二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.1 )
- 日時: 2010/11/27 22:12
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
—コンコンッ!—
「失礼します。おじさん、おばさん、いますか?」
一人の女性がある一軒家へと入っていく。中には人の気配がない。
女性もそれを感じたのか、小さくため息をついた。
「狩りにでも行っているのでしょうか・・・・。仕方ないですね」
女性は近くにあった椅子に座り帰ってくるのを待とうとしたが、ふと自分の体を見だした。
彼女は狩りを終えた後だった。体は土で汚れていて、体も僅かに臭っていた。
「このままおじさんたちと会うのに失礼ですね。無断ですけど、お風呂を借りちゃいましょう」
女性は立ち上がると、自分の防具を外しながら風呂場へ向かった。
——————————火山——————————
「親父、母さん。こっちにいたバサルモスは片づけたぜ。・・・ヒュ〜!」
「あらレイン。ご苦労さま」
レインと呼ばれた男性が親父、母さんと呼んだ二人を取り巻く状況を見て口笛を吹く。
二人を囲むようにバサルモスが十頭並んでいる。
「さてと。私たちも早く片付けよ、あなた」
「その呼び方、寒気がするから呼ぶなって言ってんだろう?ミルナ」
「ふふっ。そうだったね、ソニック」
二人は今の状況を理解できていないような、のほほんとした会話をしている。
ソニックはさてと、と言うとと片腕で大剣を構えた。
ソニックの左肩には左腕の代りに封印のハンターの紋章が入った布がかけられている。
「そっちの6匹、任せるぜ」
「ええ、分かった」
ソニックはその言葉を聞くとバサルモスに向かって走り出した。
ソニックは速攻で硬いバサルモスを切り裂いていく。
「相変わらず派手好きなんだから、もう・・・」
ミルナはそう言うと弓を構え、6本の矢を取ると一気に引き絞る。
それを放つとそれぞれの矢がそれぞれのバサルモスの脳天を貫通する。
6匹のバサルモスが一瞬で地に伏した。全てのバサルを狩り終え、一息入れようと思った瞬間
—ゴゴゴゴゴゴ!—
突如訪れた地響きと共に現れたのは、バサルモスの親玉とも呼べる存在。
「イビルモスまで出てくるなんて思ってなかったな。・・・ミルナ、俺がやる。そこでレインと見てろよ」
ソニックはそう言うと楽しそうな表情を浮かべながら、イビルモスへと向かって行った。
——————————村——————————
「さっすが親父だな。イビルモスを瞬殺だもんな」
村に帰ってレインは先ほどのソニックの狩猟について語っていた。
「あれぐらいならお前もすぐに出来るさ。それよりレイン、先に帰ってろよ。報告書は俺らが出しとく」
「サンキュー、親父」
レインはそう言うと自分の我が家へと帰って行った。
「ただいまーー・・・ってまぁ、誰もいねーけど」
レインはそう一人で呟きながら体の汚れを落とすために風呂場に向かった。
自分の防具をボックスにしっかりと入れて、いざ風呂へと繋がる洗面所の扉を開けた時。
「え・・・?」
「・・・な!?」
そこには今風呂から上がったのであろう女性がタオルで自分の体を拭いている姿があった。
もちろん、女性は素っ裸。上も下も全部丸見え。
「きゃあああぁぁぁぁ!!」
—ゴンッ!—
女性は何も考えてなかったのだろう。本気の回し蹴りがレインの頭を直撃する。
「ぶフゥ!!」
————————————————————
「最っっっ低です!!!!」
「いちちちち。ってーなスノウ」
二人は今扉一枚を挟んで会話してる。レインの頭には大きなたんこぶが出来上がっている。
「当たり前です。女性の裸を見たんですからその程度の報い受けて当然です」
「だからっていきなり蹴りかよ!!?女のやることじゃねえ・・・。
・・・・それにしても、お前の身体って本当綺麗だよな」
「えっ!?」
レインの唐突な言葉にスノウは壁際で軽く赤面する。
「まぁ、相変わらず胸小せぇけど・・・」
