二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.59 )
日時: 2011/07/29 13:18
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「ミルナ、準備はいいか?」

「ええ、大丈夫。残り時間も残り少ないから、急ごう、ソニック」

「ああ!」

——————————村——————————

「はいよ。クエスト完了だぜ」

ソニックから報告書を受け取ったギルドの男性。完遂の文字を見て一つ、安堵を漏らした。

「ああ。助かるよソニックさん。酔狂な金持ちさんからの依頼。
違うフィールドに存在する大型モンスター四体の大連続狩猟、『画竜点睛』。
正直こんなのクエストに出していいか困ってたんだ」

「気にすんなよ。久々に楽しめたしな」

ソニックが笑顔で言う。それに男性も笑顔で返すと、ソニックの後ろの方に目を向けた。

「ところで、奥さんのミルナさんは?姿が見えないけど」

男性の言葉にソニックはああ、と漏らした後続けた。

「ミルナなら先に家に戻ったよ。今回のクエストはしんどかったからって」

「それは悪いことしたな。ミルナさんにもありがとうって言っといてくれ」

「ああ。じゃあな」

そう言ってギルドを出る為に翻るソニック。

「ああ・・・・・っと最後に、ソニックさん!」

だが男性に呼びとめられ、ソニックが振り向くと男性はニヤニヤした顔で言った。

「余計なお世話かもしれないけど、そろそろ世代交代の時期じゃない?」

男性のその言葉にソニックは少しむっとした表情で言い返した。

「余計なお世話だっての」

「ははっ!じゃあね」

笑顔で手を振る男性にソニックは、後ろを向いたまま軽く手をぶらぶらさせて答えた。

————————————————————

家に戻ったソニック。そこには既に食事の準備がなされていた。

「ミルナ。お前、疲れたから先に戻ったんじゃなかったのか?」

ソニックはそう言いながら椅子に腰を下ろした。
それを見て、ミルナも椅子に座る。

「そう思ったんだけど、ただじっとしてると色々考えこんじゃうから」

「・・・・・レインたちのことか」

「・・・・うん。今頃何してるんだろう?ちゃんと食事とか睡眠とかとってるといいんだけど」

ミルナの言葉にソニックは心配ないだろうとばかりの仕草で。

「その点は心配ないだろう?スノウがいんだから」

と言った。それにミルナも笑みを浮かべ。

「そうだよね」

と答えた。それから二人は食事を取り眠りについた。
そして翌日。ソニックが目覚めると外は昨日の晴れ模様が嘘のように激しい嵐だった。
それから数日はずっと豪雨と強風で、家から出られない状況が続いた。

「何時になったら止むんだ?この雨・・・・・」

ソニックはそう呟きながらリビングに向かう。そこには何時ものようにミルナがいたのだが、
少し様子が可笑しかった。

「どうしたんだ?」

「ああ・・・・うん。実はね、この嵐の原因を調査に行った隊が今朝、全滅したって報告が・・・・」

「・・・・そうか」

ミルナの凶報にソニックは顔色変えずに言った。勿論、本当に何も思っていないわけではなく、
心の内は悲しんでいる。だがそれを顔に出せば、ミルナが余計に鬱すると感じ、それを隠した。

「けどよ、全滅ってどうしてなんだ?ただの嵐の調査だろ・・・・・・まさか!」

ソニックは何かを思い立ち、家にある本棚からある本を取り出した。
それは現在存在するモンスターの情報が載せられている本だ。
それはパラパラと捲っていたソニックがあるモンスターでその手を止める。

