二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】暑中見舞い受付中! ( No.797 )
- 日時: 2011/08/16 10:37
- 名前: 薔薇結晶 (ID: Es192lT0)
- 参照: 帰ってきたおw
『眼〜eyes〜』
——AN——
しゅぱんっ
「………」
いきなり魔法陣から出てきたその魔族は、灰色のフードを被っている。
無言でスタスタと歩き始める。
3層目の≪闇の図書館≫に立ち寄ったその魔族は、とある設計図に一瞬だけ眼を通し、あっという間に閉じて戻した。
そしてやはりスタスタと歩いて図書館を後にする。
最後に魔族が立ち寄ったのは、≪闇堕の騎士団≫の本拠地だった。
「おい、フードを取れ」
「………」
「聞こえなかったのか?フードを取れ」
「………」
看守が魔族に何度もフードを取れと言うが、その魔族は何の反応も示さなかった。
苛立ちが頂点に達した看守は、無理矢理フードを取ろうと、それを掴みかけた、その時。
魔族が動いた。
フードを掴もうとした看守の腕に、指先を触れるだけ。
それだけで、看守は完全に氷漬けの状態になった。
「…貴方とお喋りしている暇は無いんです」
口を開いて、そう呟いたその魔族の手には、1つの眼球が握られていた。
彼女はそのまま本拠地にスタスタと入って行った。
もちろん、其処に居る全ての騎士が彼女を倒そうと武器を握った。
だが、彼女の魔力の前に、全ての騎士が氷漬けとなった。
「すみません」
と、彼女は1人の騎士に声をかける。
ビクッと反応を示すその騎士は、その魔族の眼を見た。
≪蒼≫だった。
「豪炎寺修也君、何処に居ます?」
「…余所者に答える筋合いはないッ…」
その言葉を聞いたその≪蒼≫は、はぁ、とため息をついて、こう言った。
「残念。これで貴方の生きる価値が無くなりましたね」
氷柱を一瞬で創り上げ、右手に握り、その騎士の腹部に刺そうとしたその時。
<<バキィィイィンッッ>>
と、氷柱が真っ二つに折られる音が響いた。
もちろん折ったのは刺されそうだった騎士ではない。
「ッ…」
「何者だ、此処を4層目の様な南極にしようとしている奴は」
「…別にそう言う訳では無いんですけど。私は貴方に用があるんですよ」
氷柱を真っ二つに折ったのは、紛れも無く“獄炎”豪炎寺修也。
≪蒼≫の魔族は、漸くフードを取った。
「ッ!!、お、お前だったのか」
「ごめんなさい、遣り過ぎましたね」
「流石に…此処まで行くと遣り過ぎだな、久遠」
≪闇堕の騎士団≫に乗り込んで居たのは、何と“氷結妖精(アイスフェアリー)”久遠冬花。
申し訳なさそうに苦笑いを浮かべている。
「此処まで荒らして、何の用だ?」
「貴方の眼球を戻しに来ました」
「…何だと」
「正確に言えばジュリアさんに頼まれて貴方の眼球を返しに来て、貴方の右眼、彼女の眼球を返してもらいに来ました」
「本人からの頼みなのか?」
「はい。…繋げましょうか?」
「いや、いい」
「分かりました。…準備は良いですか?」
豪炎寺は頷いて、左眼を閉じた。
冬花はそれを確認すると、豪炎寺の右眼、基ジュリアの右眼に触れる。
そして、一瞬で凍らせた。
「ッ!!!」
「…大丈夫ですか?眼球だけ凍らせたんですけど…」
「大丈夫だ…続けてくれ」
冬花は続けた。
右眼を抜き取ると、今度は自分が持っていた豪炎寺の左の眼球を填めた。
まるで人形作りをする様に。
「…お疲れ様、終わりましたよ」
「ぁ…あぁ…」
豪炎寺には、冬花の氷は冷た過ぎる様だ。
「大丈夫?」
冬花が声をかける。
すると豪炎寺は右手に魔力を貯めて、“獄炎”を発動、氷を溶かした。
「…あぁ、漸く落ち着いた」
「良かった。溶けなかったらどうしようかと思った」
じゃぁ私はジュリアさんにコレ届けるからお暇するね、と言って魔法陣の中に消えた。
豪炎寺がこの南極をどの様にして元に戻したかは、皆さんのご想像に御任せしよう。
一方、≪ブロッサム・ソーン≫では…
「早く来てくれないかしらね」
「そうだよね。片眼空っぽのジュリア超怖いもん」
「あら、そっちの事?」
「じゃ無かったらどっちなの?」
「スカスカで空気が入って気持ち悪い」
「そっちは私やった事無いから分からない」
これから2分後に冬花が来て、眼球が戻されたと言う。