「・・・・・」
—ガラッ!—
「おお?」
扉に寄りかかっていたレインは突然開いた扉に態勢が崩れ、身体はそのまま洗面所の方にと転がる。
—ゴキャッ!!—
レインは一瞬スノウの姿が見えたが、妙な音が響いたと思ったら意識が消えていった。
————————————————————
「・・・で、お前何しに来たんだ?」
意識を取り戻したレインとすでに防具を身に付けているスノウが机を挟んで向かい合っている。
「特に何も・・・・。ただ、久しぶりにおじさんとおばさんに挨拶をと思って。二人は今どこに?」
「二人揃ってギルドの方に報告書を出しに行ってるよ。そっちはどうなんだ?スタークさんとサラさんだっけ。
俺はあんま面識ないけど、そっちも元気なんだろう?」
「ええ。お父さんは相変わらず鬼教官と呼ばれていますよ。それでも、お父さんへの受講者は後は絶ちませんけど。
お母さんは、まあ主婦業に勤めてますけど、いたって健康ですよ」
スノウの両親であるスタークとサラは今、レインたちがいるこの村とは違うところに住んでいる。
スタークは胸の傷の後遺症で狩りに出れる身体じゃなくなり、
サラの足も狩りに耐えられるほどの力は失ってしまっていた。
だから上の通りスタークはその町で教官として務め、サラは専ら主婦業に専念。
その時、家のドアがゆっくりと開かれた。
「レインさん、いますか?」
「俺がそうだけど、何か用か?」
現れたのはギルドの従業員の人らしき人物。手には一枚の紙を持っていた。
「はい、あなたを指名したクエストが届きまして」
「俺当てに?」
珍しい、そんなことがあるのだろうか?
レインは不思議に思いながらも従業員から紙を貰った。確かに俺を指名したクエストのようだった。
場所を確認すると、レインはげんなりした。
「はぁ・・・、また火山かよ。しゃーねーな、行ってくるか」
「待ってください!!」
レインがドアノブに手を懸けた時、スノウが呼びとめた。
「どうせなんですし、久しぶりに一緒に狩りに出ませんか?」
「オッケー!じゃ、行くか!」
- Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.2 )
- 日時: 2010/11/28 09:15
- 名前: 風 (ID: afDkyVXv)
おっ,早速書いてくださったんですね?
凄く嬉しいです^^
頑張って下さいね!
- Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.3 )
- 日時: 2010/11/28 09:18
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
- 参照: http:/
早速コメントありがとうございます。
暫くは以前書いた所なので、暇かもしれませんが、どうか付き合って下さい
- Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.4 )
- 日時: 2010/12/02 12:03
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
- 参照: http:/
—〜〜〜♪〜〜♪♪〜〜〜〜〜〜♪♪♪—
「相変わらず好きなんですね、オカリナ」
火山に向かう途中の船で、レインがオカリナを吹く横でそれを眺めていたスノウが呟いた。
「嫌いか?オカリナの音色」
「いえ、聞いていると心地よいですよ」
「ま、じゃなきゃこんな近くで聴いてたりしないよな」
レインがおちょくる様な口調で言う。それにスノウはぶすっとした表情を向ける。
「で、今回のクエストはどんなものなんです?」
「んぁ?・・ああ、なんでも暴れる獅子を退治してくれってもんだな。
依頼人は不明。報酬金は・・・」
「暴れる獅子・・・・ラージャンのことでしょうか?」
レインは自分から聞いといてそれかよ、と言いたげな表情で
「俺が話している途中に話すなよ。ま、どう考えてもラージャンじゃね?