「嵐龍・・・・・アマツマガツチ」

「うん。全滅した隊員が飛ばした伝書鳥にボロボロの紙で
『嵐龍』て二文字だけ書いてあったみたい」

「嵐龍。暴風と竜巻を従える災厄の龍か。災厄の龍・・・・ガルドロスみたいな奴か?」

「どうだろう?アマツマガツチはちゃんと確認されてるモンスターだから違うんじゃないかな?」

ミルナの話を聞いた後、ソニックは掛けてあった封印のハンターの紋章の入った布を肩に巻いた。

「それでも、人に仇なすモンスターなのは変わりねぇだろ?
ミルナ。お前はここで・・・・」

—ポカッ—

「いでっ!」

ミルナに頭を殴られ言葉を遮られるソニック。

「どうして一人で行こうとするの?」

むっとした表情でミルナは静かに言った。ソニックは殴られた場所を摩りながら言った。

「だってよ。アマツマガツチは災厄って呼ばれるほどのモンスターだぞ?
そんな所にお前を・・・・・」

「その言葉、そのままそっくり返してあげる」

「う・・・・・」

冷静な言葉で返され言葉を失うソニック。それにミルナは
悲しそうな瞳で笑みを浮かべて言った。

「寂しいこと言わないでよ。ね?」

「・・・・・ああ、そうだな。わりぃ。そんじゃ行くか、一緒に!」

「ええ!!」

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.60 )
日時: 2011/09/01 22:56
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

——————————霊峰——————————

「ふ〜〜〜。ここまで来る途中は雨と風が凄まじかったが、
ここは幾分かマシだな」

ソニックは自分の濡れた服を乾かしながら言った。
あの嵐でまともな移動手段が足しかなかったため、
二人は何度も飛ばされそうになりながらもここまでやってこれた。

「けどその分、何か嫌な気配は強まってるよ」

「ああ。ピリピリと肌に来るな。この感じ、久しぶりだな」

ソニックが嬉しそうににやける。それを見てミルナはため息を漏らす。

「本当・・・狩りをするの大好きだよね」

「ああ。世界で二番目に好きだ」

「二番目?・・・・・一番は?」

ミルナのその問いにソニックはミルナに視線を移して口を開いた。

「ミルナ」

ソニックのあまりにも真っすぐで純粋な言葉を受けたミルナは、顔を赤らめソニックから顔を逸らした。

「あ・・・・・そう」

ミルナは素っ気無く言ったが、自分の頬が緩んでいることに気が付き、それを締め直す。
それを見てソニックも気を引き締め、大剣を手に取る。

霊峰の奥に進んでいくと、そこには一面大きく開けた場所があった。
そして、そこにやつがいた。嵐龍・アマツマガツチ。


—また・・・・・・人間か—

—ズシャアアア!!—

「!!!!!」

嵐龍は二人が視界に入った瞬間、水流ブレスを吐いてきた。
それを二人は交わすが、その威力に冷や汗を流す。水が通った箇所が地割れの如く割れている。

「いきなり何しやがんだ!!」

—貴様らもどうせ、我を討伐しに来たのだろう?—

ソニックの怒鳴りにも嵐龍は落ち着いた様子で語りかけてくる。
と言うより、モンスターと会話出来る人間など殆どいないだろうに、
嵐龍はソニックと普通に会話出来ていることにすら、不思議に思っていない。

「まあな。こっちはお前が起こした嵐で困ってんだよ。
嵐を止めてくれるなら、わざわざ倒す意味も無くなるんだけどな」

—・・・・・無理だな。万物が呼吸をするのが自然であるように、
我が雨を降らせ、風を起こすのは自然なこと。そこに我の意思はない—

人間が呼吸をするのと、嵐龍が嵐を起こすのは同じ次元の話ということ。
それがよく伝わってきた。つまり、この嵐を止めるには嵐龍を倒すしかないということだ。

「そうかよ」

「ソニック?」

嵐龍の言葉が聞き取れないミルナにはソニックの言葉の意味が分からない。
それを感じ取ったソニックは簡潔にミルナに述べた。

「簡単な話だ。お互いに引くことが出来ないってだけだ」

「・・・・・・そう」

ミルナは無表情に、そしてどこか悲しげな目をして呟いた。

—人間如きで我に勝てると思うな!!—

嵐龍はそう叫ぶと二人に向かって猛スピードで突進した。

「っく!!」

嵐龍が二人の脇を過ぎる。その勢いで吹き飛ばされる二人。
ソニックは体勢を立て直し、嵐龍に向かって突き進んだ。
それに対し嵐龍が水流ブレスをソニックに向かって真っすぐ飛ばした。
まるで弾丸のようなスピード。ソニックは大剣でガードする。

