・ちゃん?」

戸惑いながらも、言われた通り呼ぶと近づけていた顔を離し、カラカラと嬉しそうに笑う。

「ははははは!!!これから、宜しくな。零那。」
「五月蝿いよ、馬鹿日下。」
「ぐふっ」

声と同時に日下が視界から消え、代わりに銀髪の髪をした少年と、水色の髪をした少女が零那の前に立った。

「俺の名前は、彼方。あの馬鹿日下と一緒のチームに居る。宜しく。」

淡々とした声に零那は視線をずらし、隣の少女を見る。目を向けると少女はびくっと肩を振るわせ、彼方に隠れるように引っ付く。

「ほら、自分でやんなくちゃ。」

彼方は少女の肩を押し、自分の前に立たせた。その言動は優しく、今し方零那に向けられていたそれとは、酷く違っていた。

「木城・・・李麻・・・。よろしく・・・。」
「こちらこそ。」

小さな李麻の声に零那は微笑ましく思い笑いかけると、びっくりした顔でまた彼方にくっついた。

「良くできました。」

彼方が優しく頭を撫で、それを李麻が嬉しそうにしているのを見ると、不思議と懐かしい思いが込み上げてくる。しかし、その原因は分からない。

「そんじゃぁ、今日はこれで解散だな。零那は明日迎えに来るまで休んでろよ。」

玲生はそう言うと、未だに俯している日下を担ぎ上げ、部屋から出て行き、彼方と李麻も手を振りながら、玲生の後を追っていった。
一人残された零那は目を閉じながら、これから仲間と共に居られる自分を思い描き、嬉しく思っていた。





「上手くいったね。」

彼方の言葉に、玲生は微笑で返す。

「これからどうすんの?」
「蜜柑_いや、零那は俺の監視下の元、任務をこなして貰うさ。」

先程、零那への態度とは打って変わり、その声はとても冷たく響く。

「あんたもあんな演技良くやるよね。それも、スター様所以の演技力?」
「下らない事言うなよ。好きでスターやってる訳じゃねぇよ。」

鼻で笑う玲生を、彼方は冷めた目で見る。

「でもさ、記憶を取り戻したらどうすんの?催眠暗示だって、絶対な訳じゃないだろ。」
「レイズがやったんだぜ。ちょっとやそっとじゃ解けねぇよ。まぁ、もし説けて使い物にならなくなったら敵に回る前に始末するさ。」
「ふ〜ん・・・・」

李麻がちらっと彼方に視線を向けると、彼方は優しく手を握る。

「大丈夫だよ、李麻。」

彼方が李麻に接する態度を見て、玲生は呆れたようにため息を吐く。

「お前も相変わらずだなぁ〜。」
「あんたに関係ないでしょ。」

冷たい目で見上げると、玲生はまたため息を吐き、通路を進んでいった。


「あの人の言葉・・・・優しいかった・・・・」

玲生が見えなくなると、今まで黙っていた李麻が小さく呟いた。彼方は うん と静かに同意すると握りしめる力を強めた。


つづく

今回は後書きっぽいのやります。


キャラが掴みづらいです。
玲生ってこんなにあくどい人だったでしょうか?
自分が書くと、こんなんに成ります。
さて、やっとオリキャラ達を登場させる事が出来ました!!皆さんはどのキャラがお好きでしょうか?
ちなみに自分は、彼方君でしょうか。李麻も好きですけど。。。李麻もっと喋らせたいなぁ〜。。。
それと、日下君はいじられキャラに成りつつあります。結構いい人なのに・・・・。
その他諸々はまた別の機会に・・・。
というわけで、次回は棗達視点です。