暴れる獅子なんて他にいねーだろ。ま、楽しみだな」
——————————火山——————————
—ギャオォ!!ギャオオォゥウ!!—
火山の中に入ると直ぐにイーオスとも、ドスイーオスともとれるモンスターが出てきた。
これはイーオスが巨大化した姿。ので、どちらかというとまだイーオスだ。
「ありゃりゃ、本命の前に雑魚掃除か」
「行きますよ、レイン」
「ほいさ!!」
レインは背に背負っている刀を抜くと、イーオスの元に走りだした。
数は7匹。まずは一際群から離れているイーオスを狙う事にした。
「先手必勝!!」
—ズパン!!—
10メートル近くある間合いを一瞬で詰めるとイーオスを切り裂く。
一匹のイーオスを片付いたところで、他のイーオスも敵の存在を確認にした。
—ズパン!ズパン!!—
向こうが警戒の声をあげる前にさらに二匹を片づける。イーオスはレインのスピードに戸惑っている。
それもその筈。レインの移動には加速がない。つまり初速から、最高速度に達しているのだ。
レインはこれを自らこの技術を編み出し『閃華』と呼んでいる。
「あと4匹!」
「いいえ、もう終わりましたよ」
残りの4匹はレインが手を出す前に既に地面に倒れていた。その近くにスノウが立っていて、
手にはグローブをはめている。
「毒を扱うイーオスを毒で殺すとか、えげつねえな」
「なら、あなたもこの毒を喰らいますか?好きな毒を選ばせてあげますよ?」
スノウが妖美な笑みを込めてレインに言う。
「いやいやいや!お前の毒、全部猛毒じゃんかよ。喰らったら死ぬって」
「ふふ、冗談ですよ。さ、早くラージャンを探しに行きますよ」
くるりと翻ると笑顔を向け、歩き出した。
「冗談になってねぇっつーの・・・・」
レインはそうスノウの後ろ姿に吐きかけるとスノウの横に並ぶべく走りだした。
————————————————————
「・・・空気がぴりぴりしてんな」
「ええ。おそらく近くにいるんでしょうね。ラージャンが」
—ウォォオォォォオオオォォォ!!!!—
空気を震わせる咆哮が洞窟内に響く。そして溶岩の中から現れたのはやはりラージャン。
・・・・と思ったのだが。
「なーーんか・・・。違うよな」
確かにラージャンの様なのだが、何かが違う。見た目はたいして変わっていない。
このぐらいの変化なら様々なモンスターもしている。
けど、決定的に今目の前にいるラージャンは他のとは何かが違う。二人はそう感じていた。
「ま、あれが何だろうと狩るのみ。いくぞスノウ」
「ええ。ただし、十分に気を付けてくださいね。あのラージャン、他とは違うようですから」
レインは頷くと、まずは真っ直ぐに突っ込んだ。ラージャンはこちらに気づいていないらしく、まだ反応していない。
レインはいけると思い、刀を振った。だが、
—スカッ・・・—
「なっ・・!?」
本当に切りかかる寸前までまったく反応していなかったのに、切りかかった直後、ラージャンは
レインの刀をかわした。いくら、卓越した身体能力を持つラージャンでもありえない動きだった。
だが、レインは驚いている暇はなかった。ラージャンがカウンターを決めようと、拳を振り上げていた。
すぐにその場を離れ、間合いを離れるレイン。ラージャンは拳を止め、こちらを見据えている。
「っとっとと・・。ありゃあ、一筋縄じゃいきそうにないな」
「特別な変異をとげたラージャン・・・にしても少し可笑しいですね。
今の動き、完全にレインの攻撃を見切っていましたね」
「じゃ、前のやり方でやるか?って言うかそれしかないと思うけどな」
「そうですね。それが一番の方法でしょう」
レインがまたラージャンに突っ込む。ラージャンはまたカウンターを合わせようと、拳を振り上げた。
「・・・二秒後に右側から」
スノウが言う。それから二秒後、ラージャンは拳を振り下ろした。
レインはそれを振り下ろす直前にすでに動いていたのでかわしていた。
そしてそのままラージャンの足を切り付ける。
「・・・・その場で高速回転」
ラージャンはレインを吹き飛ばそうと身体を捻じるとその場で高速回転した。
レインは後ろに引き際に、ラージャンに砲撃した。
レインの武器はガンブレードと呼ばれる、太刀に砲撃機能を加えたものを使用している。
太刀にしては若干重みが加わるが、中距離にも適応した武器だ。
攻撃がかわされ続け苛立ってきたのか、身体からバリバリと電撃が放出される。
「・・・ジャンプ後、こちらに向かって落ちてきます。
その後、半径五メートルに電撃が地面を走ります」
ラージャンは高くジャンプすると、空中で向きを変え、レインたちのいる方へと高速落下する。
地面に激突した瞬間、身体に纏っていた電撃が地面へと流れる。
レインはそれをジャンプでかわしながら、ラージャンの真上を取るとその背中を切りつける。
「さっすが、預言者。先読みはお手の物だな」
微笑みながら言ったレインに対し、スノウは驚愕な表情を浮かべている。
「・・・・!!!レイン、直ぐにこの場から離れましょう。
このままここにいたら私たち死んでしまいます!!」