「ぐっ!!」

ブレスの勢いで押し戻される。

—ほう。人間の分際で我の攻撃を防いだか・・・・・—

嵐龍は自信たっぷりだ。おそらく人間では自分に傷一つ付けられないと思っているのだろう。

—キンッ!—

—・・・・・ん?—

嵐龍は背びれの部分に何かが当たった感覚がした。そちらの方を見るとミルナが弓を構えていた。

—ほう・・・・。我に纏う風を読み、当ててきたか。大したものだな。だが・・・・!!—

今度はミルナの方にブレスを吐く。ミルナはそれを交わし、再び弓を放つ。
それと同時にソニックも嵐龍に突っ込む。

—二方面からの同時攻撃。考えているようだが・・・・・・—

嵐龍はそこで言葉を切ると、体を高速で回転させ始めた。
するとそこかた竜巻が現れた。一つは飛んできた矢を粉々にし、一つはソニックに向かっていった。

「ちっ!」

横にジャンプして交わす。だが、直ぐにそれが過ちだと気付く。
ジャンプした方向に更にもう一つ、三つ目の竜巻がソニックを待ち受けていた。

「がはっ!」

「ソニック!」

竜巻の中に突っ込んでしまい、空中に吹き飛ばされ、地面に激突する。

—足りないのは我と人間との圧倒的力。惜しいな人間。
貴様が人間で無かったら、良い勝負が出来たと思うのだがな—

嵐龍に表情は見えないが、勝ち誇ったような口振りで言った。

「うるせーーよ。キクラゲ星人」

ソニックは立ち上がると口から出た血を拭い、笑みを浮かべてそう言った。

「勝ち誇るのははえーし、人間を舐めんのもちげーし、力の差も全然ねーよ」

—ほう・・・・・その自信どっから来る?—

「・・・・・お前がキクラゲってところだ」

大真面目な顔で答えるソニック。それに対し、嵐龍の顔に血管が浮き出た・・・・・ように見えた。

—貴様・・・・・命乞いするなら今のうちだぞ。
今なら十分の九殺しで済ましてやる—

「何だ。気にしてたのか。それは悪かったな。
もうそのキクラゲで和え物が食いたいなんて言わねーよ」

—ブチン!—

嵐龍の血管が切れたような音が聞こえたのはおそらく空耳ではないだろう。
そして嵐龍はふふふ、と不気味に笑いだした。

—初めてだぞ。我が人間としてではなく個人の存在として貴様を葬りたいと思ったのは—

そう言った嵐龍からは、怒りや憎悪等に満ちていた。
・・・・・・・だがそれとは別に、特別な感情も抱いていたのは
嵐龍本人も気づいていなかった。

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.61 )
日時: 2011/09/03 12:10
名前: 雷電 (ID: J0PYpSvm)

やっぱり名前戻しましたww
ご無沙汰しています・・・
最近、クラスでもモンハンが流行りだしました。
今後の更新も楽しみにしています!

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.62 )
日時: 2011/10/20 23:09
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

忙しくて、更新速度がどんどん落ちてきています。
・・・・・・頑張らなきゃ!



嵐龍は口から水流ブレスを吐く。それに対しソニックは落ち着いた
様子で地面を靴でトントンと叩くと、脚を真上に振り上げた。
そしてそのまま地面に向かって踵落としをする。

—ボカァァァァン!!!—

すると突然地面が爆発を起こした。辺りを砂煙が包み込み、ソニックの姿を見失う嵐龍。

—・・・・・・・そこか!—

僅かに捉えた砂煙の動きを捉え、そこにブレスを放つ嵐龍。だが、

「残念外れ」

そこにいたのはソニックではなくミルナだった。
ミルナはブレスを交わした後、意地悪そうに舌を出しべ〜〜とする。
ソニックはというと嵐龍がミルナに気を取られている隙に、死角に潜り込んでいた。
嵐龍もそれを感じ顔を向けるが、それよりもソニックの攻撃が先に動いた。

「おらぁ!!」

嵐龍の頭に蹴りを入れるソニック。そしてまたも起きる爆発。

—ぐっ・・・・!!—

嵐龍も今のは効いたのか、僅かによろめく。

—その脚の装備。何か仕掛けがあるな—

「まあな。っても、そうじゃなきゃ爆発なんて起こせねぇけどな。
靴にちょっと特殊な粉末が仕込んであってな。強い衝撃を与えると爆発を起こすんだ。
少量でも大樽爆弾並の火力が出るぜ。だから・・・・・」

