二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.723 )
日時: 2011/05/07 15:17
名前: 薔薇結晶 (ID: CekhHc8W)

『眼〜eyes〜』

——U——





10層目。


「おい、チューリップ」
「誰がチューリップだこの野郎!!」
「その頭でチューリップ以外何を連想できるんだよ」
「うっ…」

カァン、カァン、と鉄を打ち付ける音が聞こえる。
どうやら打っているのは女のようだ。

「チューリップ、『ピーティーモーレン』2つ」
「だからチューリップって呼ぶなよ…!」

そう言いながらも高級金属『ピーティーモーレン』の塊を2つ女に渡す。
渡された方の女の名は星夢。渡した方の男の名は晴矢。

星夢は鍛冶屋兼武器屋、≪天体観測≫の女主人。
彼女はPPスキル“武器職人(ウェポンメイキング)”の使い手で、≪ヴィレネイズ≫でも有名な鍛冶屋。
そして彼女の作る『特製武器(オリジナルウェポン)』は、とても出来が良い為、色々な魔族から注文が殺到する。

対する晴矢の方はその手伝いで給料をもらっている様なものだ。
何故彼が雇われているか、それはPPスキル“紅天(プロミネンス)”の能力が買われているからだ。
≪ヴィレネイズ≫に“紅天”の使い手は彼を含めて11人居るが、彼の物が特に強い。
その為星夢も彼を選んだのだ。

「…知ってるか?チューリップ」
「何がだよ」
「“獄炎”と“薔薇の女王”が右眼交換したって話」
「はぁ!?あの2人がか!?」
「あぁ。どうやら“獄炎”が持ちかけたらしい」

この世界では、人の事をPPスキルの名で呼ぶものが特に多い。
だがらこそ修也の事を“獄炎”と言い、ジュリアの事を“薔薇の女王”と呼ぶのだ。

もちろん彼ら2人も≪天体観測≫のお得意様で、星夢は2人の武器も手掛けた。
その為、彼らの事は知っている。

「眼球交換か、そんなモン何処で知るんだよ」
「忘れたか?3層目には≪闇の図書館(ブレイン・ライブラリー)≫があるだろ。其処には多分眼球交換の資料がある」
「へぇ…、そうか」
「チューリップ、火が足りん」
「へいへい」

ごおぉ、と金属に熱を与える。
そしてそれを懸命に叩く。

そんな時、店のベルが鳴った。

「チューリップ、接客してこい」
「ったく、人使いが荒ェな…」

「へいらっしゃい、ご用事…は…っ!?」

其処に居たのは≪黒≫の3人。
2人の男と1人の女。

「…“武器職人”は何処だ?」
「あぁ、奴なら裏で武器作ってるぜ」
「呼んでくれないか?」
「あ、あぁ…」

「星夢!“不死鳥の翼(フェニックスフェザー)”と“変形”と“俊敏”が呼んでるぜ」
「はァ!?“不死鳥の翼”!?」
「あぁ、出て来いってよ!」
「ったく…」

素早く魔法陣を展開、一時停止のコマンドを発動する。
そしてゴーグルを外して店へ移った。

「…何の様だ?」
「此処に来る理由なんて1つしかないさ、武器を作ってもらいたい」
「…ンな事其処に居る“紅天”に頼めばいいだろーに何で俺を呼ぶ」
「注文が細かいからさ」

星夢はため息をつくとペンと紙をとってカウンターを出る。
そしてソファの前まで歩いて、「座れ」と一言言うと、自分も座る。

「“不死鳥の翼”、アンタは何がお望みだ?」
「君が作る最高の片手剣を」
「…と言うと、俺が作る最高の片手剣なら何でもいいと?」
「あぁ。形より性能重視で頼む」
「分かった。ならアンタの戦闘スタイルはどちらかと言えば技術だから…切れ味と軽さ重視で作るよ」
「頼んだ」

「“変形”は?」
「コイツを超えるものを頼むよ」
「…!『フェザー・ドゥードゥル』!?」
「おぉ、そうだ。見ただけで分かるのか、すげぇな」
「良くこんなもの調合できたな…。コレを超える物か…、難しいな」
「でも『フェザー・ドゥードゥル』はずっと振ってると重いんだよ」
「アンタは『フェザー・ドゥードゥル』の使い方知ってんのか?コイツは遠心力を利用して戦う剣だぞ」
「ふーん…じゃぁ…刀、にしてもらおうか。出来れば『神有月』を」
「あぁ。アレは俺が鍛えた刀だ。出来るに決まってんだろ」

「んで…“俊敏”は?」
「私は『オーヴファロン』よりも軽い細身剣をお願いしようかな」
「…『オーヴファロン』も結構軽いはずだが…?」
「それよりも、軽くて扱いやすい細身剣。貴女なら、作れるよね?」

「…分かった。アンタ等の注文、承った」