その声と共にラージャンの電撃がさらに激しさを増した。身体は異常に膨れ上がり、
何か身体からはどす黒い邪気を放っている。
そしてその目は全てに憤怒しているかのような禍々しさが渦巻いていた。
- Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.5 )
- 日時: 2010/12/08 16:24
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
- 参照: http:/
「火山地帯ってのに寒気が止まんね」
額から汗を噴き出しながら、引きつった顔でレインが言った。
「そうですね。・・・私が見た未来、見せてあげましょうか?」
スノウも似たような表情でレインの顔を見る。
「結構!預言者にわざわざ死ぬ未来を予言されたくねーっつーの。
・・・気合い入れろ、スノウ。来るぜ!!」
—ゴガァァァァァァアァアァアアァ!!!!—
ラージャンは大きくのけ反った。レインは光線だと感じ動こうとしたがスノウが止めた。
「レイン!!すぐに岩盤を返して盾にしてください!!」
「はぁ!?そんなことしなくても・・・」
「いいから早く!!」
レインは半信半疑でガンブレードで岩盤をひっくり返し盾にする。
—ズギャアァアアァァァンンン!!!—
ラージャンの出した光線の範囲は半端なく、岩盤で防いだのは一番の正解だった。
だが、その岩盤も少しずつ崩れて・・・砕けた。
「うおっ!!」
「きゃあぁ!!」
衝撃で吹っ飛んで倒れるが、そんな時間をラージャンは与えてはくれなかった。
ラージャンは俊敏なステップでレインに近寄ると、地面を抉るようなパンチがレインに向ける。
「閃華一幻・別魅(わけみ)」
ラージャンの拳がレインを貫く。が、そのレインはふっ、と消えてしまった。
「こっちだ、ゴリラ」
「閃華一幻・別魅・・・。残像を生み、惑わす移動術・・・」
スノウが呟いた。レインはラージャンの周りに5人いる。どれも、レインの
高速移動によって生まれた残像だ。ラージャンは突然増えた敵に戸惑っている様子だ。
「竜幻!」
5人のレインが一気にラージャンに間合いを詰めると、5人で一気に切り裂いた。
そして直後に砲撃。計十発の攻撃を受けたラージャンは一瞬動きを止める。
たったの一瞬。だが、それを見逃すスノウではなかった。
「魔毒」
スノウがラージャンの皮膚を優しく撫でるように滑らせる。もちろんグローブを付けた手で。
途端、ラージャンは苦しみだし、その場で暴れ始めた。
「・・・初めて見る毒だな。どんな毒何だ?」
「単純な毒ですよ。体内に侵入すると、その者の細胞を浸食させていくものです」
「・・・おっそろしいな・・・」
—ゴギャアアァァア!!—
暴れていたラージャンが、いつの間にかこちらに向かって光弾を撃っていた。
今まで毒を喰らって動けたモンスターがいなかったことから、スノウは油断していて
予知眼は発動せず、レインもスノウの毒の威力は知っていたので終わったものだ思い込んでいた。
光弾は既にレインの閃華でも交わせないほど接近していた。二人は死を直感した。
—バチンッ!—
何かが弾ける音がした。二人が目を開けるとどこから現れたのか、
バサルモスが二人を守るよう目の前に現れた。
「間一髪だったな」
バサルモスが突然喋り出した事に二人が驚きの表情を浮かべる。
目の前のバサルモスがこちらに顔を向ける。と、思ったがそれはバサルモスではなく人間の男だった。
皮膚がまるで岩石のように変化していたため、それに大柄な体型だったため見間違えたのだ。
「・・・獣人?」
スノウは呟くが、すぐそれが失言だと察し、口を塞ぐ。
男はそれに気にする様子もなく、また目の前のラージャンに目を充てる。
「お前たちは下がっていろ。危険だ」
—ゴギャアアアアア!!!—
ラージャンが男に向かって突っ込む。男は態勢を低くすると。
「迅竜の脚」
男の姿が消える。それにより僅かに態勢を崩すラージャン。
「金獅子の腕」
今度は真上から手をまるでラージャンの腕のように変化させ、ラージャンを殴り付ける。
だが、ラージャンはあまり効いた様子も見せず、その場で回転し男を吹き飛ばした。
そんな様子を見ていたレインが言った。
「あいつが来る事、お前の目には視えてたか?」
「・・・いえ。まだ私もこれを完全に使いこなしていませんから。
それとも、私の視たのはこの後の出来ごとかも知れませんよ」
「・・・・お前の予知眼は絶対に起きる出来事じゃねーしな。
ま、未来なんて気まぐれに変わるもんさ」
レインはそう言うと、自分も戦いに加わろうと武器を握る手に力を込めた。・・・その時
—ピシャンッ! ズドン!!—
ラージャンの真上が光ったと思うと突然、ラージャンは謎の光に包まれてしまった。
謎の光が消えた時、ラージャンの姿もそこにはなかった。
「今の光は?」
「ん〜〜〜。まぁ、なんだっていいんじゃねえの?ほら、ラージャンはいなくなったようだし。
周り気配ないから今の光で死んじまったか、逃げたかしたんじゃねえの?
