二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 罪に塗れて。【ボカロです!】 ( No.33 )
日時: 2010/12/06 19:42
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)

2-3「青い貴方」

あれから私と彼、カイトは急速に仲が進んでいった。傍から見れば“恋人同士”なのだろう。
そして、カイトも私の事を“恋人”と思っているのだろう。私はそんな事微塵も思っていないけど。

「何だったら今夜泊ってく? 家、誰もいないよ」
“もっとカイトの歌が聴きたい”そう言う話をしていた。まぁ、今夜くらいなら泊ってもいいか……。
「本当? いいの?」
さも嬉しそうに、男が勘違いするような態度をとる。どんな男も私の掌で踊ってくれる。すぐに騙される。

そう言えば、昨日レンから電話があったわね───。
“最近会ってくれないし、カイトと仲がよさそう。僕を捨てたの?”って。捨てたも何も……。
私たちは最初からそういう関係じゃないでしょう? 勘違いはよしてよね。そういう子、嫌いよ。

「何考えてんの?」
と、ボーッと歩く私を心配して、私の顔を覗き込んでくる。
ちょっと上目遣い気味の視線に、女の子は顔を赤くするのかしら。
「いいえ、大丈夫よ。楽しみだなって思って……」
唇に指を当てて、少し頬を染める。こんな芝居も生きて行くうちに覚えた。

そんな私を見て、急に抱き着いてくる。人通りの少ない廊下だったのが幸い。
「フフッ、もう、何───?」
そうは言いながらカイトの背中に腕を回す。男はこれだけで喜んでくれて簡単なもの。

ガサッ、と何かを落とすような音。その音に視線を向けると、手提げを落としたメイコが立っていた。