ソニックは地面を強く靴底で踏む。と、爆発を起こし嵐龍に急接近した。

「こんな風に推進力に使えることも可能だぜ」

—ズパァァン!!—

頭に斬撃を加え、さらに蹴りの攻撃を重ね、起きた爆風で嵐龍から離れるソニック。

「へっ!人間なめんなよ!・・・・・・ん?」

—・・・・・・・・・—

嵐龍が黙り、雰囲気が変わったことに気づくソニック。

「チャンス!」

だが、それに気がつかなかったミルナが動かない嵐龍に矢を放つ。
しかしその矢は嵐龍に届く前に上空へと流されて行ってしまった。

—確かに我は貴様たちを舐めていたようだ—

嵐龍が言葉を発した時、荒れていた天気が更に荒れ、空は混沌とした雲が広がり始めた。

—それに詫び、我の最高の力で相手しよう—

嵐龍はそういうと、体を髑髏状に巻き始めた。すると、

「・・・・つっ!何だ?」

ソニックは突然自分の体が嵐龍へと吸い寄せられる感覚を受け始めた。
しかもそれは少しずつだが、強くなっていっている。
嵐龍はというと、強い風を纏い力を溜めている様子でじっとしている。

—ビュオオオォオォォ!!!!—

「くっ!!」

風が一層強くなり、踏ん張りを効かなくなってきた。その時、

「きゃあ!」

ミルナが耐えきれず嵐龍の方へと吸い込まれていってしまった。

「ミルナ!!」

その姿を見て、ソニックは何も考えずに自ら嵐龍の元へと飛び込んだ。

—終わりだ!!—

それに合わせるように嵐龍は体を回転させ大きな竜巻を作り上げる。
それは先ほどの3つの竜巻とは比べ物にならないものだった。
あれに飛び込んでは幾ら二人でも致命傷は確実だ。だがもう体は完全に宙に浮き、自由には動けない。
だからソニックたちのやることは一つだった。

「肉を切らせて骨を切る・・・・・・か」

ソニックは静かに目を閉じ、右手に力を込め始める。巨大竜巻がどんどん目の前に近づいてくる。そして、

—ブオオオォォォォン!!—

空中へと吹き飛ばされるソニック。体中に走る激しい痛みに耐え、目を開けると
傍には同じように吹き飛ばされたミルナの姿があった。

「おい、生きてるか?」

「な・・・・なんとかね」

「・・・・・じゃあ、まだいけるな」

「勿論!」

————————————————————

地上では全てを吹き飛ばした元凶、嵐龍が一人佇んでいた。

—ふう・・・・—

久しぶりに出した全力で少々気が緩む。・・・・・その緩みが仇となった。

—ドスッ!—

—ぐあ!—

様々な偶然が重なったのか、それともハンターの持つ運なのか。
ミルナが上空で放った一本の矢が嵐龍の右目に突き刺さった。
そして上空から舞い降りたハンター、ソニックが大剣を掲げ、思いっきり振り下ろした。

「溜め切り・閃紅断!!!!」

重力を味方に付けた強力な一撃。それにより、嵐龍の大きな体を真っ二つに切り裂いた。

—ぐ・・・・・!まさか我が人間にやられるとはな・・・・・・—

「驚いたな。まだ息があんのか」

体を真っ二つにされても簡単に死なないのは、さすがモンスターといったところだろうか。
ソニックの関心したような言葉に、嵐龍は鼻で笑った後続けた。

—それはこちらの台詞だ。あの攻撃を喰らい、あの高さから落ちて、
よくも立っていられるものだ—

嵐龍はそこで初めてソニックに関心した様子で呟いた。

「経験豊富なんだよ。死にかけるほどの毒に感染したころもあるし、
あれ以上の高さから落ちたこともある」

—そうか・・・・・—

嵐龍は最後にそう呟くと、静かに目を閉じた。そしてもう目を開けることはなかった。