そんな分からない事ばっかに頭使ってるぞ、剥げるぞ」
「・・・あなたはもう少し頭を使った方がいいですよ」
スノウはそう言うと、先ほどの男の元に向かった。
「あの、助けていただきありがとうございます」
「気にするな」
男はそうだけ言うと、辺り警戒し始めた。その表情は獲物を捉えるために神経を張らす獣そのものだった。
「今の光で死んだんじゃねーの?」
レインが男が何を警戒しているのかを感じ言った。男はレインを見ると。
「・・・いや、いくらなんでも肉片一つ落ちていないのは可笑しすぎる。
おそらく、あの光を見てすぐに退散したんだろう」
男はそう言うとレインたちをその場にどこかに去ろうとした。
「あ・・あの・・!」
「・・・なんだ?」
「そ・・その、さっきはすいませんでした。獣人なんて言ってしまって・・・」
スノウが本当に申し訳なさそうに言う。
「・・・気にするな」
そう言うと男はそのまま去って行ってしまった。
「何だったんでしょう?彼は」
スノウは顎を摘まみながら考える。彼女は本当に分からない事がある事が落ち着かない人なのだ。
- Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.6 )
- 日時: 2010/12/15 13:28
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
「スーーー・・・スーー・・」
レインとスノウは今船の上。スノウは安らかな表情で寝息を立てながら寝ていた。
別に寝不足だったわけではない。予知眼の連発の影響で起こる、
回復のために強制的に睡眠だ。
あの後妙な大男と別れた後、そのまま眠りに就いてしまったスノウを
レインが担いでベースキャンプまで運んだのだ。
「・・・・・・・!!!」
やる事もなく、オカリナを吹く気にもなれなず、ただ海を眺めていたレインが突然、
苦悶の表情を浮かべながら右目を押えた。
「おい、兄ちゃん・・・大丈夫か?」
船の操縦士がレインの様子に気づき、声を掛ける。
「あ・・ああ・・・。平気だ」
レインは大量の汗を額に浮かべながらゆっくりと立ち上がった。
「ふーー。・・・またか」
レインが小さく呟いた。突然起こるこの症状は実は初めてではないのだ。
不定期に起こる右目の痛み。まるで目から何かが飛び出そうになる感覚だ。
だがその痛みも一瞬で、それ以降は痛みの余韻はない。
「・・・大丈夫ですか?レイン・・・」
瞼を重そうに開け、スノウがレインの様子を見て尋ねた。
「わりっ。起こしちまったみてーだな」
「気にしないでください。・・・・もしかして、あの症状ですか?」
スノウも一応この事は知っている。以前スノウがレインと話している時にこの症状が出て、
それを見たスノウがレインを凄く心配した表情で眺めていた。
「ああ。ま、いつもの事だから心配すんなよ」
「・・・分かりました」
口ではそう言っても、スノウの表情は相変わらず心配そうだった。
————————————————————
村への帰り道、目の前が突然光りだしたと思ったら、幻獣・キリンが立たすんでいた。
レインは直ぐにガンブレードを取りだした。
「・・・・・」
だがレインはガンブレードを抜いただけで、それだけでキリンに襲いかからなかった。
『さすが、四大英雄の倅たちだな。良い目をしている』
「うお!!モンスターが喋った!!?」
レインが目を丸くして言う。スノウも驚いた表情をしている。
その時レインはこのキリンが言った言葉に首を傾げた。
「・・・四大英雄の倅??」
————————————————————
ベリウスが大まかな説明をした後、レインが口を開いた。
「・・・つまりお前はベリウスっていう、平和の根源の源で、
前に親父たちの助けになったモンスターなんだな?」
『そんな処だ』
ベリウスが頷きがら答える。それを見たスノウが
「そんな方が私たちにどのような用件でしょうか?」
ベリウスはそうだな、と言って暫く考えた後。
『これから起こる戦いのために力を貸してほしいのだ』
「これから起こる戦い?」
ベリウスの話によると、今までの根源の戦いは共鳴者同士で行われてきた。
だが、長い年月の果てに平和の根源の源ベリウス。憎悪の根源の源ジスペル。
両者の本体の覚醒が始まっていると言う。
だが、どちらも完全に覚醒するには『ルーン』と呼ばれる12体のモンスターに別れた、
心臓とも呼べるものが必要らしい。
ルーンは世代毎にモンスターを移転する。だが、今までは普通のモンスターと大差はなかった。
が、近年になって本体の覚醒と共にルーンも覚醒をし始めているらし。
それによって憎悪の根源のルーンを持つモンスターは異常な姿、力を付け暴れているらしい。
それを退治、および自分の本体の復活の手助けがほしいと言う事で
ベリウスはここに足を運んだらしい。
『頼めるか?』
ベリウスの頼みに考えるレイン。
「親父はその憎悪の根源の共鳴者?なんだろ。親父はそれで暴走したりしないのか?」
『ああ。共鳴者はあくまでも根源の戦いの代理を務めるために生まれたものだ。
本体の覚醒が始まった今になっては、共鳴者はすでに関係ない』
レインはそうか、と少し安心したように呟く。
「どうするんです?レイン」
「・・・・・・」
スノウの問いにレインは考えた表情を崩さずに黙っている。
『すぐに結論を結論を出さなくてもよい。明日には返事がほしい。ではな・・・』
ベリウスは眩しい光に包まれるとその場から消えた。
——————————村——————————
「いってやれよ」
全てを話した後のソニックの第一声がそれだった。
「ベリウスか。あれっからずっと見ないと思ってたけど、なるほどな・・・。根源の目覚めか・・・」
「親父はベリウスってのやつを知ってんのか?」
「ああ。前のガルドロスの討伐の時に少しな・・・」
ソニックはレインの言った事に応えるも、意識は別の方に言っている。
「この世界を創ったって言う伝説の神、白阿神と黒吽神。
その両者が目覚めるなんて事があったらどうなるのかな?」
ミルナがソニックの考えている事をそのまま口にする。
「ま、そんな事になったらこの世界は確実に一度は滅びるな。・・・・行ってこいよレイン。
今度はお前がこの世界を救ってやれよ。ま、そんなの柄じゃないと思うけどな」
「本っ当・・・柄じゃねーな、そういうの。けどまぁ行くか、面白そうだしな」
頭を掻き毟りながらレインが言う。その姿にミルナは席を立つと棚の引き出しから
何かを取りだすと、こちらに向かってきた。
「はい、これ」
ミルナの手から渡されたのは指輪だった。中央にはそれなりの価値がありそうな碧い宝石が埋まっている。
「・・・これって確か、ガルドロス戦で使ったっていう指輪の装飾品だよな。
肝心の宝石は砕けたらしいけど」
「そう。4つあったんだけど、2つは使い物にならなくて捨てちゃったから、残ってるのは
2つだけ。で、もう一つはスノウちゃんにね」
はい、とミルナがスノウの掌に紅い宝石が付いた指輪を乗せる。
「いいんですか?」
「ええ。その宝石にはなんの力も宿ってないけど、せめて私たちの想いが届きますようにってね」
ミルナの柔らかい笑顔にスノウは指輪をそっと握りしめた。
「・・・ありがとうございます」